クレージーキャッツのメンバーで、コメディアン・俳優の植木等さんが出演した映画「日本無責任時代」。自他ともに認める無責任男・平均(たいら・ひとし)が縦横無尽に大活躍し、最後は社長に出世するという傑作です。

作品についてはおいおい語っていきたいと思いますが、この中で平均が新社長の引き立てで部長に昇格し、上司だった谷田(谷啓)が自分の部下に降格したことを告げるシーンで、「あんな社長の元では仕事はできない」と憤る谷田に対し、発した一言が印象的でした。

それは、「サラリーマンは辞表を出したら終わりですよ」という言葉。映画が制作された昭和30年代という時代を象徴する一言だなあと、私は率直に思いました。

当時は定年まで同じ会社で働く終身雇用が当たり前とされ、高度成長期で給料もどんどん上がっていた時代でした。つまり「辞めたら損」と多くの人が思っており、それゆえに平均も谷田に対して会社に留まるよう説得したのです。

平成から令和の時代を迎え、終身雇用に対する考え方もだんだんと変わりつつあります。平均が今の時代に居たら、谷田にどんな言葉をかけているでしょうか?。ちなみに私だったら、やっぱり同じ言葉を谷田に言ったと思います。

ただし、「その代り、仕事なんか二の次、三の次でやればいいじゃん」と付け加えますが(笑)。
マイケルオズ