遠く手を振る母がいた。
父はその横でじっと小さくなる僕を見つめていた。

僕は船で大阪へ行く事を決めた。
飛行機ではあまりにもあっけなすぎると思ったからだ。

半年前、敬老の日、僕は村の相撲大会に地元の男しとして、 仕方なく参加していた。

30代、40代に混ざり高校生の男は
僕だけだった。

僕が通っている高校の相撲部を招いての、相撲大会だった。勝てるわけがない。
僕は地元の青年団に混じり、仕方なく取り組みに参加していたが、一度も勝利する事は無かった。ただの員数合わせだから。

それでも、やるからには負けたくないので全力で立ち向かったのだが、全てふきとばされ、転がされ、派手に吹き飛ばされた。

地元の女子達に全く歯が立たなかったねー!渡辺みたいな事を喋っていた時だった。

僕の人生はその時からギリギリと音を立てて動き始めたのだと思う。