児童養護施設の子ども達は、今日の泊り職員は誰か、明日来る職員は誰か、
いつも気にしていた。
そりゃあ、気になるよね。
私が子供でも気になる。
知ったところで変わりないとしても、知りたいことってあるものだ。
「○○さん泊り?」と聞かれて、
「そうだよ」と答えると、
「やったー」と返事が返ってくる。
必ず。例外なく。
誰にでも、子ども達はそう答える。
本当は「そうなんだ」くらいのことなのに。
なんなら、「今日はXXさんがよかった」っていう時もあるだろうに。
誰が教えたわけでもない。でも、伝統のように、新しく来た子もそれを身に着けていった。
職員と子どもの人間関係を壊さないようにする、子どもの気遣い。
集団行動で生きる術なんだなと、
その返事を聞くたびに少し悲しい気持ちになった。
関係を悪くしないための知恵は、施設で生きていくための知恵。
自分が居心地よく、生きていくための術。
悪い術じゃない。
かわいそうじゃない。
たくましいんだ。