思えば昔、ウィーンの楽友協会でこのニューイヤーコンサートを聴くのが夢なんて思っていたこともあったなぁ、と乙女だった自分の'なれのはて'の今の姿を見つめ、、、ることはやめて、今の自分が考えてしまうことも大切にしようと思います。
まず聴衆がマスクをしていない、1週間程前に行った東京でのコンサートは当然のようにマスク着用、たしか検温もあったのに。。。
は、ともかくとして。。
私の若い時はウィーンフィルには女性奏者がいませんでした。ウィーンフィルの響きは女が入ったらウィーンフィルの響きで無くなる、伝統を守るために女を入れてはならぬ、という考え方。
今の時代そんなこと口にしたら社会的に抹殺されてしまいそうなことが、公の場で平気で語られていたのでした。
ずいぶん前にウィーンフィルが女性にも門戸を開いたという話は聞いたことはありましたが、今回見ると、ステージ上に男性たちの間にチラホラ女性がいます。数としてはわずかですが、私にとっては、スゴイことです。
それでウィーンフィルの響きが変わったのか、私にはわかりません。女を入れるなと騒いでいた人たちは、先入観無しに音としてその違いを認識したのでしょうか?
そして驚いたことには、ニューイヤーコンサートにウィーン少年合唱団とともに、ウィーン少女合唱団が出演しました。2004年に活動を始めたというウィーン少女合唱団、知りませんでした。
有名な伝統あるウィーン少年合唱団もいろいろ改革をしていて、その一つ、ジェンダーという時代の流れから少女合唱団が作られたそうです。私にとっては、名門校として名のある男子校が女子校を作ってしまうようなもの、あるいは、女の歌舞伎、男の宝塚、、、驚きました。
そして顔ぶれもアジア系の顔がチラホラ見えて、国際色豊かな感じです。NHKのカメラが撮っているということでしょうか。アジア系の少年たちが頻繁にクローズアップされていました。
多様性の中から生まれる教育的音楽的意義はわかります。でも、国際色豊かなのはまだしも、ジェンダーとはいえ、ウィーン少女合唱団とはまた思い切ったことを‼️というのが私の正直なところです。
幕間にあった前撮りされたインタビューで
「伝統の響きを継承することが私の使命です」
と話すウィーン少年合唱団のマイスターが、見た目も名前も中国系の人だったのも印象的でした。
伝統的なニューイヤーコンサート。軽やかで楽しいシュトラウスのワルツやポルカのプログラムは変わりません。ウィーン独特のリズム・アクセントも継承されています。
華やかな楽しいコンサートだけれど、伝統とは?を考えさせられるコンサートでもありました。