【私のヒーローズジャーニーvol.3~一粒の涙~】

 
 

これだけ子どものために働いているのに――

 


寝る前の読み聞かせも、時間のない中での手作りごはんも、全て「愛情を伝えるため」にやってきたのに。

 

 

それでも、長男が選んだのは、私ではなかった。

 

 

「ばあちゃんは、やさしいから。」

 

 

その言葉に、私は何も言えなかった。

 

 

確かに、母はいつも温かい笑顔で息子たちを迎え、

 


おやつを作り、宿題を見て、一緒に遊んでくれる。

 


私が仕事をしている間、子どもたちにたくさんの愛を与えてくれている。

 

 

それは、私が望んだ形だった。

 


母に頼り、助けてもらって、子どもたちを育てる。

 


それでいい。そう決めていたはずだった。

 

 

でも、心の奥底から――どうしようもなく、涙が一粒こぼれ落ちた。

 

 

悲しかった。
悔しかった。

 


そして、なにより自分自身に対して、申し訳なかった。

 

 

「もっと一緒にいたかった。」
「もっと、私の愛も伝わっていてほしかった。」

 

 

そう思いながらも、私はいつものように洗濯を畳み、お風呂を洗い、明日の授業の準備に取りかかった。

 

 

“働きながら愛情を注ぐ”ことは、やっぱり難しいのかもしれない。

 


そう思いながらも、彼女はいつも通りの毎日に戻っていった。

 

 

心に灯った“違和感”は、まだ小さな炎のまま。

 


まだ「変わろう」とまでは思えなかった。

 

 

だって、仕事は順調。家族も支えてくれている。

 


このままでも、何とかやっていけるのかもしれない。

 

 

――でも、本当にそうなのか?

 


その問いだけが、胸の奥に静かに残っていた。