【私のヒーローズジャーニーvol.2~授業参観での手紙を宛名は・・・】

 

1年生の終わりが見えてきた、2月の授業参観。

 


私は、少し誇らしい気持ちで教室の後ろに立っていた。

 


長男の成長を見届けながら、「よく頑張ったな、私も」と、心の中で自分に小さく拍手を送る。

 

 

この1年、仕事は順調だった。

 


毎年研究授業を任されるようになり、教員としてのキャリアも確実に積み上がっている。

 


忙しさはある。でも、充実している。そう思っていた。

 

 

授業の最後に、子どもたちはそれぞれ「お世話になった人」への手紙を渡した。

 


感謝の気持ちを自分の言葉で伝える――そんな心温まる時間。

 

 

息子が手にした手紙の宛名は、「おばあちゃんへ」だった。

 

 

「いつも、むかえにきてくれてありがとう。やきそばをつくってくれてありがとう。だいすきだよ。」

 

 

長男の気持ちが伝わる手紙だった。

 


でも、その胸の内には、説明のつかない空虚さが広がっていた。

 

 

あれだけ頑張ってきたのに、私は『ありがとう』の相手じゃなかった――

 

 

その事実が、静かに、でも深く私の心を揺さぶった。

 


母として愛情を注いできた。

 


寝る前の読み聞かせも、ぎゅっと抱きしめる時間も、大切にしてきたはずだった。

 

 

それでも――子どもの記憶に一番残っているのは、私じゃなかった。

 

 

その夜、私はいつものように読み聞かせをしながら、心のどこかで問いを抱えていた。

 

 

「私は、何のために働いているのだろう?」

 


「このままで、本当にいいのだろうか?」

 

 

その問いが、私の心に”旅の兆し”を灯した。