先日、実家に帰る際に土産を持って行きました。

久しぶりに懐かしのお店に立ち寄りケーキを買いました。

その懐かしのお店の名前は【POIRE】

 

あべのハルカスにも店舗を構えるそのお店は、私にとっ

てとても思い出深い、懐かしい、胸が熱くなるお店です。

 

40年も生きていたら、誰しもそんな思い出深いお店が

あるのではないでしょうか。

 

25歳になるまで、そのケーキ屋さんの近隣に住まいがあり

ケーキと言ったら、ポアールでした。

誕生日ケーキも、人に振る舞うデザートも、お土産も、母の

日のプレゼントも。

そして父がよくお土産に自宅に持って帰ってきたのも鯖寿司

か、ポアールのケーキでした。

 

私は子供の頃、夜遅くに土産で買ってきたケーキや鯖のお

寿司は、大人の夜の食べ物だと思っていました。

うなぎパイ感覚です。

夕食を食べ終えて尚、食べるお土産の夜食は、なんとなく

子供心に大人の仲間入りをした様な、高揚感を味わえる

ものでした。とても美味しかった記憶と父と母、醜い程の

食べ物の争いを繰り広げた弟の顔が浮かびます(笑)

ほぼ私の一人勝ちでしたが・・・(苦笑))

 

私は、のめり込む方なので、ポアールではチーズケーキば

かり注文していました。誕生日ケーキもチーズケーキでお願い

していた程です。

その懐かしいケーキを、母と娘と私。たまたま居合わせた弟と

共に4人で食べました。弟は今でもよく食べている様で、何とも

ない感じでしたが、変わらないその懐かしい味に胸が熱くなり

ました。

 

こうして3世代でポアールのケーキを食べるなんて思いもしな

かった・・・。娘も喜んで食べていました。

最近では、美味しいケーキ屋さんも、高級なケーキ屋さんも

沢山あるので、月日が美味しい物慣れしてしまったのか、口

の中には懐かしさが強烈に残りました。

昔はただ美味しいだけでしたが、舌と感情で味わうそのケーキ

はとても不思議な感覚でした。

その感覚を味わいたいが為に、また食べたいな・・・と思ってい

ます。ある意味私のソウルフードです。

 

エピソードはまだまだあります。

私が小学1年生の時に、大好きだった祖母が亡くなりました。

祖母は胃がんでした。

もともと細く小柄だった祖母は、「●●●ちゃん(私)の方が大

きいし、よく食べるね」といつも私に言っていました。

食べたら喜んで褒めてくれるので、口いやしい私は、本当に

よく食べました。

祖母は自宅療養している時もカロリーメイトを1かけら位しか

食べられなくなっていました。

とうとう入院する事になり、母がお見舞いに行った時のエピソ

ードです。

何も食べられなくなっていた祖母は、母に「ポアールのシャー

ベットが食べたい・・・」と伝えたそうです。

母は急いで買いに行き、祖母の唇にシャーベットを塗ってあ

げたそうです。

祖母は「美味しい、美味しい」と喜んで食べたそうです。

それが最期の食事となってしまいました。

 

私が高校生の頃のお話です。

中学校の担任の先生に想いを寄せていました。

本当に大好きでした。

今でも同窓会があるのですが、声を掛けてもらっても、参加

した事がありません。まだ先生と顔を合わせる事が出来ませ

ん。恥ずかしいのです。

片想いほど引きずり、心が残っている恋愛はありません。

 

その先生はとても熱心な先生で、正しい事は正しいと示して

くれる筋の通った人でした。変なギャグを言ったり、変なエメ

ラルドグリーンのジャージを着たりする先生で、何故好きだっ

たのか不思議なくらいです。

 

中学の時に担任だったその先生とは中学を卒業したら、1度

しか逢う事がありませんでした。高校も同じ敷地内だったのに

です。でもそのたった一度の再会が忘れられないのです。

「ニキビも無くなってキレイになったな。」

と声を掛けて下さりました。

少したわいも無い話が続きました。そして、

「●●は、先生の事好きやったやろ?」と急におっしゃったの

です。心臓が飛び出るくらい驚きました。

何も言えませんでした。今でもドキドキします。

その後「先生と、ポアールのケーキ食べに行かへん?」と言

って下さいました。

好きだったので、怖くなり「友達も一緒なら・・・」と答えました。

「二人やったら嫌か?」と聞かれ、黙りこんでしまい、先生が

困ってしまい「また今度・・・」と、別れました。

 

強烈な片想いの思い出です。今でもあの時、食べに行って

いたら真剣に向き合って戴けたのかな????!

と感じる事があります。

先生が卒業式に言って下さった言葉。

無知だった私は、その言葉の意味すら分かりませんでした。

「品行方正な●●さん。卒業してもがんばって!」

40歳の私は、ガサツだと言われ続け、生涯で品行方正だと

評価して下さったのは先生だけです。

 

街角にあるケーキ屋さん。沢山ある数々のお店。

商品だけを売っているのではなく、思い出を、懐かしさを、

優雅な気持ちを取り戻させてくれる、【帰る場所】として

存在し続けてほしいものです。

 

思い出話にお付き合いくださりありがとうございます。