-プロを確信した瞬間-
小学校5、6年かなぁ。ずっとピッチャーをやっていて、帰りの通学路で隣の女の子が前を歩いていたの。20㍍ぐらい前だったかな。で、柿がなっていてガッサーって採って、もう完熟。ブワーーーッて投げたの。(女の子の後頭部に)ボッコーンッ当たって、完熟の柿が。それで確信したの(笑)ネタでもなんでもなくて、これは本当の話。ピッチャーとしてね、『いけるわ俺』ってね。でもその慢心が、高校で怪我をしてピッチャーを断念せざるを得なかったの。
-メジャー移籍の本当の理由-
(日本でプレーしている時)とにかく苦しかった。初めて思ったのが96年、凄く苦しかった。でも色んなことをトライした。けど、なかなか出口が見えない。自分が考え付く全ての事はやった。でも変わらない。そういう時に何を思い付いたかと言うと、環境を変えることしか思い付かなかった。それで秋に日米野球をやって、彼らの迷いのないスイング、なんか結果を気にしないあの雰囲気、あんなにデッカイ選手達が野球を楽しんでいる雰囲気っていうのが衝撃的だった。
-野球を好きでいる事-
野球が好きでいる事。これさえキープできたら、色んな事ができると思う。(この気持ちが揺らぐ事は)自分だけの存在ではない、自分だけを見ている間では無い。でもやっぱ、プロ野球には周りに色んな人がいて、色んな環境があらわれる。そういう所に目をやると、ちょっと嫌だなって事もあるのね。だから自分の気持ちの中から、ちょっと揺らぐものが現れたときはしょうがないと思うけれど、第三者によってそんな気持ちにさせられたっていうのが、もう悔やみきれないからね。それだけは避けたいと思っているし、その気持ちさえあれば色んな事ができると思うし、モチベーションもなんら変わりなく、もっと上がっていくかもしれない。その気持ちを大事にしたい。
(2003年暮れに放送された松井秀喜選手とイチロー選手の対談より)
動画はこちらから⇒http://www.youtube.com/watch?v=KUjsXvWIdpA