薬物依存、アルコール、性犯罪、窃盗、ギャンブルなど、問題行動から立ち直るためには、専門的な治療が必要になる。依存症の治療は医師や看護師にもとても大変な労力がかかるので、受け入れてくれる病院も少ない。
そういった依存症からの回復には、司法の抑止力だけでは不十分だ。日本は長い間、犯した罪には刑罰を与えればよいという考えだった。そのおかげで、一度依存症に陥ったものは何度も逮捕され、刑務所に何度も出たり入ったりを繰り返すようになるだけだった。
摂食障害を併発し、窃盗症を発症している女性などは、そういった病気があること自体が認知されておらず、50歳、60歳になって刑務所に7回も8回も服役している人もいる。窃盗に対する治療と合わせて、摂食障害という病気が改善しないと根本的な解決にならないが、刑務所ではそういったことは対応しない。
司法の抑止力も勿論必要になる。司法の抑止力があるからこそ、人は思いとどまりもする。
だがまともな思考で考えられなくなっている状態では、司法の抑止力だけでは人の行動は止められることはできない。
必要になってくるのは治療だ。
専門的な知識を持った医師と、それを支えるその後の受け入れ先。
これがとても重要なものになってくる。
人が自身の抱えている問題から立ち直ろうとするためには、一人の力だけでは難しい。自分のことを理解して支えてくれる人の支えがあるからこそ、辛い時に乗り越えていくことができる。
司法、医療、家族、支援者
それぞれが役割を果たし、連携していくことで依存症、問題行動からの回復へ向かって進んでいくことができる。
もう一つ大事なことが、本人が自分の問題と向き合い、立ち直ろうという、気持ち。意思や思い。
根底にそいったものがなければ、そもそも周りが本人のために動いているだけで、状況は何も変わらなかったりもする。
そういう気持ちを芽生えさせるためにも、支援の耐性が整っていくことが重要になってくる。
当事者にとっては、とても大きな問題であり、克服することで人生が変わる。
一筋縄ではいかないが、諦めてはいけない。