さて前回は、お父さんの遺言書を見て
傷ついてしまった香織さんのお話でしたね

せっかく書いた遺言書で、香織さんを悲しませて
しまって、天国のお父さんもがっかりなさっている
ことでしょう。

それでは、どんな遺言を書けば良いのでしょうか

遺言書には、法的な拘束力のある本文と、
拘束力の無い付言事項という部分があります

公証役場で作成する公正証書遺言の場合、
本文は公証人さんが原案を作成して
下さいます。

何故かというと、法律的にあいまいな表現があると、
後でもめてしまうことになるからです。

ですから、本文はとても固い文章になります。

例えば、
「第1条、 下記の物件は、遺言者の妻、雅子に相続させる。」
なんて具合です。

まさに、憲法や法律の条文みたいな文章です

これでは、遺言を書く人の本当の思いは、なかなか
伝えることは出来ませんね。

そこで、法的な拘束力の無い付言事項の部分で、
遺言者の思いを書くことになります。

この部分は、普通に遺言者が家族への思いを
書いた文章がそのまま使用されます。

ですから、家族への感謝の言葉や、愛情あふれる
言葉を、思いっきり書くことが出来ます。

例えば
「雅子、僕は君の夫であることを誇りに思っているよ。
君は、妻としても母としても女性としても最高だった。
君のそばで暮らすことが出来て、僕は本当に幸せ
だったよ。」

遺言は、家族に送ることのできる最後のラブレターです。

家族一人一人に、愛と感謝を込めて書いてほしいと
思います

残された家族は、あなたの思いを遺言でしか知る
事ができません。

寂しい思いをしている家族、辛い気持ちでいる人々の
心を温かくするような、明日への希望になるような、
そんな遺言を書いてほしいと、心から思います。

そして、そんな遺言を書くお手伝いの出来る事が、
私の喜びであり誇りです