さて、今までにも様々な相続の場合のお話を
してきました

今回は、「事実上離婚状態の夫婦の場合」です。

チョット前には「熟年離婚」や「家庭内離婚」という
言葉を多く耳にしましたね。

さて、今回のドラマはどんなお話なのでしょうか。



由美  亜紀、浩くんが入院したって、聞いた

亜紀  聞いたわよ。
     でも、入院どころの騒ぎじゃないんですって。

由美  ええっ、そうなのいったい何があったの?

亜紀  浩くんとこって、去年から奥さんがパートに
     行きだしたって、言ってたでしょう。

由美  ええ、何でも悟くんが中学生になって、もう手
     離れたから、働きに行きたいって。
     それが、どうしたの?

亜紀  その奥さんが、勤め先の若い男の子と不倫を
     していて、家を飛び出しちゃったんですって。
 
由美  ええっ、それ、本当?あのおとなしそうな奥さんが・・・。
     信じられないわ

亜紀  浩くんも最初は、半信半疑だったらしいわよ。
     でも、勤め先の上司の人から、聞かされたんですって。
     仕事中も、人目をはばからない様子で困るから、
     注意して欲しいって。
     それで、忠告すれば素直に謝る、と思って言ったら、
     そのまま、怒って家を飛び出したんですって

由美  それで、そのままなの?

亜紀  そのうち、帰ってくると思っていたら、1週間ぐらいして、
     荷物を昼間、運びだしたらしいの。
     実家にも連絡が無くって、どこにいるのかも
     わからなくなって、もう3ヶ月ですって
    
由美  それで、悟くんはどうしてるの?

亜紀  初めのうちは、すぐに戻ってくると信じて、
     待ってたらしいんだけど・・・・。
     今は、もう、すっかりあきらめてるみたいだって
     浩くんのお母さんが、家事をしに来てくれてるらしいわ。
     
由美  悟くんもかわいそうね
     で、浩くんの病状はどうなの。

亜紀  心労が重なったのと、やけになって、深酒したのが
     いけなかったみたい。
     肝臓が相当弱っているらしいわ。
     まあ、すぐに命にかかわる訳ではないけどね。

由美  そうなの。それなら良かった
     で、浩くん、離婚するつもりなの?

亜紀  ええ、弁護士してる同級生に病室に来てもらって、
     色々、相談したんですって。

由美  ああ、加藤くんね。ずっと仲良くて、
     浩くんの新築祝いにも来てたわよね。

亜紀  そう、その加藤くんが言うにわね。
     相手が今、どこにいるかわからない状態だと、
     なかなか離婚の手続きが進まないから、
     それよりも先に、遺言書を書いた方が良いぞ、ですって。

由美  ええっ、どうして

亜紀  今、入院している時に、こんな話で悪いけど、今の世の中、
     いつどんなことが起きるか、わからないだろうって。

由美  そりゃあ、そうよね。災害も多いし、交通事故だってあるし・・・。

亜紀  このまま、もし浩くんに何かあった時、遺産の半分は、
     奥さんのものになっちゃうぞって言うのよ。

由美  ああっ、そうか。法定相続分は、奥さんが2分の1で、
     子供が2分の1だから、あの新築の家も、
     半分は奥さんに取られちゃうってことよね。

亜紀  そういうこと。法律は、離婚寸前だろうがなんだろうが、
     戸籍上の妻であれば、相続の権利はあるからね
     それじゃあ、浩くんがあまりに可哀想でしょう。

由美  それはそうよね。遺言書いて、すっきりして、
     浩くんには、早く元気になって欲しいわ

亜紀  うん、私も、そう思ってる。



おやおや、浩くんの家は大変なことになっていましたね。

遺言を書くことによって、浩くんの財産をどんな風に
奥さんから守る方法があるのか。

詳しい説明は、また次回にゆっくりお話しましょう