さて、前回までに

遺産分割協議は相続人全員で一堂に会して行う。
遺産分割協議書には、自署押印(実印)をして、
印鑑証明書を添付する。

という基本のお話をしました

では、相続人の中に、海外に移住した人や、
駐在している人がいた場合はどうするのでしょうか

最近は、国際結婚も珍しくありませんし、仕事の
関係で海外移住している人もいます。

会社からの命令で、5年ぐらい海外に駐在する人
などは、私たちの周囲にたくさんいますよね

ここで、一番問題なのは、海外に在住している人は、
印鑑証明書が取れないということです

遺産分割の協議自体は、電話でもスカイプでも
何でも構わないので、話し合って合意することは
出来ると思います。

ただ、いざ、遺産分割協議書を作成するとなると、
これが大騒ぎなのです

印鑑証明書というのは、住民登録している市町村役場
(特別区の場合は区役所)で発行してもらえます。

もちろん、その前に印鑑登録をしないといけませんが、
とりあえず、住民登録さえしてあれば、急いで印鑑を
作って、印鑑登録をして、印鑑証明書をもらうという
手続きをすることができます

ところが、海外に在住している人は、日本に住民登録
してありませんから、印鑑登録自体が出来ません

したがって、印鑑証明書も作成できませんし、「実印」
というものが存在しないことになります

じゃあ、本人のサインだけ貰えば良いと思うかもしれませんが、
それでは、本当に本人のサインかどうかわかりませんから、
遺産分割協議書が有効なものであると認めてもらえません

それでは、どうしたら良いのでしょうか

この場合、現地の日本領事館に出かけて行って、日本から
送られてきた遺産分割協議書に係員の前で署名して拇印を
押し、それが本人の署名と拇印であることを証するサイン証明書
を発行してもらいます

そして、サイン証明書は、遺産分割協議書につづられて、
割印されます

ただ、サイン証明書が実際にどのようなものかは、私も
わかりません

そのような事例にまだ出会っていないからです。

専門書によれば、このように説明されています、という
ことです

でも、これってメチャクチャ大変ですよね。

海外に遺産分割協議書を送るだけでも大変な手間です。

その上、領事館が近ければまだ良いですが、遠方の場合は、
サイン証明書を貰うだけで一苦労です

というわけで、相続人が遠方にいる場合、特に海外にいる
場合は、遺産分割協議の必要のない、「遺言書」を
書いておくことを、強くお勧めします

相続って、つくづく大変なものですから、事前に
できることはなるべく手を打っておいた方が、
家族のみんなが幸せですよ