さて、今回は
「相続人が遠方にバラバラに住んでいる」場合について
考えてみましょう

最近は、海外赴任も珍しくない世の中です。

国内でも、息子は東京、娘は大阪で、年老いた
両親だけが田舎に住んでいる

なんてことも多いですよね。

相続人がバラバラに住んでいるとどういうことが
大変なのか

ちょっと一緒に考えてみて下さい



由美  亜紀。こっちこっち。どうしたの?
     なんだか顔が疲れているわよ。

亜紀  もう、うんざり・・・

由美  どうしたのよ、いきなり。

亜紀  去年浩さんのお父さんが亡くなったでしょう。

由美  確か年末で、お葬式とか随分大変だったって
     言ってたわよね。

亜紀  そうなのよ。
     お兄さんは北海道で、お姉さんが四国の愛媛でしょう。
     結局一番近くに住んでる私達夫婦が、末っ子なのに
     葬儀一式全部とりしきったってわけ。
 
由美  ご苦労様だったわよね。

亜紀  でも、あんなのは苦労のうちには入らなかったわ。
     後の相続手続きに比べれば・・

由美  あら、だって亜紀、お父さんたちが住んでた土地を
     もらえるとか言って喜んでいたじゃないの?

亜紀  それが、甘かったのよ
     お兄さんもお姉さんも、それぞれ北海道と愛媛に
     もう家を建てちゃってるじゃない。
     だから、土地なんか貰うと面倒だからって、
     お父さんの貯金を二人で半分に分けちゃって、
     結局浩さんは土地を貰うことになったってわけ。
    
由美  それで、何が大変だったの?

亜紀  お父さんは遺言書がなかったから、今の話が
     まとまるまでが大変だったのよ。
     お母さんはもう気弱になっちゃって、交渉事は全部
     浩さん任せでしょう。
     今日は北海道に電話して、明日は愛媛に電話して・・・
     もう、電話代だけでもバカにならないわ。
     
由美  それはそうね。

亜紀  それで、やっと遺産分割協議書を作りましょうってとこまで
     話が進んだのよ。
     そうしたら、その協議書にお兄さん、お姉さんの実印を
     押してもらって、印鑑証明書もつけてもらわなきゃいけなくて・・・。
     郵便で、あっちに送ったりこっちに送ったり、もう大変でね。
     挙げ句の果てに、遺産分割協議書の作成をお願いした
     費用の話をしたら、お前の貰う土地が一番高いんだから、
     お前が払っておけって。

由美  浩さん、がっかりしたでしょう。

亜紀  そうなのよ。だって由美、うちは末っ子なのよ。
     本来ならこういう事って、長男である北海道のお兄さんが
     やってしかるべきでしょう
     それを全部うちに押し付けておいて、費用まで持てって言うのよ。
     お兄さんたちは良いわよ。現金でもらっているんですもの。
     うちは土地しかもらってないんだから、
     現金の出費は大赤字なのよ。
     それに、お兄さんもお姉さんも「世話をかけたなあ」とか
      「ありがとう」の一言も無いのよ

由美  身内が遠くに住んでいると、イザという時、何かと大変だとは
     聞いていたけど、その後のことも結構大変なのね。

亜紀  そう、私もここまで大変だとは思わなかったわ。
     せめて遺言書でもあれば、話し合いもいらないし
     印鑑証明もいらないし、ずっと楽に相続できたと思うわ。

由美  それで、浩さんは?

亜紀  ちょうど仕事が忙しい時期と相続の話が重なった
     ものだから、体調を崩しちゃって。
     この前胃カメラのんだのよ。

由美  まあ、それは心配ね。
     それにしても、相続ってつくづく大変ね



さて、亜紀さんは、相当うんざりしている様子ですね。

あなたの周りにも、これに該当しそうな人が、
たくさん思い当たりませんか

浩さんのお父さんはどうすれば良かったのか?
また、遺産分割協議書ってどうやって作成するのか?

またゆっくりお話しましょう。