さて、プロから見て遺言を書いて欲しいシリーズの
第2弾です


今回は「亡くなった夫に先妻との間の子供がいた」
という場合のお話です。

最近は、離婚する人も多いですし、子連れで再婚する人
もいれば、子供を置いてきて再婚する人も多いです。

アナタの身の回りにも、こんなケースはよくあると
思いますよ

さあ、今回は、どんなドラマが繰り広げられるので
しょうか



由美  亜紀。浩さんお亡くなりになったんですって。
     新聞見てびっくりしちゃった

亜紀  そうなの。私も新聞見て、まさかと思って。
     てっきり同姓同名の別の人だと思ったんだけど、
     住所が一緒だったから・・・

由美  ええっ。それじゃあ、亜紀のところには連絡なかったの
     だって、悟くんは浩さんの子供でしょう。

亜紀  由美だってそう思うわよね。
     いくら離婚して十年以上経つと言っても、子供は子供でしょう。
     でも、お葬式どころか、その後のお参りも全然連絡が無かったの

由美  新しい奥さんとの間に子供がいるとは聞いてたけど、
     それはちょっとひどすぎるんじゃないの
     それで、悟くんはなんて言ってるの。

亜紀  あの子も十年以上父親に会ってないじゃない。
     だから、せめて最期のお別れがしたいって言うから、
     この前の日曜日に行ってきたのよ。
 
由美  それで、どうだったの

亜紀  急に行くのも失礼だと思って、前もって電話を入れておいたのよ。
     そうしたら、いきなり弁護士さんが現れて、
     浩さんの遺言を読み始めたのよ。

由美  ええっなに、それ・・・。
     あっ、そうか。確か浩さんとこって、なかなかの資産家だったわね。
     それで、遺言には悟くんのこと、何か書いてあったの?

亜紀  それが、全然。一言も、全く。悟の「さ」の字も無かったのよ・・・
    
由美  本当なの。それ・・・。

亜紀  悟、お父さんのことが大好きだったから、すごくショックだったみたい
     
由美  いくら大人になったって言っても、まだ二十歳そこそこですものね。

亜紀  それに、弁護士さんの言い方がすごくいやらしかったの。
     まるで、悟が遺産ほしさにノコノコやって来たっていう感じで・・・。
    
由美  悟くん、かわいそう

亜紀  あの子、よっぽど頭に来たみたいで、
     母さん、弁護士に知り合いはないのかって、帰り道に急に言い出したの。
     行く前は遺産のことなんて何にも言ってなかったのよ。
     もう、僕は社会人だからって。

由美  今の奥さんとの子供って、確かまだ小さかったはよねえ。
     幼稚園ぐらいでしょう。

亜紀  そうなのよ。だから、別に遺産がどうのこうのって事じゃなくて、
     純粋に大好きだったお父さんにお別れが言いたかっただけなのよ。
     それなのに・・・

由美  それで、弁護士さんの所には行ってきたの?

亜紀  離婚の時に相談にのってもらった人が、
     日曜日でも良いからいらっしゃいって。
     悟ったら、弁護士さんの前で泣きだしたのよ。
     僕は悔しいって・・・

由美  ええーっ、あの悟くんが よっぽど悔しかったのねえ。
     でも、浩さんも馬鹿よねえ。
     一言、遺言書に悟くんのことを書いておいてくれれば
     良かったのに。

亜紀  そうなのよ。弁護士さんも言ってたわ。
     遺産を遺す遺さないの問題以前に、例え親同士は離婚しても
     子供は自分の子供なんだから、その子どもの心を傷つけない
     ように心を配った遺言書を書くべきだって。

由美  結局悟くんはどうするの?

亜紀  弁護士さんにお願いして、遺留分の減殺請求って
     いうのをするんですって。
     いくら成人するまで養育費をもらっていても、
     相続は別だから、きちんと請求しましょうって

由美  そうか。まだまだ大変そうね。亜紀も体に気をつけてね。

亜紀  うん、ありがとう、由美。

由美  それにしても、相続ってつくづく大変ね。


さて、今回のドラマでは、別れた先妻の方の家族に
スポットをあててみましたが、アナタはどう思いましたか?

ここでは、「子供の気持ちを傷つけない遺言」の話と、
「遺留分」という聞きなれない言葉が出て来ました。

それについては、また、ゆっくりお話しましょう。