さて、今回は自筆証書遺言のデメリットについて
お話しましょう

一番は、改ざんや紛失の恐れが有ることです

一人で書けるということは、逆に言えば書いたことを
証明してくれる人がいないということです。

と言うことは、本人がなくしてしまったり、誰かが誤って
紛失してしまっても、証明のしようがないのです

また、せっかく書いた遺言書を、大事にしまいすぎて、
発見してもらえないこともあります

また、原本が存在しませんから、書き変えられたとしても、
それを証明する方法もありません。

次に考えられるのが、遺言能力の有無の問題です。

遺言を書くには「遺言能力があること」が必要であると
民法にあります。

一人で勝手に書けるということは、逆に言えば遺言能力
があって、誰の指示も受けずに本人の意思で書いたか
どうか証明しにくいと言えます

よくあるのが、少し認知症の始まっている時期に書かれた
自筆証書遺言の有効性が争われる事例です。

「この時期には、お父さん、もう半分ぼけていたじゃないの。
こんな遺言一人で書けるわけないわ。お兄ちゃんが無理やり
書かせたんでしょう。」

なんて話になる可能性が高いと言えます。

次に、遺言の書き方によって、無効になってしまう可能性が
あることです

遺言は法律的に厳密に判断されますから、曖昧な表現で
書かれていると、無効になってしまう場合があります。

「わしの家を全部長男にやる」と書いてあった場合、家だけで
土地はどうなるのでしょうか。

また、自宅以外にも家を持っている場合、この全部はどこま
での範囲なのでしょうか。

などなど、一般の人は自分だけが納得して書いてしまう
事が多いのですが、実際に相続をする場合は、これでは
判断が出来ない場合が多くあります

そして、ストーリーにもあったように、家庭裁判所での検認が
必要ですから、すぐに開封することもできませんし、すぐに
相続手続きに入ることも出来ません

では、次回は、公証役場で作成する公正証書遺言の
メリットデメリットについてお話しましょう