さて、今回からは、自筆証書遺言についてのお話を
していきましょう

まずは、父親が亡くなって、自筆証書遺言を見つけた
兄妹のストーリーをお読み下さい。

兄   父さんの机の引き出しさばくってたら、
        こんなものが見つかったよ。

妹   ええ、何なのその箱? 何が入っているの。

兄   遺言書って書いてあるんだ、この封筒。

妹   ええっ、お父さん遺言書なんか書いていたんだ。
        さすがお父さんね。ちゃんと私達のこと考えて
        書いておいてくれたのね。

兄   俺もびっくりしたよ。いつの間に書いていたのかなあ。
        母さんも知らなかったらしいぞ。

妹   じゃあ、さっそく開けてみましょうよ、お兄ちゃん。
 
兄   うん、そうだな。ええっと、ハサミ、ハサミっと。

妹   ちょっと待ってよ、お兄ちゃん。なんか、封筒の裏に
        開けるなって書いてあるわよ。

兄   なんだって、そんなはず無いだろう。

妹   だって、何か細かくいっぱい書いてあるのよ。
        お兄ちゃん、読んでみてよ。

兄   よし、わかったわかった。なになに・・・
    この遺言書を発見した者は、遺言者の死後、開封せずに
        家庭裁判所に提出し、検認の申立てを行うこと。
        この手続を踏まずに開封した場合、過料に処せられる。
    って、いったい何のことだ、これ。

妹   なにそれ?家庭裁判所って何。
        私達別に何も悪い事してないのよ。
    何で裁判所なんかに行かなきゃいけないの。

兄   俺にも何のことだかさっぱりわからないけど、
        とにかく開けちゃいけないらしいぞ。

妹   お兄ちゃん、この箱の中、何かお父さんの書いた紙も
        一緒に入っているわよ。

兄   どれどれ、見せてみろよ。はーっ、さすが父さんだ。
        検認とは何かって、調べて書いておいてくれたみたいだ。
        助かったよ。

妹   本当?ああっ良かった。それじゃあ、お兄ちゃん、読んでみてよ。

兄   よし、読むぞ。
    検認とは、遺言書の改ざんを防ぐために、家庭裁判所が開封前に
        記録を取ることである。
        まず、家庭裁判所に行って、検認の申立書を手に入れて、添付
        する戸籍謄本などを揃えて提出する。
        すると、1ヶ月ぐらいの間に、家庭裁判所から呼び出され、
        相続人の前で開封し、検認済みが押してもらえる。

妹   えーっ、それじゃあ、1ヶ月以上この遺言書を読めないってこと。
        そんなの付き合っていられないわよ。  

いかがでしたか
うっそーそんな事聞いたこと無いわよっていう人
多いと思います。

でも、そうなんです。自筆証書遺言を見つけた時は、
すぐに開けて見ることが出来ないんですよ

妹じゃないけど、1ヶ月も待ってられないって思う人が
ほとんどでしょうね。

そこが、自筆証書遺言のデメリットでもあります

遺言書には、大まかに分けて自分で書いた自筆証書遺言
と、公証役場で作成した公正証書遺言があります。

それぞれ、メリットデメリットがあるので、次回はまず、
その辺りのお話からしていきましょう。