まずは、四十九日の夜のドラマから始まります。
兄 今日は折り入ってお前に話があるんだ。
妹 何の話なの、お兄ちゃん。
兄 実は、父さんの遺産のことなんだが・・・
妹 私も気になっていたのよ。それで、どうするつもりなの。
兄 父さんの遺産って言っても、この家と土地と、後は貯金が1千万円あるだけなん
だ。それで、母さんとも相談したんだけれど、家と土地は母さんの名義にして、
貯金を俺とお前とで半分づつにするのはどうだろうか。
妹 ちょっと待ってよ、お兄ちゃん。それは、おかしいんじゃない。だってこの家と
土地って、どう安く見積もっても4千万ぐらいするでしょう。
兄 まあ、そうだろうなあ。
妹 だったら、お父さんの遺産は全部で5千万あるってことでしょう。私には、
その4分の1の権利があるのよ。貯金全部を私がもらっても、まだ足りないってこと
でしょう。
兄 おいおい、その言い方は無いだろう。だいたいお前が家を建てる時に随分援助
したって、母さんから聞いてるぞ。
妹 それなら言わしてもらいますけどね。お兄ちゃんは東京の私立の四大に行かせ
てもらったじゃない。あれって、学費と仕送りと随分かかっているわよね。
私なんか、東京の女子大に行かせて欲しいって泣いて頼んだのに、結局地元の
短大しか行かせてくれなかったのよ。これって差別じゃないの。
兄 じゃあ、言うけどな。父さんが倒れてから一体誰が面倒みてきたんだ。お前なん
か子供が受験生だとか言って、たいして見舞いにも来なかったじゃないか。毎日
世話していたのは、母さんと俺なんだぞ。それがどれぐらい大変だったか、お前
にわかるのか。
妹 そんなの同居している家族なら当たり前のことでしょう。お兄ちゃんなんか、お
父さんの建てた家にずっと住んで、家賃も払わずにいたんだから、アパート代を
払いながら家を建てた私の苦労なんて、わからないのよ。
さてさて、四十九日の夜に兄妹げんかが始まってしまいましたね。
皆さんは、どちらの言い分のほうに味方しますか?
この二人の話し合いは、うまくまとまるのでしょうか?
まとまらずに平行線のままだったら、どうすれば良いのでしょうか?
遺言書さえあれば、こんなもめ事にはならなかったのでしょうか?
具体的な、解決策は、次回にゆっくりお話しましょう。