カーネギーという名前を聞いて、あなたはどちらの方を
思い浮かべるでしょうか?

鉄鋼王と呼ばれ、有名なカーネギーホールを寄付した
アンドリュー・カーネギー

「道は開ける」「人を動かす」などの著書で知られる
デール・カーネギー

この本は、前者のカーネギーさんの自伝です。

一般的に、有名人の自伝というと、自慢話ばかりに
なって、読んでいる方はうんざりだという場合が
多いのですが、やはり一流の方は違います。

私の履歴書 アンドリュー・カーネギー
「黄金律」に生きた心優しい男の物語
アンドリュー・カーネギー 著
ジョン・C・バン・ダイク 編 田中孝顕 訳
株式会社 騎虎(きこ)書房  1997

この本も、図書館で見つけたので、随分古い本です。
普通には手に入らないかもしれないし、新装版が
出ているかもしれません。

この本を読む前のイメージとしては、鉄鋼王として
あがめられていた方ですから、人を蹴落として大金持ち
になった、ちょっと怖いおじさまだと思っていました。

でも、この自伝では、イギリスで生まれて、アメリカに
渡ってからの苦労の日々や、労働者との温かい交流が
描かれていて、私の先入観はすっかり払拭されました

カーネギーの成功哲学を体系化したナポレオン・ヒルの
本も読んだことがありますが、自伝だけあって、様々な
エピソードが活き活きと描かれていて、読んでいてとても
面白いです

特に、アメリカの南北戦争前後の市民の暮らしぶりや、
国家としての未成熟な様子は、今の超大国アメリカ
しか知らない私達には、とても興味深いところです

宗教的な表現が多い部分もありますが、次の文章は、
全ての人々に胸に刻んで欲しい言葉だと私は思います。

受けるよりも与えるほうが、はるかに恵み多いことである

カーネギーは最初から鉄鋼王を目指していたわけでは
ありません

家族のために、目の前にある仕事を黙々とこなし、少しでも
周囲の人の役に立てる方法を見出そうとしただけです。

自分の目指すものと、現在の自分とのギャップに、時々
心が折れそうになります

でも、一つ一つ、目の前の課題をクリアしていくことが、
とても大切なのだと気づかせてくれた1冊です