前妻や前夫との間に子供がいる方は、ぜひ
遺言を検討して欲しいというお話をしました。

では、具体的にどんな遺言を書いたら良いの
でしょうか。

まず、遺言では、法定相続人以外にも財産を
遺すことができます。これを遺贈(いぞう)といいます。

ですから、妻や夫の連れ子がいて、法定相続人には
ならない場合は、その子供たちにも財産を遺したいと
いう、遺言を書きましょう。

次に、前妻や前夫との間の子供には、法定相続分
に相当する財産を残す方法と、遺留分に相当する
財産を遺す方法、全く遺さない方法が考えられます。

前回の例で考えると、法定相続分は4分の1です。
財産の4分の1を遺すとなると、今の家族の負担が
大きいですよね

そこで、遺留分相当の8分の1を遺す方法も考えられます。
これなら、後で遺留分を請求されるかもしれないと、
配偶者が心を悩まさずにすみます

ただ、前妻との間の子供がもう大きくて、今の家族の
子供達がまだ小さくてという場合や、養育費の支払い
だけでも大変で、遺産まではあげられないという場合
もあります。

そういう場合は、全く遺さない方法も考えられます。
ただし・・・・

必ず、付言事項で、心をこめた言葉を残して欲しいと
思います

遺言には、財産分けのことしか書けないと思っている方々も
多いかと思われますが、そうではありません。

法的拘束力のある「本文」の後に、法的拘束力の無い
代わりに、自由な表現で書くことのできる「付言事項
(ふげんじこう)」をつけることができます。

ここで、どうしても財産を遺してあげられないけれど、
お前のことはいつも大切に思っているし、愛しているよ
という言葉を残してあげて欲しいのです。

子供というのは、いくつになっても子どもです。
親から自分はどんなふうに思われていたのかという
ことをとても気にします。

特に、離れて暮らしている子供たちは、
自分は父親にとっていらない子だったのではないか、
自分は父親に愛されていなかったのではないか
という心の傷をずっと持ち続けています。

遺言を読むとき、父親はもういません。聞きたくても、
子供たちは、父親の気持ちを聞くことができません。

ですから、何も書かずに財産も無しということになれば、
子どもの心は非常に傷つき、一生その傷は癒されることは
ないでしょう

でも、たとえ財産は無くても、そこに父親からの温かい
メッセージが書かれていたらどうでしょう。

子どもはその言葉を読んで、
自分は父親に愛されていたんだと確信することが出来て、
一生その気持を持ち、明るく生きていくことができるのです

ですから、遺言を書かれる時は、どうぞ子供たちが
明日への希望を持てるような遺言を
書いていただきたいと思います。

遺言は、家族に残せる最後のラブレターなのですから