山形県出身の方には、地元の英雄として名高い
上杉鷹山公の本です。

上杉鷹山が、江戸中期の藩主で、藩の財政改革に手腕を
発揮したことは聞いたことがありましたが、実際の業績や
改革の方法については、全く知りませんでした。

いつか、上杉鷹山に関する本を読んでみたいと
以前から思っておりました

今回の本は、古本屋さんで偶然見つけたものなので、
とても古い本です。ですから、皆さんの手には入りにくいと
思います。

ただ、この本の他にも、上杉鷹山について書かれた本は
たくさん出版されていると思うので、ぜひ一度手にとって
いただきたいと思います。

「新装版 上杉鷹山の経営学」 童門冬二著 PHP研究所 1992

上杉鷹山は,もともとは、九州宮崎県の秋月藩の生まれで、
上杉家(米沢藩)には婿養子に入ったこと。

家付き娘であった妻は、心身障害者であったこと。

地理にも疎く、味方も知り合いも全くいない米沢藩で、たった
一人で財政改革に乗り出したこと。

既成の概念に対して、常に「民富」を第一に改革を断行したこと。
などなど、非常に興味深い事実がわかりました

その上で、この本の面白いところは、これらの鷹山の考え方や
行動を、現代の社会や企業に置き換えて、解説を加えている
ところです。

例えば、鷹山は先例を破って城内に足軽までの全藩士を
登城させ、全員の前で自分の考え方を話した。

しかも、藩の財政の現状を包み隠さず報告し、若輩者でよそ者
の自分一人の力では、財政改革が成し得ないことを正直に
話した。

そして、足軽などのヒラ藩士まで、今後の改革に必要な情報が
行き届くようにするから、各自も身分に関係なく改革に対する
意見を述べて欲しいと言った。

これは、現代に置き換えれば、実態の報告であり、自己の限界の
明示であり、協力要請と情報の共有、ボトムアップの強化を
打ち出したことになる・・・といった具合です。

「温故知新」とはよく言ったもので、江戸時代中期の鷹山の藩政改革
が、現代の企業や家庭の経営学に非常に参考になるのです

今、実際に企業を経営している方、これから起業しようと思って
いる方、ぜひ上杉鷹山の本を一度お読みになることをお勧めします