日本を、取り戻す。J-ファイル2012(Ⅱ) | 宮川典子オフィシャルブログ「きょうの典気」Powered by Ameba

日本を、取り戻す。J-ファイル2012(Ⅱ)

「日本再起動!」宮川典子です。

21日、自由民主党の政権公約「J-ファイル2012」が発表されました。
2009年の政権交代を経て、3年と4か月。
政治の役割は何なのか、そして政策は誰のために、何のためにあるのか。
私たち自由民主党は真摯に皆様の声に耳を傾け、そして反省し、このたびの
公約に日本の「あるべき姿」を掲げました。

「日本を、取り戻す。」

J-ファイル2012には、私たち自由民主党の決意と覚悟が込められています。

山梨県第一選挙区支部長としても皆様と共有したく、全12章を順次転載します。
今回はその2「経済成長」です。

日本を、取り戻す。


J - ファイル2012
 Ⅰ.復興と防災
 Ⅱ.経済成長
 Ⅲ.教育・人材育成、科学技術、文化・スポーツ
 Ⅳ.外交・安全保障
 Ⅴ.社会保障・財政
 Ⅵ.消費者、生活安全、法務
 Ⅶ.エネルギー
 Ⅷ.環境
 Ⅸ.地方の重視・地域の再生
 Ⅹ.農林水産業
 Ⅺ.政治・行政・党改革
 Ⅻ.憲法・国のかたち



Ⅱ.経済成長

「日本経済再生本部」を新たな司令塔に「失われた国民所得50兆円奪還プロジェクト」を展開し、「縮小均衡の分配政策」から「成長による富の創出」への転換を図ります。デフレ・円高からの脱却を最優先に、名目3%以上の経済成長を達成します。


25 日本経済の再生―新たな国家経済モデル『ハイブリッド経済立国』の構築

デフレ・円高からの脱却を最優先の政策課題と位置付け、経済の司令塔機能として内閣に「日本経済再生本部」を創設し、「失われた国民所得50兆円奪還プロジェクト」を展開することで「縮小均衡の分配政策」から「成長による富の創出」への転換を図ります。今後5年間を集中改革期間とする「日本経済再生・産業競争力強化法」(仮称)を制定し、「世界で一番企業が活動しやすい国」「個人の可能性が最大限発揮され、雇用と所得が拡大する国」を目指します。大胆な金融緩和策、税・財政政策、成長戦略など、あらゆる政策を総動員し、名目3%以上の経済成長を達成します。
繁栄への道を切り拓くため、海外の経済成長を国内雇用の維持・発展に資し、かつ国内外の金融・経済の環境変動に強い新たな国家経済モデルを創ります。すなわち「貿易立国」単発ではなく、国内の新たな付加価値創造につなげる「産業投資立国」でもある、双発型のエンジンが互いに相乗効果を発揮する強い産業国家『ハイブリッド経済立国』を目指します。世界市場から日本を見た時に「世界のヘッドクォーター機能」と位置付けられ、本社、研究開発部門、マザー工場の立地が促進される環境を整備します。


26 大胆な金融緩和でデフレ・円高から脱却

デフレ・円高からの脱却に向けて欧米先進国並みの物価目標(2%)を政府・日銀のアコード(協定)で定めるとともに、日銀の国債管理政策への協調などにより大胆な金融緩和策を断行します。金融緩和の実効性を高めるため、日銀法の改正も視野に、政府・日銀の連携強化の仕組みを整えます。財務省と日銀、さらに民間が参加する「官民協調外債ファンド」を創設し、基金が外債を購入するなど様々な方策を検討します。
また、日米欧中を中心とした国際マクロ政策協調(平成のルーブル合意)の合意形成に向けた積極的な通貨・経済外交を強力に推進し、安定化を図るとともに、危機防止に向けた国際交渉に果敢に取り組みます。


27 弾力的な経済財政運営

今後2~3年は国内景気の落ち込みと国際リスク(欧州危機、新興国の景気減退)等に対応できる、より弾力的な経済財政運営を推進します。まず、新政権発足後、速やかに「第1段緊急経済対策」を断行し、本格的大型補正予算と平成25年度予算とを合わせ、切れ目ない経済対策を実行します。


28 経済規模の拡大・雇用の創出へ向けた戦略的な国際展開―新たなGNI大国の実現

現状維持に汲々とすることなく、経済全体のパイの拡大・雇用の創出を図るため、GDP(国内総生産)に代わって日本人・日本企業が世界全体で行う経済活動、すなわちGNI(国民総所得)を最大化することを目指します。日本企業が積極的に外へ打って出て、内外一体で活動を広げることにより海外に新たな拠点を生み出しつつ、トータルでより多くの国富を獲得できるような戦略を取ります。
そのため、日本経済のグローバル化、地域の産業集積、企業・人の新陳代謝を政策による誘導で行い、国内の知恵を創造します。そして、グローバル人材の育成、世界の頭脳を日本に集めるための教育環境・研究環境・生活環境の整備や、国際競争力を持ち海外展開する企業が世界中で大きく稼ぎ、その富を国内に還元し、新たな事業と雇用を生み出す「資本の好循環」を作り出すための環境を整えます。
これらの政策を強力に実施するための拠点として日本経済再生本部に「国際経済戦略会議」を設置し、成長するアジア経済圏の取り込み、戦略的な海外投資と経済連携協定、国際資源戦略を展開します。


29 戦略的国際標準の獲得

わが国産業が国際市場で有利に戦うためには、工業製品等における「国際標準」の獲得が重要であり、「どの分野の工業製品」が「どのような標準」を求めているのか的確な情報収集を行わなくてはなりません。そして、新たな付加価値をどこよりも早く産み出し、その標準化を図り、市場に一番近いところで大量生産を開始する必要があります。
そのため、政府が率先して、こうした情報収集に努めると同時に、その情報を企業にも伝え、政府と産業がタッグを組んで国際標準の獲得、特に、再生可能エネルギーやスマートグリッドの技術、高度なものづくりの部品・材料等、「日本の強み」を最大限に発揮するために積極的に取り組む体制を整備します。特に、成長著しいアジアをターゲットとした技術支援を通じ、例えば、アジア標準を国際標準とするような「戦略的標準獲得」にも果敢に取り組みます。また、そのためのエキスパート育成を強化します。


30 「国富」を生み出す知財戦略

資源に乏しいわが国にとって「知的財産」はまさに、「国富」を生み出す一つの手段であり、確固たる知財戦略を構築する必要があります。巨額な費用と時間をかけて生み出された「財産」を保護し、それを利用してさらなる「国富」を生み出すことは持続発展可能な経済にとっては不可欠なことです。知財の取得・活用を国家戦略としてサポートするため、まずは、研究開発の成果物が迅速に知的財産として保護されるよう「審査の迅速化」を進めます。特に、別の国においても早期に審査が受けられる体制も併せて進めます。
また、大学等の研究機関が専門的知識と経験を有する知財人材を十分に確保できる支援体制の整備に努めます。
一方、わが国で確立された最先端の技術が知的財産として保護されることなく流出することは、国益を大きく損ねることになるため、技術流出を防止する制度をさらに強化していきます。


31 わが国発国家プロジェクトの世界的躍進

再生可能エネルギー等の先端的環境エネルギー技術や新幹線・リニア等の鉄道技術、上下水道で用いられている膜技術、漏水対策や再生水利用技術、電気・ガスなどのライフライン・システム等、わが国の優れたインフラ関連産業やサービス産業、コンテンツ産業の国際展開を強力に支援し、受注競争での“競り負け”を防ぎます。先進国・途上国を問わず技術・ノウハウ・製品が統合されるパッケージとしての国際展開を積極的に支援します。
併せて、近年役割が増しているプロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)の資格保持者の養成を積極的に進めます。


32 科学技術政策の強力な推進力となる真の「司令塔」機能の再構築

資源の少ないわが国にとって、今後の社会・経済をさらに発展させるため、企業の研究開発投資が激減する中、新たな成長に向けて国主導で科学技術イノベーションをリードするのが喫緊の課題です。
しかし、年間約3.6兆円にも及ぶ科学技術関係予算については、文部科学省を中心に、経済産業省や厚生労働省等、関係省庁に予算が配分され、各省内で同様な研究が行われている事例も見受けられ、縦割りの弊害が顕著です。また、限られた予算にも関わらず、効果的な配分が行われていないのが現状です。
そこで、産業の生命線である科学技術を国家戦略として推進し、「価値の創造拠点」とするべく、総合科学技術会議の「権限」「体制」「予算システム」を抜本的に強化し、真の「司令塔」機能へと再構築します。
具体的には、各省庁の縦割りを排し、強力な予算配分権限を集中させ、適正な評価を行うことができる人材育成とシステムの構築を行います。例えば、素粒子物理分野の大規模プロジェクトであるILC(国際リニアコライダー研究所建設)計画等を含む国際科学イノベーション拠点作りに日本が主導的な役割を果たし、再生医療や創エネ・省エネ・蓄エネ等の重点分野を産学の知を結集した国家戦略として強力に推進します。


33 新ターゲティングポリシーの大胆な遂行と産業化に向けた支援強化

日本経済再生本部の「産業競争力会議」の下、将来の市場拡大が期待される分野を特定し、産学官の協調体制を築いた上で、投資ニーズに沿った規制改革や減税・資金調達環境を整えるといった税・財政等の支援等を集中投入する新ターゲティングポリシーを大胆に遂行します。まずは「国民的課題を解決し世界に展開可能な戦略目標の設定」(健康寿命世界一、クリーンかつ経済的なエネルギー需給等)を行い、これに基づき戦略産業の育成、コア技術への集中投資、制度改革など、一気通貫の政策を進めます。
例えば、iPS細胞を中心としたバイオ・テクノロジー研究のメッカとするべく、その技術を活かした再生医療や創薬の分野をわが国のリーディング産業に育成するべく、その産業化拠点として京阪神地域を「バイオ・ベイ(BB)」として発展させる等、特に、各ターゲティング分野の集積地を集中的に支援します。


34 不断の規制改革

消費者行政とのバランスをとりつつ、各種規制のあり方を行き過ぎたものを含め不断に見直し、潜在需要を顕在化させて発展的経済活動を支援します。戦略分野ごとに企業の活動のしやすさを世界最先端の制度にするため、諸外国との違いを合理的に説明できない制度的障害は3年以内に撤廃するといった「国際先端テスト」を導入し、各種規制・運用を見直します。
また、新たな立法時における規制の新設についても、国民の安全安心を確保するとともに、自由で活力ある経済活動を阻害しないようにする観点から、引き続き十分な事前審査を行います。各種事業の規制については、事業仕分けの手法を用いた“政策棚卸し”を実施し、見直しを鋭意進め、産業の新陳代謝を阻害する規制は直ちに撤廃します。併せて、競争力の強化に向け、各省が持っている権限を再編・整理します。


35 「ニッポン産業再興プラン」の実行

「ニッポン産業再興プラン」として、世界で勝ち抜く製造業の復活に向け、先端設備投資の促進、革新的研究開発への集中投入、長期資金に対する政策金融の強化(「融資」から「出資」へ)を図ります。
また、日本の立地競争力の復活(海外流出防止)に向け、円高・デフレ対策と併せて電力・エネルギー制約の克服やイノベーション基盤の強化、雇用の拡大につながる企業環境の整備等を行います。


36 法人税の大胆な引き下げによる雇用の拡大につながる企業環境の整備

日本企業が世界で勝負するためには、税制を含めた競争条件のイコールフッティングが必要であり、日本を拠点に海外で活動できるだけでなく、海外の企業が日本に進出する環境を整える必要があります。そのため、法人税については、国際的整合性及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意し、法人税を国際標準に合わせて思い切って減税します。


37 医薬品・医療機器の審査体制の充実・強化

再生医療、医療・介護ロボットなど、日本発の革新的医薬品・医療機器の研究・開発を促進するために、医療の安心・安全に十分配慮しつつ、医薬品・医療機器の審査体制の充実・強化、各種規制の改革、早期臨床試験(POC)実施体制の整備などによって、薬事承認の迅速化、ドラッグ・ラグやデバイス・ラグを解消します。
また、医薬品・医療機器等の革新性に対する適切な医療保険での評価、医薬品開発に関わる人材育成体制の整備を充実させます。国際共同による治験を推進し、医薬品の治験・承認を国際標準とするために、日本版FDA(米国食品医薬品局)構想を推進します。


38 ビジネスクラスの介護の促進

利用者の様々なニーズに応える質の高い介護サービスの提供を新たな成長分野と捉え、公的仕組みでは十分に対応できないニーズ等に応える多様な民間サービスを民間保険の活用を含め支援します。


39 世界へ向けた情報発信力の強化、デジタルコンテンツ市場の拡大

「クール・ジャパン戦略」を推進し、日本のものづくり技術と世界に誇る日本のアニメを掛け合わせた他の追随を許さない真のJAPANオリジナルコンテンツの創造や東京国際映画祭のグリーンカーペットをアジアのステイタスとするための環境整備(大規模展示会場の建設等)、世界のコンテンツのメッカとして秋葉原を街ごとバージョンアップさせる等、観光資源としてだけでなく世界的イベントのホスト国となる機会を増やすための取り組みを進めます。
文化・伝統(衣食住)などわが国の持つ魅力(ソフトパワー)を積極的に海外に発信します。特に、世界に広がりをみせる放送コンテンツの海外展開や電子書籍・電子雑誌の流通促進、電子看板(デジタルサイネージ)の推進などにより、デジタルコンテンツ市場の拡大を支援し、地域を含めたわが国社会経済の活力を増大させます。JAPANブランド委員会を設立し、国をあげて、日本の伝統工芸品を新しいかたちで世界へ向けて飛躍させるとともに、アニメ・マンガ・ゲームなどのコンテンツ作成だけではなく、「イベント創造」「営業方法」など、利益を生むトータルでのシステム構築を支援します。あわせて、文化・感性商品としての特性を有する日本の生活支援ロボットなどロボット製造技術の活用・育成に繋げていきます。
また、海賊版・模造品対策を一層強化します。


40 アジアNo.1の金融・資本市場の構築

日本をアジアの金融・運用の中心地にするべく、企業の活力ある経済行動と国民資産を適切に運用できる公正な競争条件の確保かつ十分競争できる活発な金融資本市場を構築します。まずは金融セクターの対GDP比を英国並みの10%台に押し上げ、「業」としての金融を育成します。
そのために、「貯蓄から投資へ」の流れを促進する簡素で分かりやすい証券税制への見直しや東証「グローバル30社」インデックスの創設、「日本総合取引所」の創設、外資誘致のための新たな金融特区の創設など、民間金融機関・証券市場の活性化や資産運用マーケットの強化を行います。その際、国民にとって健全な経済と成長に結びつく企業法制と資本市場法制を統合したガバナンス構築を目指します。


41 新しい「モノづくり」につながる「コト」づくりの推進

わが国経済が成長していくには、従来の「モノづくり」の強みを活かすだけではなく、時代や人のニーズを先取りした、新しい「モノづくり」を行い世界市場に打って出ることで、国内だけではなく「海外で儲ける」ことが、我々の目指す新しい国家経済モデルの一翼を担うと考えています。
そこで、新しい「モノづくり」を生み出すには、より多くのアイデアや技術が組み合わさることが重要であり、多くのヒトやモノがボーダレスにつながる手段として現在、
「Facebook」や「Google」など、「コト」が注目されています。わが国においても、世界に類を見ない「コト」が生まれるよう「コト」づくりを強力に推進するため、「コト」をつくり出す新しい価値創造産業の基盤を醸成します。


42 社会全体のICT化

ICT化により、様々な分野において事業の効率化、サービスの向上など、国民生活の利便性が飛躍的に伸びました。今後、産業がグローバル化する中、産業界においても、さらなるICT化を進めると同時に、国、地方、企業、個人それぞれがICTの恩恵を受けられるよう「社会全体のICT化」を進めます。例えば、電力供給効率化につながるスマートグリッドの導入・スマートシティの形成、ITSによる交通の円滑化、電子政府の実現など、国民生活の利便性向上と環境への負荷低減に向けたICT利活用を力強く推進します。
情報サービス・コンテンツ産業としてデータセンター等の設備投資は生産波及効果が2倍と大きく、雇用誘発力も高いことから、これらの分野への投資機会を積極的に増やします。


43 政府CIO制度の確立

政府のICT政策を一元的に把握し、政府のICT投資計画を策定する政府CIO(最高情報責任者)を法的根拠に基づいて設置します。政府CIOは、政府業務を徹底的に見直すとともに、電子行政の推進に向けた予算を確保し、統一した設計思想の下で電子政府を再構築することにより、オープンでデジタルな政府による国民サービスの向上を実現します。


44 サイバーセキュリティの対策強化

頻発するサイバー犯罪から国民を守るため、さらに各省の連携を強化し、総合力を発揮できる体制を整備するとともに、官への投資と民間転用を呼び水に経済成長へ貢献します。
特に、警察庁や防衛省、海上保安庁において、米国並みの動的防御システムやバックアップシステムを早急に構築します。また、政府機関の全ての情報機器や複合機を厳密なセキュリティ監視下におくための措置を早急に整備します。これらの施策と共に、最高度のセキュリティ技術を製品/サービス化し政府機関に納入するとともに、民間へ転用するための拠点を構築する事を呼び水として、わが国の高度情報セキュリティ産業を創出し、10万人規模の新規雇用を創出して経済成長へ貢献します。


45 G空間(地理空間情報)プロジェクトの推進

わが国独自の衛星測位システム(準天頂衛星「みちびき」日本版GPS)の実用化と全国一律の基盤地図整備を「地理空間情報活用推進基本法」に基づいて促進することで、世界最先端の地理空間情報を高度に活用できるG空間社会を実現し、「国民の安全と安心を守る社会」「新たな産業・新サービスの創出と地域の活性化」「行政の効率化と高度化」等を促進します。
また、この様なG空間社会をパッケージとして海外展開することで、途上国支援等の国際貢献やわが国経済の活性化も図ります。


46 G空間プロジェクトによる資源確保と海の防災システム高度化の促進

わが国は世界第6位と言われる排他的経済水域を持つ国土大国です。「海洋基本法」、「宇宙基本法」と「地理空間情報活用推進基本法」を連携推進することで、わが国近海の地形をメートル単位で正しく把握し、正確な位置情報の下で大陸棚や深海に眠るエネルギーやレアメタル資源等の発掘、水産資源の確保等に努めます。
また、海底プレートの移動や遠海の津波の高さをセンチメートル単位で常時監視するシステムを開発することで、地震予知や津波検知技術の高度化等も図り、防災・減災に資します。


47 わが国競争力の維持・強化につながる企業環境の整備

世界経済が米国一極集中から多極化へ向かっている中、日本は依然として、多数のプレイヤーが国内で消耗戦を繰り広げる構図です。そのため、企業規模の拡大など企業を強化する過程において、現行の企業結合審査を迅速化し、併せてその透明性・予見可能性を確保します。各種業界の統廃合を妨げないような環境を整え、わが国がグローバルな競争に勝ち残っていくために必要な産業競争力の基盤を強化します。
さらに、わが国産業の空洞化を阻止し、海外企業等を呼び込むことによりわが国経済の相対的な地位を維持・向上させることを目指し、医療研究、サステナブル都市、国際コンテンツ拠点、自治体による国内外の企業や研究施設の誘致促進を可能とするため、税・財政上の措置も含めた「グローバルトップ特別区」の創設等、特区制度を深堀りします。
また、地域活性化の観点もさることながら、大震災によるサプライチェーンの分断という教訓を踏まえ、経営効率や国際競争力の低下につながらないよう配慮しつつ、危機管理上の点からも基幹部品の立地分散を促進する支援策を緊急かつ集中的に行います。


48 ベンチャー事業等の創造・活路支援

ベンチャーを既存企業とともに経済成長の両輪ととらえ、日本の強みを更に活かした挑戦に対してエンジェル税制等を含めて積極的に支援し、新規開業を促進します。技術力・経営力の基盤が強固な大学発のベンチャーを継続的に創出するための体制整備等を支援します。その際、研究成果を目利きによって厳格に選定します。
また、この過程において、優良・有望な開発シーズを選別し、ベンチャー企業の事業を再編するための「目利き人材」の確保も同時に行います。
また、エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)については、その普及が進んでいない現状を踏まえ、町おこし・村おこしに向けて取り組む企業等も対象に加える等の検討を行い、使い勝手の良いものとします。


49 ソーシャルビジネス及びコミュニティービジネスの進化による新たな雇用の創出

東日本大震災によって改めて日本人の「絆」が復旧・復興に大きな力を発揮し、人々及び地域の連携の重要性を再認識しました。一方、まちづくり・地域づくりに際し、環境問題や少子高齢化の問題等、多くの地域が多種多様、かつ固有の課題を抱え、その解決に苦慮している現実もあります。
そこで、地域の「絆力(きずなりょく)」を利用し、地域住民をはじめとして地域に根付いているNPOや地元企業などが協力し合い、地域に応じたサービスを行えるビジネスとしてソーシャルビジネスやコミュニティービジエスを進化させ、地域住民へのサービス向上と雇用の創出を目指します。


50 中小企業の事業再編・転換への支援、既存基幹・在来産業の底上げ

国内の生産拠点の減少や国全体の購買力の減退による産業の空洞化、相次ぐ大企業の経営不振は、内需に依存している中小企業にとって死活問題です。また、大震災によってダメージを受けたサプライチェーンを修復するとともに、足腰の強い経営体を作るには、企業内のムダを取り除き、新規事業を開拓する必要があります。そのため、企業内の不採算部門を除去し、新部門を創設するための専門家との相談体制の強化、資金上の支援等を可能とする体制を整備します。オンリーワンな中小企業もさることながら、企業群を連携・組織化することで経営資源を補い、企業の経営基盤を強化します。製造業や流通業といった在来産業の底上げも併せて行います。
さらに、全く新しい分野へ事業転換をする場合においても、短期的ではなく、中長期の展望が切り拓けるよう、事業転換から経営の安定(経営ノウハウ、商品開発、IT化等)までトータルの視点で支援できる体制を整備します。
加えて、中小企業の経営基盤の強化を図るため、創業企業への税制上の支援措置や事業承継税制の適用要件の緩和、事業主報酬制度など中小企業関係税制の充実・強化を図り、中小企業の創業や個人事業主の活性化、事業承継を応援するといった「創業・第二創業」を徹底して促進・支援することにより雇用増加に結び付けます。


51 「日本から世界へ」中小企業のグローバル化・海外展開の支援

日本では生産性が高いのにグローバル化していない企業が多数あり、特に中小企業において顕著です。生産性が高く競争力のある企業がグローバル化することで、さらに生産性は高まり、ひいては日本の経済成長を促進させ、国内の雇用も増加させます。
こうした在野に埋もれた有力な企業を国内から海外へと飛躍させるため、ワンストップサービスで対応する「海外展開戦略室」を政府に設置する等、マーケティングや資本調達、人材育成、現地事業環境といったあらゆる面をオールジャパンで支援する体制を強化します。また、中小企業に輸出や海外進出のチャンスを提供する啓蒙活動についてもJETROによる助言や中小企業診断士の活用に加えて、商社など大企業のOBを活用したマーケティング支援などを積極的に行います。


52 EPA・FTAの促進

日本経済は外需依存体質と言われつつも、実際の輸出に占める対GDP比は1割強に過ぎません。内需・外需にけん引された力強い経済成長を達成するためにも、国益を最上位とした多角的自由貿易体制を確立し、諸外国の活力をわが国の成長に取り込む必要があります。そのために、わが国が国際的なリーダーシップを発揮して、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結に取り組みます。また、重点国を戦略的に選定し、経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)交渉を積極的に行います。世界的に貿易競争が激化する中で、わが国の貿易が安定的に行われるために、先進国・新興国を含めた諸外国のニーズを踏まえた相互協力関係を構築します。


53 投資協定・租税協定締結の促進

海外市場で得た利益を国内の新たな付加価値創造へと向かわせることを可能とするために、二国間の投資協定や租税協定等により資本移動の自由化を推進します。海外子会社の配当、ロイヤリティ等の還流資金の二重課税は完全撤廃を目指します。そのため、現在28ヶ国(24年4月現在)と他の先進国に比べて大きく後れを取っている日本の投資協定について、経済界の実需に併せて、アフリカをも視野に入れ、戦略的に展開するとともに、協定の質の向上にも努めます。


54 本社機能、拠点機能の戦略的な地方展開

産業空洞化に歯止めをかけ、産業活動の地方展開を促進すると同時に危機管理と一極集中の是正の観点から、戦略的に選定した地域における産業等の新規立地に対して、大幅な税制上の優遇措置を講じます。また、首都圏に集中する本社機能、研究開発拠点、データセンターの移転に関しては、さらに一段の支援措置を行います。


55 企業のBCPの策定支援

東日本大震災によるサプライチェーンの分断を教訓とし、企業が緊急事態に備えたBCP(事業継続計画)を策定し、継続的な改善を行うことに対する支援制度を強化します。
また、従来のBCPは自社が被災した時の対応を中心に定められてきましたが、東日本大震災を教訓として、全国的なサプライチェーンの維持のため、被災を受けなかった場合の被災地に対する支援のための緊急的な生産体制の変更についても、BCPに盛り込むよう働きかけていきます。「企業単独型のBCP」から「企業連携型のBCP」の策定に向け、支援を行っていきます。
なお、策定されたBCPのうち、緊急事態において、被災地に対する自社の緊急支援内容については、日頃から可能な範囲で公開するシステムを構築し、いざという時のために備えます。


56 若者の就職応援

学生を取り巻く就職環境が最悪期は脱したものの依然として厳しい状況であることに鑑み、就職活動を頑張っている若者が前向きになれるよう、将来を見通せる雇用制度に再整備します。
特に、公的機関と大学が連携し、新規学卒就職できなかった人を孤立化させない取組みを行います。技能・技術、実践的知識を身につける職業教育・キャリア教育の強化、インターンシップの拡充、年長フリーター等(25歳~39歳)を重点とした正規雇用化の支援や産学官が連携しての人材育成等を活用します。それにより、後継者不足の業種等、人を必要としている産業への雇用システム・求職マッチングを円滑かつ強力に支援し、労働力の流動化など健全な競争を通じて人材が適切に配置される「適材適所社会」を目指します。10%前後の若年層の失業率を4年で半減させることを目指します。


57 女性力の発揮によるいい国づくり

女性の潜在的な力を活用することは成長戦略の原動力です。そのために、日本社会の基盤である伝統的な家族や地域の絆を大切にしつつ、社会全般の多様性の実現を目指します。
まずは、女性力の発揮による社会経済の発展を加速させるため、社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする目標(“2020年30%”(にぃまる・さんまる))の達成に向け努力します。


58 女性の就業環境の整備

女性への就労支援、特に子育て中の母親への支援として、再就職に積極的に取り組む企業に対する支援制度の創設、マザーズハローワーク事業の拡充等を実施するとともに、資格取得についても支援し、就業と出産・育児の両立、つまりは継続して働くことが可能な環境を整えます。新しい家族像、家族ビジョンを踏まえ、夫婦が共に働き、共に家事を負担(協働・分担)できるワークライフバランスを推進します。大都市部を中心に保育所の拡充を図るとともに、放課後児童クラブのより一層の量的・質的向上だけでなく、待機児童が多い地域における自治体の取組みについても支援します。


59 高齢者の社会参画、生涯現役社会実現

人生100年時代を見据え、働く意欲のある高齢者の方々が個人の能力・経験を活かし、生涯現役として働きやすい環境を整え、「70歳現役社会 ― 生涯現役社会」の実現に向け、65歳までの雇用の着実な実現や定年延長等に加え、「70歳はつらつ現役プラン」として50歳代からの定年後のキャリア形成についてカウンセリング等の支援と職業教育訓練を行います。シルバー人材センターの活用に加え、高齢者の方々の起業や就職についても後押しします。更に、職域の拡大や処遇の改善に取り組む事業者に対する支援とともに、65歳以上の方を継続して雇い入れる事業者に対する助成も行います。