具体案なき「脱原発」は無責任です
「脱原発社会を目指す!将来は原発をゼロに!」
久しぶりの菅総理の記者会見、内容はうすうす予想がつきましたが
やっぱり言ってしまいましたね・・・。
今回の大震災で目にしたように、原発の安全神話を信じるあまり、
実質の安全対策が後手後手になってきた現実は真摯に受け止めるべきです。
自民党は2030年に20~30%、民主党は2030年までに50%を
原子力発電に頼るといったエネルギー政策を打ち出していていました。
どこの政党がどうということではなく、原子力という効率のいい発電技術に
国全体が頼っていたことも、素直に認めなければなりません。
我が国のエネルギー政策が岐路に立っていることは確かです。
しかし、菅総理から具体案は提示されたでしょうか?
「脱原発社会にするためには○○が必要」
「原発ゼロでも日本経済に負担をかけない方法は△」
「自然エネルギーが原発を超えるには■という技術が」
こうした具体案を提示しないままに、受けのいい言葉を
むやみに躍らせるのは無責任極まりないと思います。
現在、国内に54基ある原発は19基しか稼働しておらず、このままでいくと
来年の4月にはすべての原発が停止する予定です。
日本の発電の30%を担っている原発が全停止する事態が起こる前に、
これからのエネルギー政策の具体案を早急に検討せねばなりません。
40年ほど前、オイルショック以降、エネルギーの安全保障の脆弱性に
悩んだ日本が推し進めてきた原発が「ゼロ」になる時、
日本にはどんな具体的なエネルギー政策が確立されているのか?
大衆迎合な言葉だけを並べている総理には、正直期待できません。
世界の多くの国は、「脱原発」路線を歩み始めています。
しかし、そこには経済体制に悪影響を及ぼすことを回避でき、
生活レベルを落とさない具体案が必ず存在しています。
だからこそ、「脱原発」という英断を打ち出すことができるのです。
菅総理は自然エネルギーを用いた新エネルギー政策の確立に意欲的ですが、
水力発電8%、風力発電2%、太陽光発電0.3%の現実、
太陽光発電の設備稼働率は12%しかない事実を
どう受け止めて自然エネルギー政策を推し進めようとしているのか・・・。
「また彼の言葉に振り回されるのでは」と周囲が疑心暗鬼になっていることに
菅総理自身が早く気がついてくれることを切に望んでいます。
政治家の役目は・・・
「勇気と真心をもって真実を伝えること」だと教わりました。
延命しがたいがための、人気取りだけの言葉遊びはもうたくさんです。
菅総理が本当に日本と国民のことを愛している総理大臣ならば、
ポピュリズムに傾いた具体性のない言葉で「扇動」するのではなく、
誠実で現実に即した政策と方向性で「先導」してほしいものです。