ハッピーマンデー法。 | 宮川典子オフィシャルブログ「きょうの典気」Powered by Ameba

ハッピーマンデー法。


愚策だ。

と、私は常日頃思っている。

風情も伝統もあったものではない。

祝日には必ず大切な意味がある。

だから、その意味を噛み締めるために国民は休息を与えられる。

しかし、ハッピーマンデー法が制定されてからは

「意味ある日」を、「意味がわからなくなる日」になってしまった。

伝統を重んじる私には、未だ馴染めない法である。



週休2日制の定着に伴い、月曜日も休みにして3連休をつくり、

余暇を楽しんでもらいながら経済効果も期待したのがこの法の始まり。

平成10年の「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」で

「成人の日」と「体育の日」がそれぞれ指定の月曜日に移り、

平成13年の「国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律」で

「海の日」と「敬老の日」が移動することになった。

これはアメリカが行っていた祝日改正に則ったと言われているが、

上記の4祝日を見ても、意味深い日が移動させられたことになる。



では、3連休が増えてどうなったか?

確かに、家族や友人と余暇を過ごすチャンスは増えただろう。

しかし、仕事や学校という場では問題が山積みだ。

私は教師をしていたから実感としてわかるのだが、

この3連休に戸惑う人は少なくない。



例えば、親が祝日に関わらず月曜日出勤をしなければならない時、

学校が休みの子供たちをどうするかが大きな問題になる。

「仕事が休めない。どうしたらいいか」と学校に相談もあるし、

「子供たちが心配」とハッピーマンデーの度に仕事を休む親もいる。

仕事というのは、カレンダー通りに進むわけではない。

まして多様な職業がある今、暦があってないような職場もあるだろう。

これでは本末転倒だし、逆にストレスが溜まってしまうこと必至だ。



学校において起こるのは、「授業時間数」の問題。

これは私の体験談だが、英語は単位数が多く週7時間あった。

7時間を週5日で消化するのだから、2時間連続授業が必ず1日ある。

それが編成の都合上、月曜日にあたってしまったとしたら…。

一年間で自動的に8時間削られることになる。

8時間も授業が削られるなんて、かなりの一大事であるし、

それは直接子供たちの学力にも響いてくる。

そして、3日も連休が続くと、子供たち自身が生活ペースを

取り戻すのに時間がかかり、効率の悪い時間ができてしまう。

コンスタントに維持したいこのペースが途切れることの弊害は大きい。

率直に言えば…「また連休?もういいよあせる」というのが素直な気持ちだ。



祝日には、国民が休息を与えられその日を喜ぶために足る

意味や歴史、伝統が内在している。

単なる「休日」ではなく、「祝日」として後世に伝えていきたい。

子供たちが「成人の日や敬老の日って何ですか?」と口にすると

私はドキッとして、伝統の分断をまざまざと実感させられる。

と同時に、やはり「ハッピーマンデー法は廃止したほうが」…

と考えてしまったりするのである。



今日は「成人の日」。

街を歩いていると、晴れ着に身を包んで嬉々として歩く新成人、

それを感慨深そうな表情で見つめるご家族に何度も出会う。

思わずこちらまで顔がほころんでしまう光景だ。

「成人の日」がなぜ1月15日だったか、知る若者は少ないだろう。



1月15日は小正月、その昔「元服」が行われていたことから

この日を「成人の日」と定めたのではないか、と言われているんだよ。



伝統や歴史の分断を極力少なくし、現代に合った生活様式が

紡いでいけたら理想的なのに…と感じずにはいられない一日である。