私のどこに惹かれたのか、

そして結婚前提でのお付き合いをしたい旨を

男らしくハッキリ言葉にして伝えてくれた士業さん。

 

 

 

 

 

告白をするためだけに

こんなに素敵なレストランに連れてきてくれて、

いつも喜ばせようと尽くしてくれて、

 

誠実な人柄の士業さんから

打算のない真っ直ぐな、

純粋な愛情を十分なほどに感じた。

 

 

 

うちは祖父母の家柄は少しだけ立派だったかもしれない。

 

 

けれど厳格な祖母に愛されないと思い悩んでいた母は

自由が欲しかったのか家を出て行き

両親は離婚した。



両親の姿を見て、男女の愛は永遠ではないのだと悟り

「家族とは何か?」

“結婚することの意味”“自分の存在意義”を深く考えるようになった。



うちに残った父が再婚した外国人の義母と私のソリが合わず、家に私の居場所がなくなった。

 

 


兄妹もいないので

1人で生きていく力を身につけようと

早く社会に出て最初は手取り13万程度、

年収300万くらいの給料で働いてきた。

 

 

 

生活費が足りなくて、睡眠を削ってアルバイトを掛け持ちしていた時期もあった。

 

 

 

 

働けてお金をいただけるだけで有り難いと思った。

中古のボロでも服が着られてご飯を食べられるだけで、なんて幸せなことなんだろうと何度も思った。

 

 

 

泥水吸って生きてきた私と違い、

裕福な家庭に生まれ都心で優雅な生活を送る周りの友人たちが、

どれだけ輝いて見えて羨ましく思っただろう。

 

 

 

 

1円でも節約をしようと

そして1円でも多く自分の力で稼げるようになろうと、早く仕事のスキルを磨いて結果を出そうと

とにかく必死だった。

 

 

 

社会は私にとって、

常に生き抜くための闘いの場だった。

 

 

 

 

士業さんは私にはもったいないほどの

年収・学歴・職業とも申し分ないエリートで

謙虚で勤勉で真面目な人柄。

 

 

常に私を喜ばせようと行動してくれて

驚くほどに尽くしてくれて

 

こんな男性に結婚前提で申し込みされて

女性としてこれ以上幸せなことはないだろう。

 

 

 

 

普通なら、喜び勇んでOKする女性ばかりなのだろう。

こと、アラフォーの『婚活』という場においては‥。

 

 

 

 

 

‥ただ、この時の私は。

 

 

士業さんに男性としてのトキメキを感じられていなかった。    

 

そして、

学歴や経済力があるから惹かれる(付き合いたい、結婚したい)かというと、NOだった。

 

 

申し分ない人柄をよそに、

私といる時の緊張してる態度が“ダサく”さえ感じていたところも正直あった。


この時の私の目には、私に尽くしたりしないクールな態度のとしきさんがカッコ良く映っていた。

 

 

 

(この時まだ自己価値感のなさが私の中に残っていたから、クールに扱われるほうが心地よく感じてたのだと思う。)

 

 

 

としきさんの“見た目”“クールな態度”に惹かれていた私。

 

まだとしきさんに告白をしてもらえていなかったこともあり、どうしても士業さんに“はい”とは言えず‥。

 

 

 

“士業さんに会って実際告白されて

その時感じたことが自分の答えだ”と信じて

今日私は家を出た。

 

 

そして、実際告白をしてもらって

思ったことが、上記のことだった。

 

 

 

「真っ直ぐ伝えてくださってありがとうございます‥。

今日もこんなに素敵なお店に連れてきていただいて、本当に嬉しかったです。

 

ただ、正直に言うと今他にもお会いしている男性がいて答えを出せない自分がいます。

 

その人とお付き合いが決まったわけでも

付き合うかもまだわからないんですが‥。

 

‥士業さんにここまでしていただいてるのに、

こんなお返事しか出来ず本当にごめんなさい。」

 

 

 

 

としきさんに告白されていない以上、

そう伝えるしかなかった。

 

 

 

私の答えに戸惑いながら

士業さんも少し黙り込んでしまい。

 

 

 

「‥

そうなんですね‥

答えが出るのはいつ頃になりそうですか?」

 

 

 

「‥わからないです。

ただ、もちろん私も結婚をしたくて真剣に婚活を始めたのでズルズルするつもりは全くないです。」

 

 

 

「‥そうですか。」

 

 

「はい‥」

 

 

 

 

優雅なBGMや別席のグラスの美しい音が先ほどまでと変わらず私たちの間を流れていく。

 

 

 

しばしの沈黙を破り士業さんがこう言った。

 

 

 

 

「もし私とお付き合いしてもいいと思ったら

教えてください。少しモニカさんを待ちたいと思います。」

 

 

 

 

 

 

え、、、

 

ま、

 

待つ?!!ポーン

 
 
 

「え、でもすみません💦

いつになるか約束できないですが、、

しかもどう言う答えを出すかもお約束できません。」

 

 

 

「大丈夫です。自分の中で期限を決めてそうします。」

 

 

 

 

想定外すぎる返答が。

 

けれど士業さんの決めたことだし、

私もこの先気持ちがどう変わるかもわからなかったこと、
ここまで想ってくれる真っ直ぐな彼の姿に心を打たれながら

 

 

「わかりました‥」

 

 

とだけ答えた。

 

 

 

 

 

そしてこの後としきさんから告白をしてもらい、

この時の私はとしきさんとお付き合いをすることに決め、士業さんと会うことはなくなりました。

 

 

 

 

 

続く