やっぱりいいです。
傷ついた二人。ひとりぼっちの流花とひとりぼっちのシオン。
二人に束の間の幸せを味わう場面があります。
普通の少女漫画だったら盛り上がる場面です。
「ひとりぼっち流花」は違います。
幸せなはずなのに、物悲しいのです。
圧倒的に不幸な場面の方が多いのでしかたがないのかなと思っていました。それもあるでしょう。
ただ、もう一つ贋作画家という罪を背負ったままというところにもあるのですね。
小学生のときは、ドラマティックな展開に引き込まれて読んでいました。
何十年も経てから読み、世代を渡る複雑な人間関係とか犯罪とか流花の姉の感情とかをじっくりと味わいました。
やっぱり「あさきゆめみし」描いた先生なのですね。納得です。
ファッションもステキです。
札幌駅で二人が会った日、主人公はチェックのワンピースを着ていました。クラスにいた、よくワンピースを着て来る女の子が似た感じのを着ていました。可愛かったです。
主人公が、トラッドな感じの片腕だけにボーダー柄が2本あるセーターを着ていたコマがありました。着てみたかったです。
好きなページがあります。
縦にコマが縞々のように割られて、一つ置きに心の声が書いてあるのです。
この掻き方、好きです。
様々な漫画で使われております。
いったい、この手法を最初に使ったのは誰なのでしょうか。
「ハチミツとクローバー」には横バージョンがあった気がします。(一度しか読んでいないので自信ありません)
この「ひとりぼっち流花」は、100選に選ばれたり、大和和紀先生の代表作と言われることはないでしょう。
自分にとっては、とてもお気に入りの、何度も何度も何度も繰り返し読んだ大切な作品です。
江戸から明治はものすごく変わりました。
大正時代は短かったけれど、独特の浪漫文化がありました。
昭和に大きな戦争があり、戦後、日本は急成長して変わりました。
昭和から平成、令和と移りました。過去の時代の変化ほどではないのかもと感じていました。
「ひとりぼっち流花」を読んで、確実に世の中は激変しているなと、昔を知っている自分は歳をとったんだなと思いました。