物語3 | リュックの中身

リュックの中身

リュックに詰まったこの思い、少しづつ、少しづつ整理していきたいな。

小さい幸せな

あるところに、2人の少女がいました。名前はなかったのですが、お話しにくいのでひとりはソラ、もうひとりはウミとしましょう。
ソラとウミはとっても仲良しでした。そして小さい頃からずっと一緒にいて、一緒にいすぎて仕草や癖が一緒でした。ただ違うのは、ふたりのお母さんでした。
ソラのお母さんといえば、裁縫やお料理、掃除に洗濯となんでもこなす優しい人でした。
ウミのお母さんといえば、昔から病弱で、ベットから動くことも出来ず、ウミのお兄さんがその代わりに働いていました。
(ちなみにソラは一人っ子でウミは兄と二人兄妹でした。)
ウミはソラに憧れてました。ウミにとってソラのお母さんは、とてもキラキラして、憧れても見えました。裁縫やお料理、掃除に洗濯をこなす優しいお母さん。それはウミにはマリア様のようにも見えていました。
ソラも同じように、ウミに憧れてました。一人っ子で大事に育てられ、きちんとしたお母さんがいるソラですが、兄妹が欲しかったのです。働き者で家族を支えるウミの兄。ソラはそんなお兄さんが欲しかったのです。

ある日のこと。ソラとウミはこんな話をしました。
「ねえソラさん。今度あなたのお母さんを少し私に貸してくださらない?その代わりに私の兄を貸すわ。」
「まあウミさん。それは素敵ね。私も同じようなことを考えておりましたの。ぜひ明日一日中交代してみましょう。」
こうして二人は早速家に帰ってそのことを伝え、遂に一日交代の時を迎えました。
ウミと家には素敵なお母さんが、ソラの家には頼もしいお兄さんが来ました。
早速お互いは家に連れ帰りました。
するとウミの家では素敵なお母さんが早速裁縫やお料理、掃除に洗濯が始まりました。せっせと散らかっていた部屋が片付けられ、小さいと思っていた家も少し広く感じられるようになりました。でも、仕事ばかりしていて、少し寂しく感じられました。
ソラの家では、頼もしいお兄さんは家に入ることなくさっさと仕事に向かってしまいました。夕方には帰ってくると思われますが、一人になってしまいつまらなくなってしまいました。
その日の夕方になりました。いよいよ二人は元の家族と再会するのです。
頼もしいお兄さんはちょうど仕事から帰ってきました。
素敵なお母さんは沢山仕事をした後で疲れていました。

ソラとウミは次の日、こういう結論を出しました。

家族に足りないも多いもない。誰かが欠けるだけでそれは疲れが増えるだけだ。と。