フィレンツェ ウフィツィ美術館の28回目です。
ウフィツィ美術館で目にとまったティツィアーノ作品の宗教画です。
ティツィアーノ 『キリストの復活』 1511年
キリストのこれまで見てきた磔刑図では、キリストはガリガリの身体で、ぽきんと折れてしまうように
描かれていました。
磔刑後に埋葬され、三日後に復活したキリストを、ティツィアーノは筋肉質のスポーツマンのように
描いています。
筋肉質のキリストは、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂でも見てきました。
ミケランジェロは『最後の審判』で筋肉質のキリストを描いています。
ティツィアーノはミケランジェロよりも一回り以上若いので（年齢差13～15歳）、ティツィアーノが
ミケランジェロの『最後の審判』を見た後で 『キリストの復活』を描いたと思いました。
ところがティツィアーノが 『キリストの復活』を描いたのが 1511～2年、ミケランジェロの『最後の審判』を
完成したのが1541年なので、この思い付きは成立しませんでした。
逆にミケランジェロが年若のティツィアーノの『キリストの復活』を見て、システィーナ礼拝堂の
『最後の審判』の筋肉質なキリストを描いたのかも知れません。
フラ・アンジェリコの『キリストの復活』では普通体型で、筋肉質のキリストではありませんね。
サン・マルコ修道院美術館 フィレンツェ
ティツィアーノ 『アンティオキアの聖マルガリタ』 1565－70年
右下にドラゴンの口が見えています。
聖マルガリタまたはアンティオキアのマルガリタは、主としてイングランドのカトリック教会で聖人と
され、乙女殉教者だそうです。
マルガリタがドラゴンの姿をした悪魔に飲み込まれたとき、持っていた十字架によってドラゴンの
体内が傷つき、無事に出てくることができたが、この「苦難を乗り越えて胎内から出てきた」という
伝説により、民衆信仰では妊婦・出産の守護聖人として崇敬されているそうです。