この5年間

一番幸せだと思う人がいる。

 

 まず、最初に 長男が結婚した。

コロナが流行する 1年半年前のことだ。

そして、毎年のように、次男、長女が結婚。

ご主人が、単身赴任になる。

お子さんたちは、皆車で10分以内のところにいる。

次男は、徒歩何分だ。

 

  その次の年になると、次男に子供ができ、初孫に恵まれる。

その次は、長男の子供ができ、そのつぎの 年は 長女に子供。

あっという間に 3人の孫に恵まれる。

長男の子供が生まれる頃から、コロナが流行しはじめ

単身赴任のご主人は、二年以上 戻らない生活となる。

 

 彼女は、少なくとも この3年間、

一人で のんびりと お稽古に励む毎日だ。

 

 コロナでも、在宅で 毎食食事する必要もない。

近所に住む 子供たちが 交代で孫の顔を見せにきてくれる。

 

 あとは、お稽古三昧。

仕事もしていない。

お金にも困っていない。

食事の支度も不要。

24時間、全ての時間を 自分の為だけに使用できる状態なのだ。

 

 近所に 自分のご両親は、元気で健在。

もし、不満があるとすれば、90才を過ぎた両親に早めに亡くなってほしい、というところだろうか。

でも、遺産は、もう既にもらっているようだ。

 

はつらつとしている。

 

 我が家はといえば、不妊治療の末、ようやく授かった孫が

生まれる前から病気で 生死をさまよい、ようやく何とか生き延びて

コロナで ずっと家にいたので、家族 5人の三食の食事作りに追われ、

お金も時間もなく、精神的にもへとへとで

休む暇もなし。

 

 勿論 お稽古も行けない。

 

 この5年間、最も 苦しい5年だったと思う。

 

孫は、かわいいけれど

今は、それを楽しむ余裕がない。

 

 不平等は、激しく 不平等に思えて

他人を羨むばかりの自分に 嫌悪感を感じて

へこむ。

 

 一人が幸せだとは、思わないという人もいるだろうが

近所に自分の両親がいて 毎日 会える状況で

決して 一人ではないし、

今の時代、友人たちと ラインも 電話も何でもできるのだ。

 

 一人で ゆっくりと 美味しいご飯を食べて

ゆっくりと 温泉にでも入りたい。

 

 でも、そんな日は、少なくとも あと半年は来ない。

不妊治療の末、また 一人孫が生まれるので

まだまだ 食事と孫の面倒は続く。

 

 不妊治療の末、子供を授かり、

生まれてすぐに亡くなるかもしれないと言われたのに

元気に生きていることは 確かに幸せなことなのだろう。

これほど、どこにも出かけられない コロナ禍で

苦しい生活になるとは、予想もしなかったことだ。

そして、男性側に原因があり、不妊治療でしかできないのだから、孫は、一人で良かったと思うのだ。

婿の精子に問題があるので、猶更、疲労が増す。

 

 私としては、それより、結婚していない30代の

息子が良き人に恵まれてほしかったと思う。

コロナで、その機会も 失った。

 

 本当に幸せな彼女の幸せが

ほんの少しでもいい、

我が家に来ますように・・・・

 

 彼女とは、娘の姑だ。

私が、生死をさまよう孫を頑張って育てている間

こんなに のほほんと のんびりと 穏やかに

幸せに包まれて 暮らしているのだ。

せめて、自分の息子のせいで 不妊治療をしているのだから

治療代を援助してほしかったと思う。

 

 こんなことをしている内に

次々仕事がやってくる。

 

 この愚痴を書く 5分が

今の私のストレス解消、

風に吹かれて のんびりと

過ごすような余裕は、全くない。