「羽生結弦 notte stellata」
あの歴史的な「GIFT」が終わって2週間も経たないうちに、「notte stellata」の公演が始まりました。東日本大震災の起きた3月11日を中日とした3日間の公演です。会場は、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ、震災当時遺体安置所となっていた場所です。
ショーのタイトル「notte stellata」は、イタリア語で「満天の星」という意味です。被災した羽生さんが震災の夜、停電の暗闇に広がった美しい星空に希望を感じたことから名付けられました。
私は、3日目の3月12日、ライブビューイングで見ました。
公演の幕開けはショーの題名と同じ、「ノッテ・ステラータ」でした。
「白鳥」
「ノッテ・ステラータ」の原曲はサン・サーンスの「白鳥」で、それをボーカル曲に変えたものです。
白鳥と見まごうばかりの純白の衣装を纏った羽生さんは、手の動き、身のこなしが白鳥そのもので、これまでのどのエキシ、ショーの演技にも増して美しい白鳥の舞を見せてくれました。
そして、前半最後の演目は、体操の内村航平さんとのコラボ「Conquest of Paradise」。
最初に羽生さんがリンク上に登場します。黒のノースリーブに金レースの装飾を施した衣装はグラディエーターを思わせます。氷上で一滑りすると、次は内村さん。彼もまた同じような衣装。リンクの奥に設えられた床の上で体操の技を見せます。お二人が交互に演じ、最後は同時に演技し、四回転ジャンプと連続宙返り、氷上でのスピンと円馬を使った旋回とでシンクロします。
「ブラック・ゴールド」
夏の王者と冬の王者の見事なコラボ。初めて聞いた時は、異種競技をうまく合わせられるのかと危惧したのですが、お二人の完璧な演技に息を呑み、ただただ見惚れるばかりでした。
後半は、4人のスケーターが踊るBTSの「Dynamite」から始まりました。羽生さんは、バックのスクリーンとリンクに映る映像で参加します。
スケーターさんたちの演目、内村さんの床運動と滞りなく進行し、最後は羽生さんの「春よ、来い」。
「春の舞」
前日11日の「春よ、来い」では、被災者の苦しみ悲しみに共感し、嗚咽をもらすほど感情を昂らせ慟哭の舞を舞ったという羽生さん。12日の羽生さんの舞は、この場所でさ迷う魂を鎮め、あの世に送るためのもののように思えました。敬虔な祈りを捧げる「春よ、来い」でした。
そして、フィナーレの「希望のうた」。前日の、涙を浮かべた苦しくつらい雰囲気から一変して、みんなの希望にならなければとはっちゃけた羽生さん。仲間たちととびっきりの笑顔で踊ります。
「ホープス・アンド・ドリームズ」
そして、周回の最後にサプライズ。羽生さんが「Dynamite」をフルで踊ってくださったのです。場内大歓声!
最後は出口でメンバーを待ち受け、一人一人とハグし、リンクに戻って締めのスピーチをしました。
スピーチでは、この地でアイスショーを開いた意味、これからも全てを捧げてフィギュアスケートに取り組むこと、自分のスケートから何かを感じてもらえたら嬉しいこと、などを語りました。そして、辛いこと悲しいことがたくさんある、未来の見えない日々だけれど生き抜いて欲しい、震災からの12年間、1秒ずつ1日ずつ生きてきた愛おしい日々を、また今日から続けて欲しい、と。
「ダイナマイト」
最後は恒例の「ありがとうございました!」。いつもは一人で叫ぶのですが、この日は、出演者全員が出口で待っていて、グループハグをしながら全員で叫びました。その後また羽生さん一人で叫びましたが・・・
これで、羽生さんのプロ転向後の三つのアイスショーが成功裏に完結しました。
ところで、「GIFT」の配信は12日までだったのですが、12日の夕方くらいから見られなくなっていて、大騒動になりました。「notte stellata」の最終日と「GIFT」配信の最終日が重なっていたため、三日間「notte stellata」に集中していたファンが、配信が終わる前に「GIFT」を見なくてはと殺到したためサーバーダウンしたのではないかと思うのですが、最後の「GIFT」を見られなかったファンの悲しみと失望の声がTwitter上にあふれました。
そんな中14日、Disney+から「 GIFT」の配信延長が発表されたのです。それも3月31日まで。今度は喜びと感謝の思いが爆発しました。
それでも期限付きではありますから、期限内に、DVD/ブルーレイの発売発表がありますように!
今回は、羽生さんが演じたプログラムに合わせたバラたちを選んでみました。