ER:「コンスタンス・スプライ」〜「ワイフ・オブ・バース」
今回から、デビッド・オースチン・ローゼズ社のイングリッシュ・ローズを、交配関係を中心に歴史をたどりながら、作出年順にご紹介していきます。
イングリッシュ・ローズというのは、簡単にいうと、「オールド・ローズの美しい花形や芳香と、モダン・ローズの四季咲き性や豊かな花色を合わせ持った新しいバラ」を求めて、デビッド・オースチン氏が長年育種を重ねた末作り上げた、新系統のバラ群です。
「コンスタンス・スプライ」(1961年作出)
2007年5月22日川津バガテル公園にて撮影
2011年5月26日京成バラ園にて撮影
イングリッシュ・ローズ第1号のこの品種は、ガリカ・ローズ(オールド・ローズ)の「ベル・イシス」と、フロリバンダ・ローズ(モダン・ローズ)の「デンティ・メイド」を交配親として誕生しました。
大輪のカップ咲きで、ミルラの香りを持つこの品種は、まだ、オースチン氏が目指していた四季咲き性は獲得していませんでした。
「キアンチ(キャンティ)」(1967年作出)
2011年5月17日京成バラ園にて撮影
最初の、赤系イングリッシュ・ローズです。濃厚な、ダマスク系の芳香があります。
「キアンチ」も、モダン・ローズ(「ダスキイ・メイデン」)とオールド・ローズ(「タスカニー」)の交配により誕生した品種です。
「ワイフ・オブ・バース」(1969年作出)
2011年6月3日京成バラ園にて撮影
2011年5月26日京成バラ園にて撮影
やさしい花色のカップ咲き品種「ワイフ・オブ・バース」は、四季咲きイングリッシュ・ローズの第1号です。
母親はハイブリッド・ティ・ローズ「マダム・カロリーヌ・テストゥ」、父親は、フロリバンダ・ローズ「マ・パーキンス」と上記の「コンスタンス・スプライ」との子供なので、「ワイフ・オブ・バース」は「コンスタンス・スプライ」の孫ということになります。
そして、「ワイフ・オブ・バース」自身が、「メアリー・ローズ」、「ガートルード・ジェキル」、「ジョン・クレア」などの名花を含む、多くのイングリッシュ・ローズの交配親となっています。
1961年に第1号が発表されたイングリッシュ・ローズでしたが、初期の品種達は一期咲きでしたし、耐病性も高くなかったため、ハイブリッド・ティ・ローズ全盛時代の当時は受け入れられず、20年以上にわたる不遇の時代があったのでした。