今日もまた学生としての1日が始まる。
平日の朝ほど嫌なものはない。
あのけたたましい女子の高い声も、廊下を駆けずり回る男子の足音も
私からしたら耳障りでしかない。
学校に行くというよりも動物園に行くと言ったほうが正しいとさえ思う。
そんなことを考えていると支度も終わってしまい
朝方仕事から帰ってきた母親のご飯と自分の弁当を作り、家を出る。
「一花~!おはよ~」
玄関を開けると幼馴染の舞花が飛びついてくる。
「舞花それびっくりするからやめてってもー」
「えへへ 一花可愛い~」
舞花とは母親同士が中学からの親友で
偶然、家が隣になり生まれた時から一緒にいる。
そのため、舞花とはもうすぐ17年間の仲になる。
「今日の1限数学ってことは川村だよね。私あの先生苦手。」
「私も好きじゃない。そういえば、課題あったよね。舞花ちゃんとやった?」
「へ?」
舞花はキョトンとする。
「うん。知ってた。学校行ったら見せてあげる。」
「さすが一花!大好き~!!」
「舞花ここ電車だから静かにして。」
いつも通り、舞花とくだらない話をしていると
通い始めて1年ちょっとになる千草高校が見えてくる。
門をくぐり、靴を履き替え、
新学年になってから1か月がたった2年C組のクラスに入る。
「みんなおはよー!」
「舞花ちゃんおはよ~」「舞花朝から元気だねぇ」
舞花が、クラスメイトに挨拶をしている脇を何も言わずに進む。
自席に着くと後ろの高倉さんが話しかけてくれる。
「瀬戸内さんおはよー」
「おはよ。」
しかし、私は低めの声で返してしまう。
人見知りと朝特有のイライラからだった。
「あれ?瀬戸内さんって朝弱いのー?」
「あぁ、うん。」
うるさい。
頼むから朝は話しかけないで欲しい。
もう少ししたら学校のスイッチをいれるから、もう少し。
「人見知りだからって冷たくしちゃだめだよ!
ごめんね。一花、朝弱いからもう少し待ってあげて。」
舞花がフォローを入れてくれる。
「あ、やっぱりー?そうなら早く行ってよーごめんね。」
「いや、うん、ごめん。
舞花ノート。解説したほうがいい??」
「うん!して欲しい!」
舞花がいなかったら私は今頃浮いていただろう。
現に1年の頃は浮いていた。
このままではいけないことは頭ではわかっている。
でも、媚びを売ってまですぐに壊れてしまう関係を持ちたいとは思わないのだ。
結局私は、名前の通り1人で咲く一輪の花が合っているのだ。
舞花のように、周りを笑顔にできる絶えず舞う花々にはなれない。
それでいいのだ。
それが私だから―――。