翌日の放課後も何故か皆しっかり
空き教室を訪れていた。
今日のやることは
役割を大まかに決めておくことだった。
「役割かぁ。取り敢えずリーダー決め?」
少しノリノリの榊原が言う。
なんだかんだこのよくわからないイベントを
楽しんでいるようだ。
「霧島でいいんじゃない?」
紅峰が適当な事を言い出す。
「いや、なんでだよ。」
「だって、成宮と仲良さそうだし。
なにより不真面目そうな俺たちにやらせたくはないでしょ?」
鼻で笑いながら自分と柊木を指す。
「だったら、榊原でもいいじゃないか。」
「あ、私バイトとかで最後まで入れないこと多いので
そういう大役は...。」
アハハと苦笑いして逃げられた。
紅峰と柊木にやらせるくらいならとは
確かに思っていたが、榊原に逃げられるとは。
「あぁ、はいはい。俺がやりますよ。」
こうなれば半ばヤケクソである。
「あとは副と書記か?
いやこれは合わせてもいいか。」
無理に役職を増やして時間を取るのもあれである。
それに役職に就くとしたら榊原以外の二人だ。
一人でとどめておきたい。
「じゃあ、葵衣ちゃんはさっき言ったとおり
無理っぽいし、梓紗でいいんじゃない?
な、梓紗。」
「え、は?無理無理。」
今日は、ヘッドフォンを首にかけていたため
会話は聞こえていたようだ。
柊木の声は、女子にしては少し低めの声だった。
榊原の高い子供っぽい声とは明らかに対照的だった。
「じゃあ、決まりだな。
柊木これ。」
柊木に渡したのは、ノートパソコン。
柊木は、「へ?」と間の抜けた声を出した。
その声に紅峰は笑いを堪えきれずにいた。
「成宮が、「今時、紙に書いて持ってくるのも面倒だろ。日誌はこれに書いてココに転送してくれればいいから。」だと。」
教師を初めて2年目の成宮がこんなことしていいのかと
思ったが自分には関係ないとスルーしておいた。
「良かったね梓紗。得意分野じゃーん。」
「うるさい。」
そう言いながらもさっき決まった内容を打ち込んでいる。
なんだかんだ真面目な奴なのかもしれない。
「一応目的は果たしたが、やることとか少し決めておくか?」
「おぉ、早速リーダーしてるね!」
「私やるとしたら文化祭とかがいいと思うな。」
「霧島リーダーを気に入りやる気を出す。
時期候補:文化祭...と。」
「いやいや榊原の文化祭ってのはいいとして柊木お前は何を打ち込んでいる!?」
リーダーになりたくてなったわけではないのに
この仕打ちは酷いと思う。
「事実を打ち込んでるまでだけど。」
はぁ...
頭が痛い。なんだこれは、なんというキャラの濃さ。
「霧島ため息をつく。」
「もう、俺はつっこまないからな。
取り敢えず、文化祭でいいか?」
「異論なーし!」
まともに話して無いように見えて
内容はしっかり決まっていった。
文化祭に子供を預かる場を設けたり、
お年寄りも多く来校されることからゆったりできるスペースでお茶屋お菓子を提供したりする形になった。
しかし、4人では到底できるわけがないということで
クラスの出し物として文化祭実行委員に今後相談するつもりだ。
意外にも早く決まったため4人のモチベーションは
右肩上がりだった。
「ふふふ、それでねー亜弥ちゃんがー」
ブーブー
他愛もない会話をしていると柊木のスマートフォンが着信を知らせた。
ただの着信のはずに柊木の顔色が変わっていき、スマホを持ち廊下に走って出て行ってしまった。
「な、なんだ?」
「梓紗ちゃんどうしたんだろ?大切な予定でもあったのかな??」
紅峰は体をドアの方に向けドアをただただずっと見ていた。
「紅峰?」
「もしかして...いや何でもないよ。」
この時、紅峰にもっと聞いておけば良かった。
そう後から後悔した。