コートチェンジをしてからは、取ったら取られ…


一点づつの攻防になりました。


そのままどちらもゆずらず、試合は後半戦へ…


22-22


同点です。


ここでゆぅのアタックが決まり、23-22と一点勝ち越しました。


しかし、ゆぅがサーブで下がってしまったのです。


前衛には、決定力を持たない一年生が三人…


勝ち越したことで、逆にピンチに立たされました。


しかも、『ココ一番』の大事な場面では、よくサーブミスをするゆぅ…


(せめて入れて…)


これは、その場にいたみんなが思ったことです。


ゆぅも一瞬これまでのミスが頭をよぎったそうです。


『ピィー』


ホイッスルと同時に、ゆぅがサーブを打ちました。


打った瞬間、(入った!)とわかりました。


しかし、次の光景は信じられないものでした。


なんのことはないゆぅの安全サーブを、相手のレシーバーが後ろに大きく弾いたのです。


なんと、ココでサービスエース!


応援団は大騒ぎです。


これで、24-22


続いて打ったサーブは相手に拾われ、エースにトスが上がります。


しかし、(これをミスれば負ける…)と思ったのでしょうか、力ないアタックが返って来ました。


それをレシーブして、1年生エースの『さき』にトスが上がりました。


さきは、思いきりストレートを狙って打ち込みました。


『決まった!』


そう思った瞬間、ボールはラインを割りアウト…


これで、24-23


24点で同点になった場合、2点差がつくまで…と言うルールがあります。


そう、永遠に続くのです。


(ココで決めて…)


みんながそう思うなか、ホイッスルがなりました。


緊張したサーブカットは、きれいにセッターへ返りません。


3本目が一番あやしい『まゆ』のところへ…


このボールをおそるおそるレシーブで相手に返します。


相手も必死にボールをひらい、なんとか返して来ました。


ここでまたもや『まゆ』にトスが上がりました。


今度はアタックです。


しかし、腕の力がないまゆは、相手コートの真ん中くらいにしかボールが行きません。


(決まったか?)


相手は滑り込んでなんとかつなぎ、エースへ…


乱れたトスを、エースはフェイントで返しました。


このフェイントを『セッターのまゆみ』がレシーブしました。


基本的に、セッターはアタッカーにトスをあげるポジションです。


だから、普通は『2回目』にボールをさわります。


しかし、相手がセッターの位置に返した場合、当然レシーブをします。


すると、トスを上げられない…


このように、『まゆみがレシーブしたらちぃがトスを上げる』と言う約束事が出来ているのです。


まゆみがレシーブしたボールは、センターより右側に上がりました。


これまでだと、そのまま真っ直ぐにまゆへトスを上げます。


今のちぃでは、技術的にそこにしか上げられないのです。


そのちぃが、この土壇場に来て信じられないことをしました。