これは嵐君の名前を借りた妄想物語です。腐要素有(微)嵐君好き、BoysLoveにご理解のある雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ![]()
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最終章『バズりNIGHT』(後編)
横浜中華街。1階に四川料理店、2階に日本語学校、3階と4階は貸倉庫となっているこの雑居ビルは、香港の実業家でヤン・ロンパンと称するオーナーの持ち物だが、未だに経営が行われている形跡が無い。
にも関わらず、常に怪しげな人物が出入りしており、近辺の経営者からは時折役所に苦情が寄せられている訳あり物件だった。「あ~ハイハイ、今ハマダ準備中デスネ。ビル二来テルノハ内装工事ノ人タチデスヨ。今月末ニハ始メマスノデチョト待テ下サイOK?」
通話を終え、スマホの電源を切ったヤン・ロンパンは、形だけは一応教室の体を成している2階のデスクに腰掛け、《ワン・トンリーからの連絡は未だか?》と、少しイラつき気味に広東語で手下に声を掛けた。
《そろそろ役所が怪しみ始めてるぞ。今月中に営業を始めないと偵察に入るとさ。金は払ってるし、どうせ3日後には引き払う場所だから別に構いやしないが、定員が揃わないと元締めが煩いからな。
ワンが男を調達出来ないとなると代わりの商品を用意するしかないが、出荷を目前にしてあまり目立つ動きはしたくないしな。REACHとか言うストリーマーの時みたいな無駄な殺しはなるだけ避けるのが賢明だ。あと3日だけ乗り切ればいい》
背の高い痩せた中年男である。一見何処にでもいそうな優しげな雰囲気をまとっているが、その白髪混じりのオールバックや、一重瞼の鋭い眼光に、堅気の人間とは少し異なる暴力的なムードを漂わせていた。
《REACHと言えば積荷の1人にあいつの恋人が居ましてね。死んだと聞いて余程ショックだったのか、もう何日もメシを食って居ませんよ。あのまま放っておいたら3日後を待たずにくたばるじゃないですかね?》
先程からずっとパソコンと格闘している手下の1人が淡々とした無機質な口調で言う。人命に関わる事だが、彼らにしてみればさらって来たダンサー達はおしなべて “モノ” なのだ。こんな様子にヤン・ロンパン始め、手下共も犯罪者にありがちの冷酷非情さがあった。
この手下は眼鏡を掛けた若い男だったが、どうやらパソコンの調子が悪いらしく、もう20分近くもキーボードを叩き続けている。《どうしたハン。未だ直らないのか?》
ヤン・ロンパンがハンと呼ばれた手下に尋ねた。残りの1人を調達して合流する筈のワン・トンリーからの連絡は途切れているし、『GimmickGame』と繋いでいたパソコンの調子は悪い。ヤン・ロンパンは眉根を寄せ、険しい表情でパソコンの画面を覗き込んだ。
早く修復してくれないと先方から提供される筈のマッチングアプリのプログラムが受信出来なくなる。だが、パソコンの調子が悪くなった原因が当の『GimmickGame』にあるなどとは全く予想もしていないのだ。
《あ、大丈夫ですヤンさん!今修復が完了しました!》《良し!直ぐにプログラムをダウンロードしろ!金を振り込むのはその後だ!》《了解です!》
所がダウンロードされたのはマッチングアプリのプログラムではなく超強力なコンピューターウイルスだった。無論そう仕向けたのは二宮社長である。見る見るうちにパソコン内のデータは破壊され、完全に初期化されてしまったのだ。
《おいどうなってる?!♭このパソコンには重要なデータが全部入っているんだぞ!♭》《わ、分かりません!♭ですがマズイですヤンさん!♭もし流出でもしたら我々の犯罪の証拠になってしまいます!♭九龍の『MAD DRAGON』にバレたらヤンさんも私達もタダではすみません!♭♭》
《ハン!♭3階に行くぞ!♭積荷達を他の場所に移す!♭兎に角3日後の取り引きだけは絶対に成功させないとならん!♭♭》さすがにおかしいと気づいたのか、ヤン・ロンパンが3階の貸倉庫へと急ぐ。
そこは壁で仕切られた何棟かの檻になっており、さらわれた4人のダンサー達が囚われの身となって、日々怯えながらまるで囚人みたいな生活を強いられていた。ここには常時3人の見張りがいて、現在来日しているヤン・ロンパンの手下達が交代制で監視している。
《全員檻から出せ!♭場所を移動する!♭♭》そこに慌てた様子で駆け込んで来たヤン・ロンパンに見張りの3人が即座に反応して檻の鍵を開け、囚われのダンサー達を乱暴に引きずり出した。
約1名を除いてはみんな生気を失ったかの様に呆然として殆ど抵抗しなかったが、唯一『マーベラス・ウーマン』から姿を消した吉岡大智だけが、「大丈夫だみんな!ここは法治国家の日本だぞ!必ず助かる!元気出すんだ!!」と、前向きにみんなに声を掛け、見張りの1人に「コウカウ(広東語でうるさい)!!」と怒鳴られている。
手を出さないのは商品に傷をつけると値段が落ち、ボスのヤン・ロンパンから酷い目に遭わされるからだが、恋人のREACHを失った鷲岳司に至っては僅か数日で小枝の様に痩せ衰え、歩くのも覚束無い程に憔悴しきっていたので、幾度となく見張りに背中を突き飛ばされていた。
見張りに追い立てられながらエレベーターに乗り込み、一気に階下へと下る。だが、1階の廊下に出たと同時に、先頭に居た見張りの1人が物凄い勢いで飛んで来た黒パンプスの脚に吹っ飛ばされ、そのまま壁に激突して昏倒した。
「今だ逃げろ!!」続けて廊下に出た別の見張りの襟首を掴んでぶん投げ、叫んだのはワインレッドの衣装を身に纏う派手なハードゲイポリスだ。それが『マーベラス・ウーマン』のコスプレだと気づいた吉岡大智がハッとして「みんなこっちだ!!」と、囚われたダンサー達をビルの出口へと導いた。
散り散りに逃げるダンサーを捕まえるべく追いかけているヤン・ロンパンら、他数名のチンピラ達の眼前で、それを阻む様に立ちはだかったのはミニスカポリスのビヨンセもどきである。
先程手下の1人を吹っ飛ばしたのはどうやらこの人物らしいが、もう1人のハードゲイポリスと言い、正体のまるで分からぬ奇っ怪な2人組に、ヤン・ロンパンはすっかり混乱して「ネイハイマッジェ?!♭♭(何だお前は)」と、叫んだ。2度目である。
「俺達はジャパニーズポリスだ!!」同時に言って2手に割れ、ビヨンセもどきとハードゲイポリスは、襲い来るチンピラ達を悉く叩きのめして行く。こうなってしまったらもう取り引きどころではない。
計画の失敗を悟ったヤン・ロンパンは、最後の抵抗を試み、逃げ遅れた鷲岳司を人質にしてナイフを突きつけると、そのままビルの裏口へと向かったが、あっさりとビヨンセもどきに追いつかれ、秒速でナイフを蹴り落とされて人質を奪い返され、気づいたら床に沈んでいた。
雑居ビルは新宿中通り署の組織犯罪対策課と横浜市警の捜査一課、そして横須賀港湾警察署のUCチームが完全包囲し、外に逃げ出したダンサー達を次々と保護しては救急車で病院へと運ぶ。
そして大野、櫻井のコスプレコンビにぶちのめされたヤン・ロンパンと手下数人は、ビルになだれ込んで来た合同捜査本部の捜査官達に捕縛され、芋づる式に連行されて行ったのである。
「そっち行ったぞ翔君!逃がすな!!」「任せろ智!!」命からがら逃亡をはかる残党を追いかけ、ビルの外でも大立ち回りを演じたビヨンセもどきとハードゲイポリスのコスプレ捜査官コンビが、最後のチンピラをぶちのめした後ハイタッチをして満足げに笑う。
こうして殺人事件の絡む闇ブローカーの人身売買事件は解決したが、未だ完全に終わった訳ではない。合同捜査本部はこの時、完全解決に向けての新たな捕縛作戦を計画していたのだった。
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「ヤン・ロンパンが宮前莉一の殺害を認めたぞ。横浜市警の坂本警部から報告があった。REACHの死もあり、鷲岳司は衰弱が激しかったが、犯人が逮捕された事で少し元気を取り戻したそうだ。
やはり宮前莉一は失踪した鷲岳司の行方を探す為に夢待ちシアターで接触して来たヤン・ロンパンを疑ったみたいだな。ストリーマーとしての情報網を駆使して人身売買組織の存在に勘づいたせいでヤン・ロンパンに拉致され、何処まで知っているのか聞き出す為に拷問を受けて亡くなった。
そこで恋人の行方を探して誰よりも早く闇ブローカーの存在に気付き、命を落とした人気ストリーマー、REACHを悼む為の追悼イベントが夢待ちシアターで開催される事になった。
今回の事件の被害者になった、『王子宮殿』の辺見陽平、『虹色パーティー』の折原呂美、『マーベラス・ウーマン』の吉岡大智も参加するらしい。勿論REACHの恋人だった鷲岳司も参加予定だ。
REACHがこれまで配信した完コピダンスを彼の映像と共にダンサー達が踊ったり、REACHが好きだったミュージシャンやご当地アイドル達のモノマネなどでステージを盛り上げるお祭りイベントになるそうだ。
ネタ元は『マーベラス・ウーマン』のタマ子ママだが、このイベントにヤン・ロンパンの取り引き相手をおびき寄せる。ヤン・ロンパンは香港ではなく日本の刑務所に行きたがっているからな。恐らく国に帰ると命が危ないのだろう。
そこで合同捜査本部は日本の刑務所に行く為の条件としてヤン・ロンパンから取り引き相手に連絡をさせ、イベント会場の夢待ちシアターで商品の受け渡しをすると約束させた。そこを待ち伏せして敵を一網打尽にする計画だ。みんな、あとひと踏ん張り頼んだぞ」
井ノ原課長の説明にUC本部の捜査官達が一斉に敬礼をする。だが、何故か肝心の2人の姿がこの捜査本部には見えないのだ。上田捜査官が「所で課長。アニキと大野さんが居ませんけど…」と、尋ねると、井ノ原課長は意味深な笑みを浮かべて「あいつらはもう始めてるよ」と、微笑った。
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事件から3日後。新宿二丁目にあるミニシアターは『マーベラス・ウーマン』のタマ子ママの旗振りで、今回の事件に関係した『マテリアル』『王子宮殿』『虹色パーティー』ら4店が共同で貸切り、人気ストリーマーREACHの追悼イベントを開催していた。
このイベントは事件の被害者達(特に恋人を失ったツカサ)を元気づける為のイベントでもあり、REACHのフォロワーらも集まって、在りし日のREACHを偲び、モノマネや歌やダンス等思い思いの出し物で会場を盛り上げている。
ターチの無事な帰還ですっかり元気を取り戻したクレオオネェさんも、これまでの休みを取り戻すかの如く勢いで、最高にキュートなステージショーを魅せていた。
「さぁ皆さん♪お次はREACHの大好きだったアキバの地下アイドルがお目見えよ~♪でもネ、あのコ達は忙しいから今日はモノマネで勘弁ね♪伝説のガングロパラパラ3人娘!♪おいでなさ~い!♪」
マイクを握ったタマ子ママの呼びかけでステージが暗転し、『マーベラス・ウーマン』のハヤテとターチを始め、『マテリアル』『王子宮殿』『虹色パーティー』から厳選されたダンサー達がオタクファッションで一斉にステージ上に駆け込んで来る。
“推し” “伝説” などと書かれた光るうちわを自在に操り、ペンライトを振ってダンサー達が見事なオタ芸を披露していると、ステージの中央からスライドアップでガングロメイクの3人娘が姿を現した。会場が一気に沸き立つ。
3人娘はそれぞれ青、赤、緑に染められた長いウィッグとミニスカートの派手なファッションで無表情にパラパラを踊るのだ。本家の地下アイドルは女の子だが、この3人娘は青の髪が大野、赤の髪が櫻井、そして緑の髪が私立探偵の相葉である。
井ノ原課長が既に始めていると言ったのは詰まりそう言う事だ。衣装もウィッグも本家アイドルを見事に完コピしたガングロ3人娘のパラパラダンスは会場を大いに盛り上げていたが、大野と櫻井には別の目的があった。
イベント会場に現れたヤン・ロンパンの取り引き相手をステージ上から探し、仲間に知らせて捕縛する。その為にイベントの前日から必死でパラパラの練習をしていたのだ。本家アイドルが3人なので相葉は急遽タマ子ママから招集されたのである。
「居たぞ翔君…あいつらそうなんじゃねぇか…」
パラパラを踊りながらセンターの大野が右隣の櫻井へと声を掛けた。「間違いないな…それじゃ行くか智…」「おう…」
大野と櫻井の視線の先ではREACHの追悼イベントとは明らかに異なる雰囲気の団体が人目を憚る様にウロついていた。2人はお客に混じって待機する仲間の捜査官達にもパラパラの振りに見せかけて合図を送る。相葉が「頑張れ~♪」と小さく囁いた。
さあ次の暗転で突撃開始だ!ステージが終わり、熱気みなぎる会場が再び暗転した時、ガングロギャルの大野と櫻井は目指すターゲットに向かって同時に飛び出した。
最終章『バズりNIGHT』(後編)
𝐓𝐇𝐄 𝐄𝐍𝐃
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お山の日はだいぶ過ぎてしまいましたが
『バズりNIGHT』無事完了致しました~![]()
最終章は前編後編と二つに分けた大ボリュームで一気にアップでございます![]()
このお山さんコンビ潜入捜査官シリーズも既に3作目になりますかね?前2作と比べ、今回のお話はコスプレ三昧でややコメディー臭が強めですが💦お山さんコンビは大真面目に悪党と戦っておりますよ~👊🔥
最後にはバズり3人娘まで登場し、かなり賑やかな作品となりました
近年は特に更新が遅れ気味でお待たせばかりのポンコツMARKIEでございますが😅ゞ見捨てずにおいで下さっている皆様には本当に感謝カンゲキ雨嵐でございます💖
次回は潤君のお誕生日企画ですが、あまり日が無いので、全速力で書き飛ばしたいと思っております(๑•̀ㅂ•́)و✧(間に合うかな~~
)今回も最後までご読了頂きましてありがとうございました🙇🏻♀️⸒⸒