これは嵐君の名前を借りた妄想物語です。腐要素有(微)。嵐君好き、BoysLoveにご理解のある雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄


完結編 Ⅱ


《日本では弁護士が同席する事は許されていない。諦めて正直に話すんだ》突然スマホから聞こえてきたスペイン語に、取調室の髭もじゃ男は驚いて目を丸くした。《キエネレッス!♭(誰だ?)》


スマホを構える潤の前で白衣姿の智が佇み、髭もじゃ男に向かって達者なスペイン語で話し掛けている。言葉の壁で逃げ得にさせない様、決定的な証言を相手に突きつける為だ。


《僕は君が撃った男の治療をした医者だ。彼は先程目を覚ましたよ。彼が君の顔を見て犯人に間違いないと証言している》《あいつ!♭生きていたのか?!♭》髭もじゃ男は急に慌て始めて《俺じゃねぇ!♭撃ったのはケネスの方だ!♭》と、もう1人の黒髪巻毛に責任転嫁する。


《銃は何処で手に入れたんだ?》《し、知らねぇよ!♭あいつが持って来たんだ!♭あいつだよ!♭テツヤ・タキモト!♭俺もケネスもテツヤから金を貰って仕事を頼まれただけだ!♭悪いのはテツヤだ!♭


あいつは何だって売るのさ!♭銃でもヤクでも動物でも宝石でも何だってな!♭俺とケネスは『ピカール』でテツヤからスカウトされたんだ!♭日本円で1人100万!♭仕事にあぶれてたから丁度良かったんだ!♭それだけさ!♭》


あっさりと白状する髭もじゃ男の言葉を聞いて、大野が逐一日本語で取調室のソタイコンビに伝えた。風間が「さすがだわ~♪」と、感心し、何故か相葉が「そりゃそうだよっ!♪大野先生は東大医学部をトップで卒業してるんだからっ!♪」と、まるで自分の手柄の様に自慢げに胸を張る。


大野は会話のついでに先程虻原から聞いたペットショップ『ハッピーライフ』での宝石密売の方法等、全ての情報をソタイコンビに報告した。


その後、2人の外国人は虻原浩史殺人未遂で連行され、残るは主犯の瀧本哲弥(たきもとてつや)と、その共犯者の勅使河原惇(てしがわらつとむ)のみとなったのである。相葉と風間はこれらの情報を元に先ずは瀧本の行方を追いかける事にしたのだった。


➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢


N区大通りにあるメキシコ料理店『Picar~ピカール』スペイン語では(ちょっとつまみ食い)と言った意味合いがあるらしいこの料理店は本格的タコスとテキーラが売りの人気店だ。


店内には中南米系の客が多く、常に英語とスペイン語が飛び交っていて日本人比率が極端に低い。だからなのか、まるでこの空間だけが切り取られ、メキシコと繋がっているのではないかと勘違いする程に異国的である。


カルネ・アサーダと言う薄切り肉のステーキを肴にメキシカン・モヒートで1杯やりながら、瀧本哲弥はずんぐりした小肥りの身体を揺さぶりつつ、スマホに向かってがなり立てていた。


「いい加減にして下さいよ勅使河原さん!虻原にトドメを刺す前にあいつを逃がしたあんたが悪いんだ!倉庫の裏口は閉めとけと注意したじゃないですか!今ソタイのデカが嗅ぎ回ってんですよ!だから石の回収も急がせたのにその言い草はないでしょう?!


こっちだってね、まさかたかが所轄のソタイなんかに『ハッピーライフ』の事を掴まれたとは思ってませんでしたよ!そもそも『菅沼貿易』みたいな大手企業に関わろうとするなんて無謀でしょう?!


私言いませんでしたか?!勅使河原さん!『菅沼貿易』は数年前に跡取りが問題を起こしたんで立て直しに必死なんだと!そう言う企業はリスクマネジメントが頑強だから協力企業にはしっかり調査が入りますよと…!


なのにすぐ断らないで返答を先延ばしにするとか欲を出すからこんな事になるんです!兎に角、カルロスとケネスはソタイにパクられましたんで、もう使えません!別の外国人を雇って虻原が退院する前に黙らせますよ!


ええ、病院はもう分かってるんです!神奈川の『臨斉会病院』です!言っときますけど報酬は当初の3倍頂きますんで宜しいですか?!虻原が片付いたら暫く日本を離れますんで金はいつもの口座に振り込んどいて下さいね!じゃ宜しく!!」


乱暴に通話を切り、勅使河原とのやり取りの全てをすっかり消去し終わった瀧本はやれやれと大きな溜め息をついてステーキの一欠片を口に放り込み、モヒートで流し込んでから腕時計を確認した。カルティエの今年の限定版モデルである。


「いい時計ですね、瀧本さん。カルティエですか?」不意に瀧本の頭上からそんな声が聞こえた。テーブル席に座ったまま見上げる瀧本に「どうも~♪」と、笑って警察手帳を突き付けているのは相葉だ。


「お前デカか?!♭どうやってここを…!♭」すると今度は相葉の反対側から「その腕時計ですよ。シリアルナンバーを辿りましてね」と、風間が答え、逮捕状をヒラつかせた。「っつー事で瀧本さん。札取れましたんで逮捕です。殺人教唆と輸入禁止法違反です。あ、それから銃刀法違反もね」


すると瀧本はおもむろに立ち上がり、流暢なスペイン語で《誰かこいつらをヤっちまってくれ!3万ドル払う!!》と叫んだ。すると金に目が眩んだ店内のメキシコ人労働者達が次々と立ち上がり、相葉と風間をあっという間に取り囲む。


「雅紀こりゃ不味い♭」「ちょっと多いなぁ~♭どうする?風間ぽん♭♭」ソタイコンビは臨戦態勢で身構えて自分達の周囲をぐるりと見回した。


中には武器を持っている大柄な男もあり、多勢に無勢である。加えて相葉は脇腹に治りたての傷を負っている手負いの状態だ。相葉の脳裏に二宮の怒りまくる顔が浮かんだ。


「やっぱ仲間の応援を待ってから突撃した方が良かったんじゃないか?♭」「そんなの待ってたら瀧本逃げちゃうじゃんっ!♭」「雅紀はせっかちなんだよなぁ~♭」


《ウ"ァモッス、ハセーロ!!(やっちまえ)》瀧本の号令で店内は騒然とする。さしもの武闘派の相葉も、次々と襲いかかって来るいかつい外国人達に悪戦苦闘し、やや押され気味だ。風間に至っては防戦一方で中々攻撃に転じられず、かなりピンチだった。


そんなソタイコンビに「スケようか?刑事さん達」と、ものすごくイケボな声が聞こえて来る。その男は苦戦するソタイコンビを庇う様に、飛び掛かって来るナイフの大男の腕を、目にも止まらぬ速さで絡め取り捻り上げると、そのままクルリと回転して見事な回し蹴りを決めた。


ガッチリとした、非常に背の高いハンサムな男である。黒い皮のコートを翻しつつ、まるで香港のアクション映画さながらの華麗なカンフー技で闘うそいつは、隙を見て逃げ出そうとする瀧本を目ざとく見つけると、その足元に何かをシュッと弾き飛ばした。瀧本が悲鳴をあげてひっくり返る。


「逃がすかクソがぁ!!」掴みかかって来る若い労働者の胸元に思いっきり掌底を叩きつけ、仰向けに仰け反る腹に全力の前蹴りをお見舞いした相葉は、瀧本が立ち上がる前にその背中に膝蹴りを食らわせると、そのまま床に押し付けて手錠を掛けた。「午後18時47分!瀧本逮捕~~~!!」


そこにソタイの仲間が駆けつけるパトカーの音が聞こえて来る。メキシコ料理店の店内は外国人労働者達がそこかしこでぶっ倒れている、中々にバイオレンスな光景が広がっていた。どうやら風間も無事そうだ。「いや~さすがに今回はヤバいと思ったぞ♭雅紀大丈夫か?!♭」「俺は大丈夫!それよかさっきの超イケメンは?♭」


ソタイコンビは助太刀をしてくれた黒コートの男にお礼を言おうと暫くキョロキョロしていたが、男の姿は既に消えており、プラスチック製のトランプカードが1枚、店のドアに突き刺さっていただけであった。


恐らく逃げようとした瀧本の片足をこのトランプカードが切り裂いたのだろう。逮捕された瀧本の右足は、ズボンのふくらはぎの辺りが切れ、少し血が滲んでいた。


「…スペードのキング…?」相葉のそんな呟きに、何故か瀧本が顔色を変える。「まさかそんな……♭♭」そして瀧本はすっかり大人しくなり、実に素直に所轄署に連行されて行ったのであった。


➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢


瀧本が逮捕されてからは殆ど芋づる式にあらゆる悪事が露見して行く。瀧本は取調にも素直に応じ、今回の宝石密売の仕組みを作る為の下準備としてN区の半グレグループを手懐けて振り込め詐欺をやらせた事も、中南米の密猟グループや、他の外国人犯罪組織との繋がりも全て白状した。


一体何が瀧本をそうさせたのか、きっかけはソタイコンビに助太刀してくれた謎のイケメンとトランプカードにありそうだが、謎の男についての詳しい事は結局謎のままである。何にせよ瀧本は逃亡するよりも日本の刑務所に入る事を選択したと言う、ただそれだけの事だ。


因みに瀧本と共に宝石の密売に加担した勅使河原だが、従業員の知らぬ間に会社を畳み、加工済みの宝石だけを持って夜逃げしようとしたそうである。


所が勅使河原が逃亡に利用した個人タクシーの運転手が「おひとつどうぞ」と差し出してくれた1粒のチョコレートを食べた途端眠気に襲われ、気づいた時は警察近くのコンビニに乗り捨てられた、何の変哲もないレンタカーの後部座席で爆睡していた。


瀧本からの密告もあり、そのまま勅使河原も逮捕されたが、運転手は姿を消して、未だ消息不明である。コンビニ店員はその時刻、運転手ではなくホストみたいな派手目のスーツを着た男の後ろ姿を目撃したそうだが、勅使河原を眠らせたタクシー運転手との関連性は分かっていない。


こうして前代未聞の密輸事件は振り込め詐欺から動物密輸入、そして宝石密売と、様々な顔を見せながら漸く収束して行ったのである。


➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢


菅沼貿易主催、毎年恒例のクリスマス&ニューイヤーイベントはTOKYOインターナショナルホールで無事開催の運びとなった。松本が苦慮していたジャミス.Pのクリスマスファッションショーに使用する宝石は、ソタイコンビが所属する所轄署が捜査協力のお礼として、特別に押収された『サファリアイズ』の宝石を使用してもいいと許可してくれたのだった。


結果来日したジャミス.Pは大層喜び、予定通り着物と孔雀とクリスマスをイメージした和服アレンジの個性的且つ美麗なドレスを期日までに仕上げてくれたのである。


「お誕生日おめでとう!♪」店を荒らしたお詫びとしてこのイベントに急遽出店参加が決まった『Picar~ピカール~』のタコスを囲み、タコパを始めたいつものメンバーは本日12月24日の相葉の誕生日を全員で盛大に祝っていた。


とは言え、松本と櫻井は『菅沼貿易』の社員なので、イベントの手伝い中の中抜けで、お揃いの赤いスタッフトレーナー姿ではあるが…。


「みんなありがとうっ!♪今回の事件が解決出来たのはマジでみんなのおかげだよっ!♪ニノちゃんが号令掛けてくれたんでしょ?!♪やっぱりニノちゃんは優しい悪魔だよねっ!♪」


相葉は以前のバースディに大野から貰った若草色のダウンコートを羽織り、スーツの胸には櫻井から貰ったネクタイが、足元には松本がポケットマネーで買ったギフトカードを使って二宮がチョイスしたしたスニーカーと言う、全て誕生日プレゼントで固めた出で立ちとなっている。(『TRAP』番外2『Winter days』参照★)


「えっ?こんなに助けて貰っておきながら人を悪魔呼ばわりするなんて酷い男だねぇ~♭言っとくけど俺が居なかったら相葉さん今頃未だ事件で走り回ってて、傷が悪化して入院してたところだよ♭


大体仲間が待てずに敵の中突入するとか意味分かんないよ♭下手すりゃ殉職だよ殉職♭本当に馬鹿なんだから♭」生き生きと猛毒を吐く二宮に、相葉は頗(すこぶ)る嬉しそうだ。


「それにしてもあの時助太刀してくれたの誰だったんだろうなぁ~♪感謝状を出したいのに見つかんないんだよ♪あの闘いっぷりは絶対プロだと思うんだよね♪もうさ、チョー強かったんだよあの人♪」やたらと不思議がる相葉に松本と大野が密かに目配せをする。現場に残されたスペードのキングでピンと来たからだ。


それに気付いた二宮が「たまにいるんだよね~、人助けしても名乗らない粋な人が。そー言う人は多分見っかんないよ」とフォローし、櫻井が、「そうです、その人きっと感謝状なんて困ってしまいますよ♭」と、付け足した。


「そう言えば勅使河原の逃亡を阻止してくれたタクシー運転手も謎だったんだよねぇ~♭逮捕した勅使河原の供述だとタクシー運転手の制服を着たスラッとした若い男だって言うんだけど、制帽とサングラスとマスクで顔は分かんないんだってさっ♭


でもその個人タクシーってレンタカーでボディーにシールを貼った偽物だったから、もしかしたら助太刀してくれた謎の男と関係があるかも…なんて噂になってるよ♭何で助けてくれるのか全っ然分かんないけど♭」


きっとそれはあの人に協力している……。大野は隣の松本を見つめて聞こえない声で〖松岡さんだよね…?〗と訴えた。松本がそんな大野の肩を抱き、愛しげに顔を寄せる。「あ”っ!♪松潤と大野先生がまたラブラブしてるっ!♪」


2人を指差してアヒャヒャヒャ♪と笑う相葉に櫻井が「坊ちゃん、人が見てますよ♭」と、眼鏡の中央を指先で持ち上げた。「大声で人を指さすんじゃないよ♭酔っ払ってんの?♭」


二宮が相葉にそんなツッコミを入れた時である。松本や櫻井と同じスタッフトレーナーを着た『菅沼貿易』社長、菅沼兼次氏が大慌てで松本の元に駆け寄って来た。


「松本君、櫻井君、休憩中の所済まない♭大変なんだ♭ファッションショーで最後のドレスを着る予定のモデルがインフルエンザで来られなくなった♭急遽他のモデルを探さないと…♭」「何ですって?!♭身長175センチ以上の女性モデルなんて今からじゃ間に合いませんよ!♭」


テーブルから立ち上がりオタオタし始める松本と櫻井に、二宮が「身長175センチ以上ならここに1人居るけど?それ、どうしても女じゃないと駄目?」と、隣の相葉を生贄の如く前に突き出したのである。


➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢


これぞまさしく “瓢箪から駒” だ。インフルエンザで出演出来なくなったモデルの代役として、無理矢理デザイナー、ジャミス.Pの所に連れて行かれた相葉に、ジャミス.Pは大層感激して「Fantastic!!」と叫んだ。


どうやらラストのドレスは歌舞伎の女形に着せたいと予定していたのが、歌舞伎サイドからの出演許可が下りずに不満だったらしい。そこで応急処置として痩せた背の高い日本人女性モデルで手を打ったのが、図らずも出演が出来なくなり、ど素人ながらも男の相葉が来た事でジャミス.Pは上機嫌になったのである。


本物の宝石を使った和洋折衷のドレスは大層重く、加えて花魁風の日本髪の鬘(かつら)は簪(かんざし)だらけで首にもかなりの負担が掛かってしまう。なので筋力のある細身の男の方が何かと都合がいいと言う訳だ。


「無理だよっ♭俺、モデルなんてやった事ないし♭」そう言ってゴネまくる相葉を説得したのは二宮だ。「何言ってんのよ?翔さんが『ハッピーライフ』と『サファリアイズ』の繋がりを調べてくれて、その上ジェイがホストスキルをフル活用してくれたおかげで『サファリアイズ』の悪事が掴めたんでしょうが。

 

ここで恩返ししないでいつ返すんだよ?相葉さんは筋力だけが売りなんだから、その馬鹿な力加減で重いドレスとヅラくらい我慢してステージを往復すりゃいいの。女形の白塗りメイクなんだから誰もモデルが男だなんて分かりゃしねぇって」


小気味いい程の毒舌だが、そんな二宮が1番楽しんでいるのがその表情から伺い知れる。「折角のお誕生日なんだから一流デザイナーの特別な衣装を着させて貰いなよ」「えぇ~~~~?!♭♭」


嫌々ながらも、いざまな板の上に乗せられてしまうと全力投球してしまうのが相葉の愛すべき癖(へき)である。相葉はその卓越した運動神経の良さで、本番までの僅か1時間弱の間にウォーキングのコツを覚え、クリスマスイベントのメインステージに出演する事になったのだった。


➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢


会場に集まった観客からステージに大きな歓声が上がる。金糸を織り込んだ孔雀柄の豪華な西陣織をアレンジし、エメラルドやサファイアを中心に色とりどりの宝石が散りばめられたその和風ドレスは、まさにクリスマスに相応しいゴージャスな装いとなって、スポットライトにキラキラと輝いていた。


「ほら、やっぱ俺の言った通りじゃん♪全然悪くないよ♪悪くない♪」客席の一角でそれを見物する二宮がやや悪戯気にニヤリと微笑う。


高下駄で躓かない様、注意してゆっくりとステージ上を歩く、白塗りの女形メイクを施された相葉は花魁風の日本髪も高々と、その長身を大いに活かした堂々たる佇まいで、ドレスに負けない絢爛さを放っていた。


襟ぐりの開いた振袖風の上半身とは逆にタイトなデザインの下半身は、太腿が大胆にカットされ、相葉のスラリと長い美脚が映えている。「相葉ちゃんって脚が綺麗だね♪」「そう言やさっきワックスでムダ毛剥がされてヒーヒー言ってたな♪」


二宮と共にステージを眺める大野と松本が、先程のメイク係と相葉の攻防を思い出したのか、小さくクスリと微笑う。「まぁ、俺としちゃ身長の縛りが無けりゃあの役智でも良かったけどな♪」「僕じゃ小さいからドレスに負けちゃうよ。あのデザインは相葉ちゃんだから良かったんじゃない?すごく綺麗だよ♪」


会場にはメディア関係らしき取材陣もチラホラと見受けられる。恐らくモデルの事は話題になるだろうが、その正体は絶対に明かす事が出来ないだろう。「智、ニノ、あれ見てみ♪」松本が指さす方向に家族連れでイベントに訪れていた風間の姿が見えた。


「あらま、生意気に地味目なお顔の割には奥さん美人じゃん♪」風間に寄り添う妻の姿に二宮が早速微毒を吐いている。恐らくステージ上の長身美女が我が相棒だとは微塵も気付いていないだろう。


拍手喝采の渦の中、デザイナーのジャミス.Pを囲んで最後の挨拶をする本日の出演モデル達に混じり、頭1つ高い相葉は誰よりも目立っていた。ジャミス.Pが会場の観客に向かって叫ぶ。


《Thank you!everybody!Thank you!Merry Christmas!!》そのタイミングに合わせる様に、大輪の花火が会場の大窓にドーン!ドーン!と打ち上がる。こうして『菅沼貿易』のクリスマスイベントは、紆余曲折の中大成功を収めたのであった。


➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢➢


TOKYOインターナショナルホールは、クリスマスモードから新年の装飾にビル全体が彩られている。今年のカウントダウンはネットでバズった人気ミュージシャン達によるロック・フェスティバルだ。観覧チケットは発売僅か5分でソールドアウトした程で、当日は膨大な数の入場客がコンサートホールに押し掛けていた。


「あけましておめでとうございまぁ~す!!」ステージ上の人気ミュージシャンが白熱する観客達に声を上げる。特効の炎が炸裂し、割れる様な熱狂の渦の中、新しい年が幕を開けた。


コンサートはオーラスまで最高潮に盛り上がり、アンコールの声援が会場に響き渡っている頃、ホールの外のグッズ売り場ではニューイヤーイベントだけの数量限定商品が発売されていた。


ファン達は自分の推しミュージシャンのグッズをこぞって購入しており、中にはこのまま初詣に繰り出すつもりなのか、晴れ着姿の女性もチラホラと訪れて、新春ムードもたけなわだ。


「坊ちゃん、今回のイベントも大盛況でしたね」残り少ない限定グッズをぎこちない手つきで袋に詰めながら、櫻井が松本に声を掛ける。櫻井は元々甘酒をサービスするブースで働いていたのだが、相も変わらぬ不器用さで良くこぼすので、コンサートのグッズを袋に入れるだけのこの売り場に島流しにされたのだ。


因みに計算は物凄く早いので、どんなにファンが詰めかけようと、釣り銭を間違えたりする事がないのは幸いである。背中に『Suganuma trading Co.』と白いロゴが入った防寒用のスタッフジャンパーの両肩が、黒い色目のせいか、やけに撫でて見えた。


「一時はどうなるかと思ったけどな。どうにか無事に終えられてやれやれだぜ♪」最後の限定グッズを売り終え『SOLD OUT』の看板を店先に置いた松本は、大きく伸びをすると、興奮した面持ちで帰路につく大勢の入場客を満足気に眺めた。


「大野先生は当直ですか?新年だと言うのに大変ですね」「しょうがねぇよ。 “白衣の天使” にゃ年末も元旦もねぇからなぁ~。俺もイベントの仕事があったし、智も2日からは正月休みが取れるらしいから、俺達の新年は明日からって事でオールライトさ♪」


スマホを見ると、二宮からは『あけおめ』と実に短いLINEが入っており、相葉からは『松潤★あけましておめでたまきん★』と相葉らしいおバカなLINEが入っている。櫻井のスマホにも同じ文面のLINEが入っていたのか、ぷぷぷと1人で笑っていた。


聞けば相葉は正月非番らしく、「ニノちゃんを誘って初日の出を見に行くっ!♪」と張り切っていたが、二宮がそれを喜ぶかどうかは分からない。二宮の事だから「初日の出なんてテレビのライブ中継で上等だ」と文句を言いそうである。


松本は何だかんだで結局2人お揃いの半纏を羽織り、テレビ中継を観ながらコタツでまったりしている二宮と相葉の姿を想像してちょっと可笑しくなった。


「潤坊ちゃんはこれからどうするんです?」「決まってんじゃねぇの♪当直中の天使を迎えに行く♪殺風景な『臨斉会病院』の廊下だって智と一緒なら天国だっつ~の♪もう半日以上もあの可愛い顔見てねぇんだから絶対ぇ着いて来んなよ♪」


釘を刺す松本に櫻井は「行きませんよ♭年明けですからゆっくりします♭」と、眼鏡の中央を指先で持ち上げた。さて、今年はどんな年になりますやら…。可愛い天使に想いを馳せつつ、松本はきっと去年以上に愛が深まるであろう事を確信していた。



『じゃなくて』【相葉ちゃんお誕生日企画★】


𝐓𝐇𝐄 𝐄𝐍𝐃


🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄


予定の20日より少しだけ遅れましたね~😅ゞ年末からの体調不良により、大幅に期限オーバーしてしまった相葉ちゃんのお誕生日企画でしたがタラー只今漸く完了致しました~😆


完結編があまりに長文になり過ぎましたので、完結編 I 、完結編 Ⅱ と分けて特大ボリュームで皆様にお届けでございます🙇‍♀️🙇‍♀️


因みに作中登場致しましたクリスマスイベントの女形モデルの相葉ちゃんのお顔は『嵐にしやがれ』の『隠れ家嵐』でゲストに梅沢富美男さんがおいでになった時の美しい女形相葉ちゃんのお顔イメージで描いておりますチョキてへぺろ


さて、事件解決からクリスマス&新年まで、どうにか時期的な帳尻合わせも出来ましたでしょうか?アセアセ「あれれ~?潤智のイチャイチャは~?」と思われた皆さん汗うさぎ安心して下さい!♪書きますよ!♪グッ💜💙


実は作者が思っていた以上にお話が長くなりましたものですから、潤智のイチャイチャシーンが入る事により、まるっとアメ限にしてしまうと、読めない読者の方にストーリー展開が伝わらなくなると危惧致しましたアセアセ


なので、それなら潤智のイチャイチャは別タイトルのまとめ的短編として分けて書いた方がいいんじゃないかと、お年賀イラスト付きの寒中見舞い作品として濃いめなモノを発表する事に決定した次第でございますウインク


そろそろ翔君のお誕生日企画にも着手しなくてはいけませんので、そちらのお話と発表が前後するかも知れませんが、何卒ご了承頂けましたら幸いでございます🙇⤵︎


今回も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました💜💙❤️💛💚