これは嵐君の名前を借りた妄想物語です。腐要素有。嵐君好き、BoysLoveにご理解のある雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


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中編


八代将軍徳川吉宗は後の世でも名君だと評判の将軍だが、4男坊と言うこともあり、母親の身分も低かった事から、この人が将軍職に就いたのはほぼ奇跡と言ってもいい程の偶然が重なった為だと言われている。


テレビドラマではサンバを踊っている名優が若き頃から演じていた吉宗が有名だが、実は吉宗が将軍になったのはかなり歳を取ってからの事だったと言うのが通説らしい。詰まり若き日の徳川吉宗は紀州藩の4男として立身出世とは縁遠い立場の人間だったと言う訳だ。


菊田家と言うのは紀州藩の下級武士で、吉宗が未だ新之介と名乗っていた若き日の世話役だった。菊田常盛(きくたつねもり)と言うのがその家臣の名前である。常盛は吉宗が江戸の紀州藩邸へと移り住んだ頃も、家臣の1人として付き添っていたらしい。


常盛には美しい娘がおり、時々紀州から父親に会いに江戸へと訪ねて来ていたのだが、当時はヤンチャな若者で、手の付けられない暴れん坊だった吉宗が、父を訪ねてたまたま紀州藩邸に来ていたその娘に一目惚れし、ついついいい仲になって、娘は身篭ってしまったのである。


吉宗自身、父が湯殿係の女に手を付けて身篭らせた子供だった事から、娘に対し不遇な扱いをせぬ様にと、父親の常盛に申し付け、禄を与えて紀州に返し、菊田常盛は小さいながらも屋敷持ちの武士としてそれなりに優遇された。


所がである、どんな運命のイタズラか、上の兄が次々と夭逝し、吉宗が八代将軍となってしまった事から、菊田の娘が産み落とした子供については決して口外せぬ様にとひた隠しにされたのである。その代わり菊田家はその後絶対に取り潰しにならないよう特別に配慮されたのだそうだ。


「菊田家ってのは地元じゃ有名な武家屋敷でな、将軍の御落胤(ごらくいん)が栄えさせた一家だと一昔前まではそこそこ噂になっていたらしい。今じゃ家屋敷どころか、ただの野っ原になっちまってっけど、55、6年位前までは人が住んでたんだそうだ。もし菊田ナヲ子さんが菊田常盛の末裔だとしたら、隠し財産の話もにわかに真実味が出て来んだって」


潤の報告に二宮はこのお宝探しに俄然興味が湧いて来るのを感じていた。もし見つかったら徳川家に縁(ゆかり)の、葵の紋が付いた何がしかの品が発見される可能性もある。そうなるとこれはもう徳川埋蔵金として歴史的な大発見と化すかも知れないのだ。


「こりゃとんでもないクリスマスプレゼントになりそうだな…♭♭」二宮の呟きに、潤は「なかなかのスクープだよな?♪」と、やけに愉しげに答えた。


「お前ならそう言うと思って、もう手は打ってあるぜ♪クリスマスショーのリハーサル中だった、この世で1番頼りになるエージェントが既に動いてくれてるよ♪『PARADOX』の開店時間までにはそれなりの報告があるだろうぜ♪俺も引き続き菊田さんの戸籍を辿ってみるわ♪」


「まさか?!大野さんが動いてくれてんの?!」その時、愛犬のノスケが元気な声で「ワン!!」と、一声吠えたのである。


◇◇◇◇◇


==== 三右衛門 : 婆さんの様子はどうだ?====

====二右衛門 : おとなしくしてるよ。だけどこの婆さんだいぶボケてるみたいだぜ。本当に千両箱なんてあるのかよ?====


====三右衛門 : それは間違いない。調べてみたが、婆さんの出身地だと思われる和歌山県には確かに50数年前までは菊田って名前のでかい屋敷があったそうだ。 その屋敷の主は徳川吉宗の世話役だった菊田常盛とかって武士の直系らしい。


常盛の娘が徳川吉宗のお手付きだったんだと。菊田常盛はその事を秘密にして娘の産んだ子供に跡目を継がせたんだとさ。だが娘の産んだガキは実は吉宗の子供だったんじゃないかって地元じゃもっぱらの噂だ====


====二右衛門 : それって五右衛門兄貴の持って来たネタだよな?五右衛門兄貴って何者なんだ?====

====三右衛門 : 俺も詳しくは知らん。俺はただ五右衛門兄貴の話に乗って今回の計画を立てただけだ。今は金の値段が高騰してるから1両は10万前後くらいになるらしい。


千両だとそれが1000枚だ。単純計算でも千両箱1個で1億、2個なら2億だぜ。もし千両箱の他に徳川吉宗縁の品なんて出て来た日にゃ五右衛門兄貴の闇ルートで天文学的な値段が付く。将軍家のお宝は特に高値が付くそうだ====


====二右衛門 : そりゃすげぇ。俺達は億万長者だな✌️💸💸💸====


====七右衛門 : そう上手く行くと思うか?紅龍倶楽部の連中に鍵のありかなんて分かるのかね?====

====三右衛門 : 五右衛門兄貴は大丈夫だって言ってたぜ。何でも紅龍倶楽部の管理人は真相報道Weeklyのジャーナリストでだいぶ頭が切れるそうだ====


====七右衛門 : 真相報道Weeklyって例の九州の資産家一家皆殺し事件をすっぱ抜いたジャーナリストか?確かチャイニーズマフィア絡みの麻薬密売事件だったよな?(『P・A・R・A・D・O・X』参照★)====


====三右衛門 : そうそう。真相報道Weeklyのバックには相当凄いブレーンが付いてるって話だぜ。五右衛門兄貴も取り引きには来てくれるらしいし、一右衛門も、二右衛門も、四右衛門も傭兵上がりの猛者だしな====


====二右衛門 : 心配いらねぇよ七右衛門。こっちには一右衛門も四右衛門も待機してるし、武器もある。どんな凄ぇブレーンかは知らねぇが、誰が来たって負けやしねぇ。千両箱を手に入れたら日本とはおさらばだ。


それよか七右衛門、そっちこそどうなんだ?紅龍倶楽部の年寄り達が警察に通報している様子はあるか?六右衛門は何て言ってる?あいつの事だからまさかバレやしねぇとは思うが、目ざとい年寄りもいるからな====


====七右衛門 : 今の所は無いね。今日は六右衛門を看護士に化けさせて潜らせたが、紅龍倶楽部の若い奴が2人車に乗って出掛けただけらしい。1人は多分三右衛門の言うジャーナリストだろう。


もう1人はブルース・リーみたいなコスプレした頭の悪そうな野郎だったってよ。但し軽業師並に身軽な奴らしいからそう言う意味では要警戒かもな。さっき六右衛門から問題ナシってメールも届いたし、大丈夫だろう。


しかし五右衛門兄貴が持って来たドローンボーガンってのは良く出来てるな。この距離でボーガンを射ち込めばまず目撃される心配がねぇ。


まさかこの高台からドローンを飛ばしてボーガンを射ったなんてあいつらも思ってないだろう。この双眼鏡も米軍仕様だし、五右衛門兄貴は凄い男だな。まさに現代に蘇った大盗賊石川五右衛門そのものだぜ====


====三右衛門 : 了解。潜伏中の六右衛門から何か連絡があったら随時俺に連絡してくれ。俺は今から五右衛門兄貴と取り引きの打ち合わせをする。====


ノートパソコンを閉じた男がニヤリと微笑う。7人組の強盗グループ『怪盗七右衛門』のメンバーの1人、頭師晃(ずしあきら)23歳。通称電脳三右衛門(でんのうさんえもん)である。コンピュータに長けていて『怪盗七右衛門』では主に戦略担当だ。


二宮が予測した通り、七右衛門とは7人組の強盗団で、リーダーは石川五右衛門と名乗る謎の人物だった。顔を合わせるのはこのチーム最年少の頭師晃くらいで、その頭師だとて石川五右衛門の本名は分からない。

 

頭師以外の5人は五右衛門がSNSでスカウトした20代後半から30代前半の金に困った曲者ばかりで、彼らは五右衛門の顔すらも知らないのである。


一右衛門、二右衛門、四右衛門の三人は借金まみれの元傭兵で、それぞれ村重一(むらしげはじめ)32歳。継野二郎(つぎのじろう)29歳。倉本小四郎(くらもとこしろう)31歳。通称闘魂一右衛門(とうこんいちえもん)、闘魂二右衛門、闘魂四右衛門だ。


そして紅龍倶楽部の建物が見下ろせる山丘の高台にテントを張り、米軍仕様の双眼鏡を使って見張りを続けている七右衛門が、各地の鉄道、道路に詳しい元不動産屋でチーム最年長、盛岡勘七(もりおかかんしち)34歳。通称不動七右衛門(ふどうしちえもん)。


そして現在『紅龍倶楽部』に看護士として潜り込んでいるのが変装名人の役者崩れで稲毛六郎(いなげろくろう)。通称隠密六右衛門(おんみつろくえもん)である。


中でも取り分けリーダーの石川五右衛門に目を掛けられているのは最年少の頭師晃だった。SNSでの犯罪が世の中のトレンドになりつつある現代に於いて五右衛門は頭師の才能を高く買っていたのである。


なので『怪盗七右衛門』の個人情報や作戦の全貌は頭師晃のパソコンに全て集約されていたにも等しい。頭師のスキルはそれほど高レベルだったのである。だが世界には頭師のスキルを遥かに凌駕するITの天才が存在していた事をこの男は知らない。


〖Sato-C。多分この頭師晃って奴が誘拐事件の絵図を描いてるよ。リーダーの五右衛門と直接連絡を取り合っているのも唯一こいつだけみたい。こいつを締め上げれば石川五右衛門の尻尾を掴めるんじゃない?〗


スマホから聴こえるYou-Rの声に智が口元で薄く微笑う。ショーのリハーサル中に受けた潤からの連絡に『紅龍倶楽部』の会員である菊田ナヲ子さんの誘拐事件を知った智は、取るものも取りあえず即行動を開始したのだ。


徳川家の宝など智にはどうでもいいが、宝に目が眩んだ犯罪者が、か弱い高齢者を拉致したとなればとても見過ごす事は出来ないのである。早急に黒幕の正体を炙り出す為、マサチューセッツ工科大学在学中の天才ハッカー、エージェントYou-Rに協力を要請したのだ。


本来ならとうに組織を抜けた智が現役の『Dead Line』エージェントに協力を依頼するなど、櫻井がいい顔をしないであろう事は分かっていた。


だが、もし『紅龍倶楽部』の会員が誘拐犯によって命を落とす様な事態になれば、『紅龍倶楽部』に出資した櫻井にも要らぬ火の粉が振りかからないとも限らない。


『紅龍倶楽部』の会員が危険に晒された様な事実が表沙汰になっては困るのだ。きっと渋々ながらもYou-Rの介入を了承するであろう。「ありがとうYou-R。後は僕に任せてくれ」〖頑張ってSato-C♪Sato-Cの為なら僕はいつだって協力を惜しまないよ♪〗


智に憧れて自ら『Dead Line』のエージェントに志願したYou-Rらしい返答に励まされ、智は都内のとあるマンスリーマンションの一室に狙いを搾る。シンプルな黒のモールセーターとブラックジーンズ。マスクとキャップで顔を隠したそのつぶらな双眸はまさに獲物を狩る黒豹の如く鋭い輝きを放っていた。


ピンポーーーーン。玄関のインターフォンの音に頭師晃は慌ててパソコンを閉じる。「はい?どちら様?」「お荷物の配達です。石川…五郎様からですね」五右衛門兄貴だ!急いでドアを開けた頭師晃の目に、柔和な笑顔の華奢な青年が映った。「初めまして。石川三右衛門さん」「えっ?♭♭」


◇◇◇◇◇


ノスケが得意げにくわえて来たのは小さな匂い袋だった。和服の女性がタンスに入れたり、帯締めに付けたりして使用する可愛い小物である。恐らく相葉が片っ端から開けていた引き出しの中にでも入っていたのだろう。着物の切れ端を丁寧に縫ったお手製の匂い袋で、上品ないい匂いがした。


「こらノスケ♭勝手に持って来ちゃ駄目じゃないか♭」ノスケの口から匂い袋を取り上げた二宮は、明らかにお香とは違う何か硬い物が中に入っている事に気がついた。「おいおい♭まさかだろ?♭♭」匂い袋を閉じた口紐をほどき、中を確認する。そこには香料の粉末にまみれたスマホのメモリーカードが入っていた。


「相葉さん!♭ノスケが鍵見つけたかも!♭♭」「マジで?!♪さすがは名犬ノスケ!♪」台所を探していた相葉が二宮の元にすっ飛んで来る。潤から二宮のスマホに続報が届いたのはその時だった。


「ニノか?菊田ナヲ子さんには2人の兄貴が居た。長男は菊田常敦(きくたつねあつ)。次男は菊田常朝(きくたつねとも)だ。長男の常敦は真面目な男だったらしいが次男の常朝は素行不良でな、父親の菊田常近(きくたつねちか)に勘当されて18歳で家おん出されてる。


所が兄貴の常敦は病弱でだいぶ若くして亡くなった。菊田ナヲ子さんが20歳の頃だ。跡取りに死なれて気落ちしたのか常近はすっかり弱っちまってな、それまでやっていた商売からも手を引いて隠居生活だ。


所が食い詰めた常朝が兄貴の常敦の死を知って跡取り面で菊田家に舞い戻り、財産をたった3年で食い潰しちまったのさ。よって菊田家は没落。家屋敷は抵当に入り、常朝は家屋敷売っぱらった金を持って再び姿を消した」


「悪い奴だなぁ~常朝♭♭」思わず呟く二宮に、潤は更にナヲ子お婆ちゃんの気の毒な身の上話を続けた。「ああ全く♭とんだ跡取りだよな?それからというものナヲ子さんはだいぶ苦労したらしいぜ。


何せ今までは蝶よ花よと育てられた弱冠23歳の若い娘だった訳だろ?そんなコが病気の父親抱えて働き詰めに働いてさ、そりゃ大変だって。


当時の事をよく知るって言う和歌山の病院の元看護師が現在都内に住んでるって事が分かったんでアポ取ってみたら、ナヲ子さんは父親の入院費を稼ぐ為にお針子さんや小料理屋の雇われ女将なんかをしていたらしい。


評判の美人で随分モテモテだったみたいだけど、父親を看取るまではと独身を貫き通していたんだとさ。父親の常近が他界したのはそれから9年後の事だ。立派に常近を看取ったナヲ子さんは弔いも全部済ませてから上京したらしい。


見た所結婚した形跡も無ぇし、恋人くらいはいたかもだけどさ、ナヲ子さんに現在身寄りが無いのは本当みてぇだぜ。因みに不肖の次男常朝は行方不明のまま、父親の死と同時期に死亡届が出されている。


失踪者は7年経てば死亡届が出せるし、例え生きていたとしてもナヲ子さんは次男の常朝を親族とは認めたく無かったんだろうぜ。ま、気持ちは分かるケドな」一気に話した潤はここで1呼吸置いてから先を続けた。


「だからもしナヲ子さんがお宝のありかを示す地図の鍵を持っているとしたら、それは父親の常近がナヲ子さんに苦労させないよう、彼女を慮って預けた物だろうぜ。でもナヲ子さんはお宝に手を付けなかった。


ナヲ子さんが一体どんな形でお宝の鍵を隠していたのかは分からねぇが、もしかしたら千両箱は金で身を滅ぼしたもう1人の兄を間近で見たナヲ子さんの、決して開けちゃいけないパンドラの箱みてぇなもんだったのかも知れねぇな」


しみじみと語る潤に、二宮は手元の匂い袋を凝視しながら言った。「そのパンドラの鍵見つかったかも…♭お針子さんをやっていたならこれ多分ナヲ子お婆ちゃんが作ったもんだ…♭着物の入った和簞笥に匂い袋は当たり前。まさかその匂い袋の中にスマホのメモリーカードが入ってるなんて誰も思わないよ♭


ナヲ子お婆ちゃんは自分の使っていたスマホでお宝のありかを示す地図の写真を写し、中からメモリーカードだけを抜いて、この匂い袋に隠しておいた…♭認知症どころかすげぇ~頭切れるじゃん…♭」


「匂い袋?♭ちょい待てニノ♭もしかして菊田ナヲ子さんは何か目的があってそのメモリーカードを隠し、認知症の振りをしていたんじゃねぇか…?♭♭」スマホのこちらと向こうで絶句する二宮と潤に、「アヒャヒャヒャ♪面白いぞっ!♪犯人達は婆ちゃんに1杯食わされたのかっ♪」と、相葉が笑う。


「さっきおおちゃんが動いてるって聞いたけど、それならもうシメに入れるんじゃない?♪ここに来る前に看護士に化けてた変な奴をぶちのめして裏の田んぼに捨てて置いたけどさっ♪あいつがそろそろ目覚めてる頃かもよ!♪」


相葉はジャンプスーツポケットから見知らぬスマホを取り出すと、LINEの画面を開き、すました顔で〖こっちは問題ナシ〗と打ち込んだのだった。


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アワワワ💦終わらなかった~ガーンこれを中編として全力疾走で後編書きます🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️タラー因みに徳川吉宗の世話役に菊田常盛と言う家臣が存在したと言うのは私の創作ですので信じないで下さいね~😅←(紛らわしいわパンチ!