これは嵐君の名前を借りた妄想物語です。腐要素有。嵐君好き、BoysLoveにご理解のある雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ
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【終焉】
#4
吉塩牛の自白は概ね誰もが予想した通りであった。手柄に逸り、前原勝廣を誤認逮捕した事実を当時西麻布署の署長だった黒塚磐男に揉み消して貰った事がそもそものきっかけだったらしい。
それからと言うもの、吉塩牛は黒塚磐男の忠実な犬として黒塚の為にあれこれと働いて来た。駐車違反や酒酔い運転の様なちょっとした犯罪の揉み消しなどは殆ど日常茶飯事で、脱税の見逃しや、時には裏金のやり取りに協力した事もあったそうだ。
だが、前原勝廣が刑務所で自殺した事で、吉塩牛は限界を感じたのだと言う。田淵実余子の事は愛していたが、無実の人間を死なせてまで彼女を助けてしまった事実にはずっと煩悶し続けていたのだと吉塩牛は涙ながらに答えた。
なのに10年も経ってから田淵実余子は再び姿を表し、海外に逃亡する資金を寄越せと昔の常連客みんなに声を掛けて来たのだ。自分が捨てた息子の義哉にまで…。吉塩牛は子供の頃の義哉に何度も会った事がある。その時は未だ実余子の無実を信じていたし、この子の為に必ず真犯人を見つけてやると本気で思っていた。
だから貯金を下ろして義哉に渡したのだ。これを実余子に渡して二度と彼女と関わらないようにしろと…。まさか田淵義哉があんな恐ろしい青年だとは今回の事件が起きるまで夢にも思っていなかったのである。
所が田淵実余子が黒塚にまで金の無心をした事で状況は大きく変わった。前原勝廣を誤認逮捕したまま死なせてしまった事で、田淵実余子に弱みを握られたからだ。このまま放置していたらまた脅迫して来ると危ぶんだ黒塚磐男は田淵実余子の殺害を吉塩牛に命じたのである。
だが、吉塩牛がこれまで黒塚に強力して来た罪と殺人の罪は全く違う。無理だと思ったそうだ。自分にはとても無理だと…。黒塚に本気で頼んだ。もう勘弁してくださいと…。
すると黒塚磐男はこれが最後だからとスリのトメさんに金を渡し、鶴岡荘司と言うスケープゴートまで用意して吉塩牛に田淵実余子の殺害を頼んだのだ。それでもギリギリまで逡巡していた。
田淵実余子に会って彼女が吉塩牛の説得に応じれば彼女を海外に逃がし、死んだ事にしようと思ったそうだ。だが田淵実余子は吉塩牛の説得に応じなかった。
それどころか、前原勝廣の自殺を持ち出し、世間に言いふらして黒塚諸共吉塩牛を終わらせてやると高笑いしたのだ。それで思わず絞め殺したのだと吉塩牛は告白した。
それからはもう坂道を転がり落ちる様な状況だったらしい。咄嗟に手元にあった鶴岡荘司のスカーフを使った事で、黒塚の書いた筋書き通りに事を運んだ。今度は鶴岡が無罪だと分かった上での隠蔽工作だから最悪である。
だが、殺人を犯した事で、もう引き返せない所にまで行ってしまったのだと感じたそうだ。そんな中、例の田淵義哉によるアポ電強盗殺人事件が起きたのである。黒塚に聞かされた。あれは田淵実余子の息子、義哉がやったのだと…。
大きな衝撃を受けた。母親の実余子を殺害した事で、吉塩牛には義哉に対する負い目があったから余計にショックだったのだ。しかも田淵義哉は黒塚磐男と実余子の間に産まれた黒塚磐男の隠し子だったと言うではないか。
隠蔽しろと黒塚に命令された。義哉はアポ電強盗の際、時計の文字盤が描かれたビニール傘を差した人物に目撃されたらしい。そのビニール傘の持ち主を探し出してどうにかしろと…。
だが、吉塩牛が傘の持ち主を探索していたさ中にカラオケスナックのマスター懐深壮亮がマイクで撲殺されたのだ。『時計じかけのアンブレラ』事件の始まりである。
懐深壮亮殺害直後、黒塚から吉塩牛に連絡が入ったらしい。義哉が先程人を殺したと言って来た。現場には睡眠薬を盛って眠らせた身代わりを用意してあるそうだから後は頼んだぞ…と。真夜中に車を走らせて現場に直行した。殺害現場には殺された懐深壮亮の遺体の他にソファーで眠る中丸が居た。
そこで吉塩牛は中丸が犯人であるかの様に小細工をして現場を立ち去ったそうだ。吉塩牛は直感したらしい。田淵義哉は傘の持ち主を探しているのだと…。だから田淵義哉を『丸共産業ビル』の屋上に呼び出して説得しようとしたそうだ。小諸若希が盗撮したのはその時の映像らしい。
「田淵義哉は実余子に似ているよ…。まるで自分が世界で1番ででもあるかの様に他人を小馬鹿にして生きている。人の痛みなど感じる事が出来ないんだ…。自分され楽しければそれでいい…。
昔はそんな女王様気質の実余子を愛していたが…。田淵義哉は彼女に輪を掛けた恐ろしいサイコパスだった…。多分彼は今でも良心の呵責など全く感じずに今を楽しんでいるだろう…。黒塚先生ですらその掌で操りながらね…」
吉塩牛は大きな溜め息をついて眼前の二宮を見詰めた。そこには広い額に青筋を立てて喚き散らしていたかつての吉塩牛の姿はもう無い。まるで憑き物が落ちたみたいにその顔つきは穏やかだった。
「お前の言った通りだよ二宮。家族の反対を押し切って田舎を飛び出し、警察学校に入ってからずっと、俺は有紗とは疎遠だった。有紗も俺が家族を捨てた身勝手な兄貴だと思っているだろう。お袋は身体が弱くてな。有紗を産んでから直ぐに亡くなっちまった。
だから余計に警察で出世して歳食った親父と、年の離れた妹を助けてやりたいと焦り過ぎたんだろうな…。黒塚先生は保証してくれたんだ。自分に従っている間は、家族の面倒は引き受けてやるとね…。
妹が福祉センターで働き始めた時も、前原廣人と付き合う様になった時も、俺は有紗が幸せならそれでいいとずっと思っていた。
だから有紗が前原廣人と協力して社会福祉法人施設の設立を目指していた時、黒塚先生が推進の筆頭に立ってくれた事は嬉しかった。先生は約束を守ってくれていると信じていたんだよ。
ここまで堕落した俺に最後に出来る事は妹の幸せを守ってやる事だけ。その為にはどんなにこの手を汚しても構わない。でもな、二宮。お前と相葉がこの事件に乗り出して来てから何となく予感があった。終わるんじゃないかってね…。
それが決定的になったのはあの大野弁護士だよ。中丸の取り調べ中に単身乗り込んで来た彼を見て何て言うか…負けた気がしたんだ。あんな優しげな風貌をしているのに大野弁護士からは圧倒的な高潔さと揺るぎない信念を感じた…。
多分大天使って奴を形にしたらあんな感じになるんじゃないかって本気でそう思ったくらいでな。自分自身が酷く薄汚れたちっぽけな人間に思えてたまらなくなった…。だから検察側の証人として法廷に呼ばれた時は半ば覚悟を決めていた所もあったんだ。
黒塚先生に報告したよ。法廷に証人として呼ばれたが、勝てる気がしない、妹が心配だとね。黒塚先生は何も心配いらないと言った。自分の事さえ黙っていてくれれば妹や田舎の親父の生活は全部面倒をみてやると…。義哉は海外へ飛ばすとも言っていた」
全てを話し終えた吉塩牛は「俺もさすがに疲れたよ…」と呟いてこう結んだ。「時計の文字盤柄のビニール傘だが、黒塚先生の命令で俺が持ち主から残りの8本を全部回収して義哉に渡してやった。これ以上義哉に人を殺して回られたら困ると黒塚先生が言うんでね。
だが黒塚先生の願いは義哉にゃ届かなかったらしい。才原登米子殺しは多分義哉が勝手にやった事だ。何を考えているんだか、義哉の行動は俺には全く意味が分からないが、黒塚先生の考えそうな事なら多少は分かる。
俺の証言だけじゃあの人は決して罪を認めないだろう。だから保険を掛けて置いた。先生が有紗を約束通り幸せにしてくれたなら口を噤んで墓場まで持って行こうとしていたものだ。西麻布署にある俺のロッカーを調べてみろ。
奥に薄い鉄板を張って二重にしている部分がある。そこに貸金庫の鍵を隠してあるんだ。その鍵を持って麻布信金に行け。黒塚磐男がサインを書いた裏金取引の契約書や裏帳簿、他にも様々な悪事の証拠が収められたSDカードを貸金庫に隠してある。黒塚磐男を引っ張れるだけの充分な証拠になるだろう」
「吉塩牛あんた…♭」二宮はハッとして眼前の元刑事の何処かサバサバした様な顔を見つめた。「ああ、お前や相葉をやり合ってたら、デカとしての誇りみたいなもんを思い出したよ。俺は最低のデカだったが、それでもな、二宮。せめて最後位は俺にもデカらしい事をさせてくれ。
お前や相葉みたいなちゃんとした若い奴が俺のデカ人生にピリオド打って引導を渡してくれたら俺は喜んでムショに行って、いつかこっちに来る黒塚磐男や田淵義哉を楽しみに待つ事にするよ。だから黒塚磐男にも、田淵義哉にも必ずワッパ掛けてくれ。頼んだぞ」
手錠を嵌められた吉塩牛の両手がテーブルに置かれた二宮の手をしっかりと握る。つい最近まで同じ側だった人間が、今では正反対の立場になっている二宮と吉塩牛だったが、何故か二宮には今の吉塩牛が1番刑事らしく見えた。
「良かったな。ヨシギュウ。やっと止まる事が出来て…」「ヨシギュウか…いいニックネームだったな二宮。きっちりオツトメ果たしたら、今度は美味くて安くて早い、人から親しまれるヨシギュウになるよ」
そこに平良を取り調べていた相葉が飛び込んで来て、パワー全開の声で叫んだ。「ニノちゃん!平良ビョーキ君がナイスな情報くれたよっ!田淵義哉は『デスメタル・スカル』の連中に世話になってるかもって!今から乗り込もう!!」
「『デスメタル・スカル』?!違法カジノでソタイさんが目ぇつけてる半グレグループだな?!相葉君お手柄!!」椅子から立ち上がった二宮は、吉塩牛に向かって「あんたもな!ヨシギュウ!後は任せろ!」と、声を掛けてから相葉と共に駆け出して行った。
「おい二宮!♭取り調べ中だぞ!♭おい?!♭」注意する風間捜査一課長の声など完全に無視している。「あいつら全く…♭俺一応上司だぞ…♭♭」やれやれと呆れ、先程まで二宮が腰掛けていた椅子に座る風間に、吉塩牛が「あいつらいいデカですね課長」と微笑う。
「にのあいコンビがですか?♭ご冗談を♭生安課のくせに捜一の事件にいちいち首を突っ込んで来るし、命令は利かないし、口は悪いし、民間人と組んで事件を引っ掻き回すし、とんだはみ出し者ですよ♭」風間は2人を散々ディスってから眼鏡の奥の双眸を柔和に細めた。
「それでもね、吉塩牛さん。少なくともあいつらは人の痛みが誰よりも分かる連中です。権力の象徴である警察手帳を持つ人間でありながら、それを決して傘に着せず、街の人達一人一人と同じ目線で付き合えるそんな奴らです。いつも始末書ばっかり書いていますけどね」
風間の言葉に何度も頷きながら吉塩牛は「俺ももっと西麻布署の仲間を信じれば良かったですね…」と、少し寂しげに呟いた。
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その頃、神奈川県の商業ビルにある法律相談所に出張していた智にも、意外な人物から思いがけない証言が齎されていた。「離婚?ご主人と離婚されるんですか?」目を丸くする智の眼前で、その女性は思いの外しっかりと口調で「そのつもりです」と、答えた。
黒塚耀子(くろづかようこ)。疑惑の人黒塚磐男の妻である。彼女は神奈川県に本社を持つ大手セキュリティー企業。『パーフェクト・ガード』の会長、武内秦三(たけうちしんぞう)の娘で、国防省や法務省の役員とも深い繋がりのある、セレブ中のセレブだ。
現在智が携わっている控訴審で、黒塚磐男は確かに疑惑の渦中に居る。だがそれは未だ表沙汰になっていない内々の事であり、捜査の手はおろか、黒塚の名前すら何処のメディアにも出ていない状況だった。
だのに何故黒塚耀子が離婚を考えているのか智には解せないのである。今の所黒塚磐男は西麻布署の警察署長を経て参院選に立候補が決まっている有力者であり、彼女が離婚したい理由など何も無さそうだからだ。
「先生が法律相談でこちらにいらっしゃると兄から聞いて訪ねましたの。兄と言うのは現在の『パーフェクト・ガード』の取締役の武内誠二郎の事なんですけど、黒塚と離婚するなら早い方がいいと兄にも言われましたので、是非先生に相談に乗って頂ければと…」
高級ブランドの淡色のサマースーツにケリーバッグ。黒塚とは10歳くらいは離れているだろうか。未だ40半ば程に見える黒塚耀子は、薄化粧が施された上品な顔を智に向けて、「嫌な予感がするんです。ですがそれだけでは離婚の理由になりませんでしょう?」と言った。
「?どう言う事です?」「実は…。黒塚に隠し子が居るらしいんですの。わたくしと結婚する前にお付き合いしていた女性の子供らしいんですが、どうもその子供…と言ってももう青年なんですが、彼がどうやら犯罪めいた事に関わっているようでしてね。
それでわたくし、ある調査会社に調べて頂いたんです。これがその時の調査結果なんですが、この青年、一時黒塚の選挙事務所でアルバイトしていた事がありましてね。写真を見てあの時の青年だと気づきましたの」
黒塚耀子はそう言って調査会社が調べて来たと言う資料を、写真と共にデスクの上に並べた。そこには何処か怪しげな雰囲気のする連中とつるんで、小さな雑居ビルの様な所に入って行く田淵義哉の写真や、母親だった田淵実余子の資料等も含まれている。
だが、大手の調査会社をもってしても田淵義哉についての詳細はそれほど多く集められてはいなかった。
「…あれは確か今年の5月頃だったと思います。参院選に向けての選挙活動を始めたばかりの時で、地元の有権者の皆様にお電話させて頂く為のアルバイトを求人したところ、彼が事務所にやって来ました。
その時は小諸若希(こもろなおき)と名乗っておりましたけど、眼鏡を掛けた、素朴な雰囲気の真面目そうな青年でしたので、雇い入れました。
ところが暫くお仕事をして頂いている中で、どうもおかしな感じがありましてね。と申しますのも、相手の家族構成や何かをやけに詳しく聞き出そうとしている時があって不審に思ったからですの。
それで彼を問い質したら、 “今では18歳以上の人に選挙権があるから、家族がいればそれだけ大勢の有権者に呼び掛けられるでしょう?” だなんて、悪びれもせずに答えるんです。わたくし何だか心配になって、黒塚にもその事を話したんですが、黒塚は “熱心でいいじゃないか” と彼を擁護するばかりで…」
黒塚耀子はそこで1呼吸置いてから、「多分あの頃にはもう黒塚は彼が自分の息子だと知っていたのでしょうね」と、溜め息をついた。
「ですがアルバイトを始めてから数日位で彼は事務所に来なくなったんですの。履歴書に書かれてあった住所も電話番号も全て出鱈目で、まるで狐につままれたみたいな心境でした。
ところが、彼が来なくなってから直ぐに黒塚の有権者の1人だった方が、アポ電強盗…と言うのですか?そんな恐ろしい犯罪の被害者になりましてね、まさかと思ったんですの。黒塚に尋ねると、それは怖い顔で他言無用だと…」
黒塚耀子は両手の中でレースのハンカチを盛んに揉みながら「わたくし、それからと言うもの黒塚の事が信じられなくなりまして…。どうやら黒塚はわたくしの目を盗んで未だ彼とやり取りしているみたいなんですの。
ですがこの資料にもあります様に、彼は余り良くない人達と行動を共にしている様子ですし、もし彼が大きな犯罪に関わりがあるのなら、きっと黒塚も保身の為に彼の犯罪の手助けをして、隠蔽を図るんじゃないかと、そんな風に思えてならないんです。
黒塚が本当に彼と関わり、犯罪に加担しているのかどうかは分かりません。今は未だ女の勘としか申せませんが、元々政略結婚で一緒になった人ですし、黒塚の女癖にはこれまでにも随分と泣かされて来ましたもの。
それでも一緒におりましたのは、黒塚の能力を評価していたからです。ですが、その能力が犯罪を経て得られた物であるなら、わたくしにはもう黒塚に着いて行く理由がございません。あの人の女癖のツケを払うのはそろそろお終いにしたいんです」
「成る程…」話を聞いた智は、心密かに潮目が変わって来た事を感じていた。恐るべきは女の勘と言うやつか、黒塚耀子は偽名を使い選挙事務所のスタッフとして働いていた田淵義哉の罪を、かなり早い段階で見抜いていたのだ。
これは使えるかも知れない…。智はそう考えて黒塚耀子に速やかに離婚を進める為のアドバイスを行った。「お話は良く分かりました。ですが、なるだけ早い離婚をお望みであれば、ご主人が確かにこの田淵義哉君…ですか?彼と関係していたと言う事実を証明する必要があります。
出来ればこの調査結果の資料を警察にお持ち頂き、ご主人のDNAが分かる何か…例えば髪の毛や唾液等、親子鑑定の出来る物をご用意下さい。もし田淵君が犯罪に加担していれば警察が彼のDNAを入手する筈です。
それで間違いなく両者の親子関係が証明されればご主人の浮気の証拠ともなり得ますし、奥様には何の落ち度も無い状況で、ご主人に多額の慰謝料を請求する事も出来るでしょう。
それにもし可能であれば…ですが、ご主人と田淵君のやり取りの様な物…電話の音声やもしくはメールや手紙の類いですが、そんな物があればそれも警察にご提出頂ければ確実です」智の説明に黒塚耀子は「あ、そう言えば…」と、ケリーバッグの中から田淵義哉が書いたと思われる履歴書を取り出した。
「これ、面接時に彼から渡された物なんですが、こんな物でも証拠になりますか?偽名だし住所も電話番号も出鱈目ですけれど…」「勿論ですとも、これがあれば筆跡鑑定が出来ますよ。是非警察にお持ち下さい」
智は自分の名刺と共に渋谷西署の住所を書いたメモを黒塚耀子に渡し、「大丈夫。僕も全力を尽くします」と、伝えた。恐らく黒塚磐男の政略結婚は、耀子の父親である武内秦三の財力と権力に拠る所も大きいだろう。
そこに見放されるとなると、黒塚磐男もこれまでの巨大な力を失う事になり、捜査のメスも入り易くなる筈だ。頭を下げる黒塚耀子を紳士的に見送りながら、智は確かな手応えを感じ取っていた。
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ヨシギュウの告白、そしてラスボス黒塚磐男の奥様からの証言もあり、いよいよ悪党共への操作網が狭まって参りました~
次回、探偵潤君と、まさかの櫻井教授大活躍~?相葉ちゃん大暴れな田淵義哉逮捕劇をお送りしたいと思っております👊💥