これは嵐君の名前を借りた妄想物語です。腐要素有。嵐君好き、BoysLoveにご理解のある雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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【連鎖】

中編

オーダーメイドの夏物黒スーツが華奢な体躯に良く似合う。柔らかにウエーブしたダックテイルな栗色の髪の毛をフワフワと空気に躍らせて、渋谷西署の廊下を颯爽と歩いて来るのは只今赤丸急上昇中の若手弁護士のホープ、大野智だ。

小柄だが、纏うオーラは何処かしら大物の予感を感じさせる気品と知性を漂わせている。だが、決して威圧的ではなく、まるでその周囲を羽毛が舞っているかの様な癒しの空気を発散させていた。

「『大野法律事務所』から来ました。弁護士の大野智です。こちらで拘束されている中丸雄一さんとお話をさせて頂きたいのですが、よろしいですか?」

大野弁護士に名刺を渡された捜査一課長の風間がホッと安堵の溜め息をつく。取調室から聞こえる吉塩牛の怒鳴り声に少し辟易していたからだ。

このまま強引に自白させたりして後で冤罪だと分かったら、吉塩牛だけでなく、実質的に合同捜査本部を仕切っている立場の風間も責任を取らされかねないからである。

「良かった。西麻布署から派遣されている刑事がいささか暴走気味なので困惑していたんですよ」風間は渡りに船とばかりに取調室へと大野弁護士を案内し、中にいる吉塩牛とその相棒に弁護士の意向を告げた。

案の定吉塩牛は「弁護士だと?♭」とあからさまに嫌そうな顔をして「今は取り調べ中なんだ!♭余計な口を挟まんで下さいよ!♭」と、けんもほろろである。吉塩牛がこんな反応を返す事は分かっていた。なので風間は先ず吉塩牛の取り調べの様子を別室で大野弁護士に確認して貰っていたのだ。

「そうは行きません。先程取り調べの様子を見させて頂きましたが、あなたのやっている事は明らかに自白の強要です」そう言って取り調べ室に入って行った大野弁護士は、彼らしからぬ冷淡な表情で吉塩牛を睨(ね)めつけた。

吉塩牛は一瞬ポカンとして入室した大野弁護士を見上げたが、直ぐに虚勢を張って椅子から立ち上がると、今にも殴り掛かりそうな勢いで頭ごなしに喚き始める。「そっちこそ何の権限があってここに入って来たんだ!♭公務執行妨害だぞ!♭」

「捜査の責任者である風間捜査一課長の許可は頂いています。たしか吉塩牛刑事…でしたね?ここにいる中丸さんは私の依頼人だ。依頼人の権利を守るのが弁護士の役目です。あなたのした事は不当逮捕に当たる可能性がありますが、その旨を西麻布署の方に報告してもよろしいですか?」

「貴様ァ…!♭何様のつもりだ?!♭」激昂して大野弁護士のスーツの襟を掴み、拳を振り上げる吉塩牛の腕を押さえつけたのは相葉である。「やめときなよヨシギュウ。それ以上は後で問題になるよ」相葉の背後から顔を覗かせ、二宮がトドメの猛毒を吐いた。

「あんた何やってんの?弁護士殴ったりしたら懲戒食らうよ?そんな事も分かんない程頭湧いてんのかよ?」「くっ…♭」悔しげに拳を下ろす吉塩牛を見かねた同僚の刑事が「まずいッスよヨシさん♭」と、慌てて注意をする。

それまでオドオドと成り行きを見守っていた中丸が「ヨシさん…」と呟いて小首を傾げた。何かを思い出し掛けたのだ。だが、それが何なのかは思い出せないのか、たちまち元のしょぼくれた様子に戻って背中を丸めた。

「中丸さん。行きましょう」大野弁護士に促され、中丸は椅子から立ち上がると、吉塩牛にペコりと一礼してから取り調べ室から退出して行く。憎々しげにその背中を見送った吉塩牛は、テーブルをドン!と殴りつけて唇を噛み締めるのだった。

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「ありがとうございました先生」にのあいコンビに付き添われ、渋谷西署から釈放された中丸は、大野弁護士に深々と一礼すると、少し不思議そうな様子で、その弁護士らしからぬあどけなさを宿した、何とも可憐な顔をまじまじと見つめた。どう言う経緯で弁護士が来たのか分からなかったらしい。

「あの…先生は一体…♭」「決まってんじゃんっ!♪ゆっちーのピンチだったから俺達が呼んだんだよっ!♪あのままじゃゆっちー、ヨシギュウに無理矢理犯人にされちゃうかもでしょっ!♪」得意気に言う相葉に続き二宮が口を挟む。

「まぁ、正直容疑者に肩入れして取調の妨害をするのは服務規程違反ギリギリなんだけどねぇ~♭ヨシギュウの暴走には風間課長も困ってたし、今回は特別っつ~事で…♭」「そうだったんですか…♭お手数をお掛けして済みません♭」

恐縮する中丸に相葉が「いーのっ!♪ゆっちーにはアリバイがあるのに逮捕したヨシギュウが悪いっ!♪」と、明るく慰める。「っつ~か大野先生の弁護料どうしよっか?♭経費じゃ落ちないし、ちょっとマケてくんないと♭」二宮が早速セコい事を言い始めた。

「構わないよ。君達には前回助けて貰ったし、無料相談の範囲内って事にして置くよ」「あぁそうなの?♪助かるわ~♪」喜ぶ二宮に相葉が悪気無い冷水を浴びせ掛ける。

「でもさ、さっき先生がヨシギュウに殴られてたらヤバかったねっ♪俺達が潤君からボコられてたかもっ♪」「やめなさいよ♭相葉君は口が軽いんだから、バカみたいにペラペラジェイに喋んないでよ♭」「それニノちゃんが言う~?♭♭」

あーだこーだと言い合いながら渋谷西署の通用口を出た一同の前に、1台のワンボックスカーが滑る様に走り込んで来る。運転席の窓を開け、手を振るのは櫻井教授だ。にのあいコンビが同時に「あっ”ストーカー被害者っ!♭♭」と、叫んだ。

学生だろうか?助手席に座っているのは未だ21.2歳位の若い男だ。何とも愛嬌のある可愛い顔立ちをしていたが、その様子はまるでこの世の終わりみたいにうち沈んでいた。「櫻井教授じゃないですか?♭一体どうされました?♭」

意外な人物の登場に大野弁護士も意表を突かれたのか、目を丸くして笑み崩れる櫻井教授を見つめている。「まさか警察で智君に会えるなんて思わなかったよ♪彼は俺の学部の学生なんだけど、殺害された小諸若希(こもろなおき)君について警察に話さなくちゃならない事があるんだ」

にのあいコンビが色めき立ち、大野弁護士は傍らの中丸に視線を向けて櫻井教授に向き直った。「僕は今から彼の自宅まで彼を送り届けなくてはならないんだが…」「それじゃあ菊池君の話が終わるまでちょっと待ってて♪俺が送ってあげるよ♪」

櫻井教授が言い終わる前に素早く動いたのはにのあいコンビである。2人はいきなり櫻井のワンボックスカーに乗り込み、大野弁護士や中丸を早く早くと手招いた。「待って!♭君達誰?!♭♭」ビビる櫻井教授に二宮が警察手帳を突き出し、早口で名乗る。

「はいこれ、渋谷西署生活安全課の二宮ね。こっちは相葉君。話なら俺達が聞いてあげるからこのままゆっちーの『クッキング野郎』に向かってくれる?」

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テーブルに並べられた沢山の美味しそうな料理に、菊池と言う学生が目を輝かせる。本来警察官は捜査内容を一般人に話してはいけないのだが、ここにいるのは全員今回の事件の関係者だと強引にこじつけたにのあいコンビは、夕食兼プチ捜査会議として菊池の話を聞き、これまでに起こった事件の概要を話して聞かせた。

因みに私立探偵の潤は始めの依頼通り、小諸若希の身辺調査をしてくれている。友人が残虐に殺害され、大きなショックを受けた菊池の為だ。その代わり菊池には小諸若希のアポ電強盗の経緯を警察に話してこいと、渋谷西署を紹介された。

櫻井が菊池を連れて渋谷西署を訪ねたのも、渋谷西署の生活安全課に所属する二宮が潤の幼馴染みだったからである。まさかにのあいコンビに頼まれた大野弁護士がそこに偶然居合わせるなどとは夢にも思っていない。

おかげですっかり舞い上がった櫻井教授が、ここぞとばかりに、ピッタリと大野弁護士に寄り添う羽目になった。潤と大野弁護士の関係を知っている二宮は、そんな櫻井教授の様子をさも面白そうに眺めつつ、今回の一件を第一の懐深壮亮殺人から改めて考えている。

「確かあのアポ電強盗殺人は西麻布署の管轄だったよなぁ~。ゆっちーの逮捕にヨシギュウがやけに拘ってたのは当時のアポ電強盗の容疑者に、今回の被害者である小諸若希の名前が浮かんでいたからなのかもねぇ~」二宮の隣で大盛りのご飯と唐揚げを爆喰いしていた相葉がウンウンと頷いた。
 
「あのアポ電強盗って犯人捕まってないもんねっ!♪だからヨシギュウ必死なんだねっ!♪」そんなにのあいコンビに友人を庇ってか、菊池が真剣な声で訴える。「でも小諸は本当に良い奴なんです♭アポ電強盗に関わった事を本気で悩んでましたから…♭」

それを受けた二宮が沢山食えと菊池を促し、訳知り顔で言った。「分かってるって。青少年の犯罪に関する知識は生安課のデカがどんな部署よりも詳しいから。振り込め詐欺なんかとおんなじ。正体不明のトップがいてさ、金に困ってる若い奴を高額バイトで釣って駒にすんのよ。

小諸若希が母子家庭で母親が入院したってのはこっちでもとっくに調べ済みなんだわ。だから犯人に付け込まれたんだろうね。それよか菊池君に聞きたいのは小諸若希がアポ電強盗で組んでたもう1人のヤバい野郎についてなんだけど、そいつについてなんか聞いてねぇかな?」

二宮の言葉に菊池は懸命に記憶を手繰り寄せていたが、やがて「関係あるのかどうか分かりませんけど…」と前置きしてから話し始めた。

「小諸から最後に電話を貰った時、小諸がちょっとビックリしたみたいな声をあげたんですよ。俺がどうしたって聞いたら勘違いだったって…。あいつかと思ったらビニール傘の柄が違ってたとか何とか…」

思わず顔を見合わせるにのあいコンビに大野弁護士が静かに言った。「…中丸さんを釈放する為に僕も小諸若希君の事件の情報を集めてみたけど…。小諸君のご遺体には時計の文字盤が描かれたビニール傘が被せてあったそうだね?もしかして始めの事件でも…?」

さすがの鋭さに二宮が両手を挙げる。「被せてあった訳じゃないけどね。第一の現場にもビニール傘はあったんだよ。因みにあの文字盤柄のビニール傘は第一の被害者が店の常連さんの為に周年記念で作ったオリジナルグッズで合計10本存在してる。

その中の1本がここの店主の中丸さんの物で、小諸若希君の遺体に被せてあったのがそれ。だからヨシギュウに再逮捕されたのよ。でも中丸さんにはさっきも言った様にアリバイがある。俺達が証人だからこれは間違いない。

だとすると第一の現場で見つかったビニール傘は懐深さんを殺害した犯人が持ち込んだって事になる。だから俺は懐深さんを殺害した奴が自分のと間違えて中丸さんのを持って帰ったんじゃねぇかと思ってんのよ。それを小諸君の事件で使い、中丸さんを犯人に仕立てあげようとしたってね」

瓶ビールのお代わりを運んで来た中丸が「俺何か『タイムカプセル』の常連さんに恨まれる様な事したんでしょうか?♭♭」と、情けない声を上げた。2度も犯人に仕立てあげられそうになった事がだいぶこたえているらしい。
 
櫻井教授が気の毒そうに中丸を見つめ「大丈夫ですよ、中丸さん。あなたには世界一優秀な弁護士がついていますから」と、隣の大野弁護士に「ね♪智君♪」と、微笑んだ。

「いいえ、僕など未だ未だペーペーですよ。ですが中丸さん。あなたを犯人にしたい奴は確実に存在する。そしてそいつは懐深壮亮さんや小諸若希君を殺害した本当の犯人です。

小諸若希君が菊池君への電話の際、良く似た柄のビニール傘を見て怯えたと言うのなら、恐らく事件の発端は小諸若希君が巻き込まれたアポ電強盗にある」

大野弁護士は中丸が描いたと言う、中丸に睡眠薬を盛ったらしい人物の似顔絵を自分のスマホで撮影した。「この似顔絵は潤に送信するよ。彼は人探しの専門家だからね。これで良し」

潤にメールを打つ大野弁護士の様子を見た中丸が突然あっと声を上げる。どうやら中丸は店に戻ると記憶が蘇るタチらしい。「ヨシイクゾー…?もしかして人の名前だったのかも…」

中丸が唐突に呟いたこの演歌歌手の名前みたいな言葉に、一同がキョトンとして中丸に注目する。それはこの事件の鍵を握る実に重要な証言であった。

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今回はカッコいい弁護士智君からでした~グッグラサンキラキラお山記念なのにお山要素薄めですがタラー潤君不在の隙間を縫って櫻井教授、ちゃっかり智君にくっついております🤭🤭

今日がお山の日なので多分最後の1話は間に合わせる事が出来そうにありませんのでアセアセ(未だ微熱が下がらないのよ~💦)先にこのお話をアップしておきますね~グッウインク

休養期間が終わるまで、コロナと上手に戦いつつ、お話頑張ります☆ふぁいとぉ~👊🔥