これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ
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改めて『FIVE STORM』に助けて貰ったお礼を口々に告げてから、研究所内にある寮の部屋へと帰って行く研究員達を見送った後、加倉井博士は深々と頭を垂れて、「お手数をお掛けしました」と、両手を差し出した。
だがそれをチーフが静かに制止する。「申し訳ありません博士。我々は極秘チームですので、この場で手錠は掛けられないんですよ。それに、ここで行われていたクローン研究については世間の混乱を防ぐ為に表沙汰にはされない事となりました。
ですから博士、あなたがここで違法なクローン研究に手を染めていた事実は無いものとし、今まで通りインターネットウイルス『ネットワークコブラ』の防御システムの開発を進めて下さい。
無論、だからと言って貴方の犯した罪が許されると言う訳ではありません。今後この『サイバードーム』は国家の監視下に置かれ、博士にはこの研究所で生涯を掛けて社会貢献に役立つ研究をやって頂く事になるでしょう。宜しいですね?」
そんなチーフの言葉に、加倉井博士はもう一度深々と頭を下げて、「勿論ですとも。私の研究が世間の皆様のお役に立てるなら、どんな研究だろうと喜んで努めさせて頂きます。本当に…ありがとうございました」と厳粛に受け止めた。
「先ずはバイオアバター達の飼育ブースの撤去と改装だねっ!♪今度は檻じゃなくてもっと快適な部屋をクマオ君に!♪それからバイオアバター達の慰霊碑もね!♪」アイバチャンが元気いっぱいに言った。
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同じ頃、『サイバードーム』コンピューターブースの中では、魂串幻樹が監視カメラのチェックをしながら、羽山ダニエル剣吾とリモートで会話をしていた。「いよいよ明日だな魂串。バイオアバター達の様子はどうだ?」
羽山ダニエル剣吾の問い掛けに、魂串幻樹が余裕綽々に答える。「今朝餌を与えてやりましたからすこぶる元気ですよ。ですが今日の夕食は抜きにします。バイオアバター達にはなるだけ空腹でいて貰わないといけませんから…。何せ明日には各界著名人の栄養満点な肉をたっぷりと喰らって頂かなくてはなりませんのでね」
監視カメラをニノに小細工されているとも知らず、そんなおぞましい返答をする魂串に、羽山ダニエルはパソコン画面の中でクククと嘲笑った。「『インターナショナル・インテリジェンス・ミーティング』か…。とんだ地獄絵図になりそうだな…。バイオアバターの買い手とか言う中国企業もそれを観ると100億以上の高値をつけてくれるかも知れないぞ」
「ええ、その為に住良木さんはご自分の所有する高性能カメラで現場の撮影に行くそうですよ。幸い彼は上場企業『住良木電脳FACTORY』の社長ですから、入場券が手に入る立場でしてね、いい映像を撮影して春麗さんに喜んで貰うんだと張り切っています」
「春麗さんねぇ…。確か社長令嬢だったよな?」羽山ダニエルはフフンと鼻で笑い、住良木を小馬鹿にしたような調子で言った。「何でもゲームCGをリアルにした様な美女だったらしいじゃないか。オタクの心理は理解不能だが、中国企業はいい狙い目だ。
日本製の商品は良く売れる。例えそれが生物兵器だったとしてもな。Made in Japanここにありさ。それにしても住良木の奴、事が終われば自分も始末されるとも知らず、おめでたいったらありゃしない」
住良木行弥を冷酷に嘲りつつ、羽山ダニエル剣吾は魂串に向かって「研究所の爆破も忘れるなよ魂串。それじゃあ明日の『インターナショナル・インテリジェンス・ミーティング』で会おう」と、勝手に通信を遮断した。
「フン、偉そうに言ってくれますねぇ…」魂串幻樹は鼻白み、先程の会話と映像をしっかりと保存すると「羽山さんも、住良木さんも、主導権は私にあると言う事をお忘れなき様お願いしますよ…。バイオアバター達は私にしか従わないのですから…」と不気味な予言をしてほくそ笑んだ。
だが、そんな魂串の不敵な笑みも、ある瞬間にたちまち凍りつく。何故なら駐車場の一角に向いた監視カメラの端に『サイクロンマークIII』の儼(いかめ)しいヘッドライト部分が僅かに映っていたからだ。先程のチェックでは無かった乗り物である。明らかにただの自家用車とは思えなかった。
「こ、これは一体…?!♭どう言う事だ?!♭♭」慌てて他の監視カメラもチェックをし直す。廊下は異常なしだったが、バイオアバターの飼育ブースに繋がる入り口のドアは開いており、地下室にあるシェルター室のドアも開いていた。
「そんな馬鹿な!♭」デスクの引き出しから拳銃を取り出し、魂串が急いでコンピューターブースを出ようとした時、物凄い勢いでコンピューターブースのドアが蹴破られ、まるで舞台衣装みたいな揃いのコスチュームを着た、5人の青年達が真正面から乗り込んで来た。
五者五様に若く、そしてそれぞれが個性的で、顔面偏差値が異常に高い若者達である。彼等のオーラに比べると、あの2枚目の羽山ダニエル剣吾も何だか薄っぺらく思える位にキラキラしており、魂串は始め、何処かのアイドルグループがロケでも始めるのかと勘違いした程であった。
「な、な、何者だ!?♭♭」ビビりながら銃を構える魂串幻樹に、ドアを蹴破った張本人だと思われる青年が、ふてぶてしい態度で「変態化学者発見〜」と、睨みを効かせる。
襟足の長い黒髪をポンパドゥールにした、少女マンガみたいにはっきりとした目鼻立ちのイケメンだ。ポイントカラーにパープルが入った同型のコスチュームを身に纏っていた。
「その銃で加倉井博士を脅したのか。研究員達の命を手玉に取るなんて卑怯者め…」ポンパなイケメンの隣で魂串を睨んでいるのは少年の様な少女の様な、何とも愛くるしい顔をした小柄な若者だ。ふっくらとした頬に未だ幼さがあり、ポイントカラーにブルーが入った同型のコスチュームを着ていた。
「悪いけどこの研究所の監視カメラやセキュリティシステムはとっくに制覇してたんだよねー。あんたがさっきまで観てた映像は俺がすり替えてた映像だから」
タブレット端末を魂串に示しているのはスッキリとした細面の、こちらも小柄で少年みたいな童顔の若者である。少し悪戯気な瞳にクレバーな印象があった。ポイントカラーにイエローが入った同型のコスチュームを着用している。
「残念だけどご自慢のバイオアバター達はみんな消滅したよ。加倉井博士がバイオアバター達を処分する薬剤を隠していてね。人や動物の命を弄び、人殺しの道具として利用しようとするなんて俺、絶対許せないんだよ」
背のスラリとした、涼やかな目元の若者がバッグの中にあるバイオアバター達の首輪を魂串に見せつける。見るからに穏やかで優しげな風貌をしているが、その様子には静かな怒りが感じられた。彼も同型の、ポイントカラーにグリーンが入ったコスチュームを身に着けている。
そんな彼等の間からラスボス感たっぷりにゆっくりと歩み出て来たのは、育ちの良さそうな、上品な顔立ちの若者だった。瞳に愛嬌のあるその知的な佇まいは、彼がこのグループを取りまとめているリーダーなのだと明白に物語っている。
彼はポイントカラーにレッドが入った同型のコスチュームの内ポケットから、5色に彩られた警察バッジを取り出し、魂串に突きつけた。「虹色の代紋…?!♭まさか巷で噂の都市伝説は真実だったのか…?!♭♭」魂串幻樹はたちまち青ざめ、拳銃を構えたままガクガクと慄いた。
「魂串幻樹。お前がバイオアバター達を使って『インターナショナル・インテリジェンス・ミーティング』を襲撃し、各界著名人の惨殺を企てていた事は全部分かっているんだ。加倉井博士や研究員達の証言もある。もう観念するんだな」
「あ、因みにだけどバイオアバター達を100億で買い取る予定の中国企業って存在しないから。会社のホームページも俺が作った偽物なんで宜しく」リーダーらしいレッドの青年の言葉を受けて、イエローの青年があっさりとネタばらしをした。
「クッソォ〜!!♭♭」何もかもが水泡に帰し、追い詰められた魂串がやけくその様にレッドの若者に向かって引き金を引こうとする。だが、その動きにいち早く気付いたブルーの青年が目にも止まらぬ速さで瞬時に詰め寄り、魂串の腕を取って素早くねじり上げた。ガゥ!ガゥ!
天井に穴が空き、弾き飛ばされた銃が床に落ちる。それをパープルの青年が遠くに蹴り飛ばし、ついでに魂串の顔面に拳の一打を食らわせた。「うわぁぁぁぁぁぁ!!♭♭」
コンピューターブースの最奥にまで吹っ飛ばされた魂串は鼻血を飛ばしながら壁に激突すると、そのままガクンと昏倒した。ねじり上げられた右腕は完全に脱臼して変な方向に垂れ下がっている。切れた唇の端から折れた前歯がポロンと落ちた。
「やべぇ♭『パワー増強手袋』着けてたの忘れてた♭」「力加減はしたつもりだけど彼死んでないよね?♭」慌てるMJとオーチャンに、チーフ櫻井が「殺すなよ〜♭」と、昏倒した魂串に歩み寄り、首に手を当てて生存を確認する。
「あれ絶対鼻折れてるよなぁ〜♭」「バイオアバター達よりもMJとオーチャンの方がよっぽど凶暴だねぇ♭♭」ニノとアイバチャンが顔を見合わせ、ヒソヒソと言い合っていた。
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先ずは魂串が片付きました次はオタク社長辺りに鉄拳を食らわせましょう『FIVE STORM』の逆襲は未だ続きます