これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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何故岡田が微笑ったのか、理由はこの『PHANTOM PAY』なる仮想通貨の驚くべき特性にあった。いまいち分かりかねている様子の智に、岡田は落ち着いた口振りで『PHANTOM PAY』の隠された秘密を話し始めたのである。

「『PHANTOM PAY』と言うのは世界中のどんな国の為替でもその変動状況に従って一括化し、各国共通の通貨として使用出来るネット上の金でね。『パンドラバンク』に貯蓄された櫻井一族の隠し財産はこの『PHANTOM PAY』で統括されているんだ。

詰まり世界中のシークレットバンクに貯蓄された『パンドラバンク』の資産は、この『PHANTOM PAY』に換金しないと使用出来ない仕組みになっている。総額は日本円で約5兆8000億円。これはメインバンクにある『櫻井グローバルCo.』の総資産約3兆円の倍額にも及ぶ。

その膨大な隠し財産を『PHANTOM PAY』に換金するシステムが『Black Box』なんだ。この『Black Box』にアクセス出来るのは社長と俺だけでね、複数の数字とアルファベットで構成されたパスワードを入力すれば作動するんだが、ここには大きな落とし穴が隠されている。

例えば俺か社長が『Black Box』にアクセスし、『パンドラバンク』の総額を『PHANTOM PAY』に換金して別の口座に移動しようとする。コンピュータのシステム上では一見その総額が口座に移動している様に見えるだろう。ところがボン。

『PHANTOM PAY』は文字通り、別の口座に移動した途端幻の様に消えるのさ。だが、厄介なのはシステム上の数字だけはそのまま残ると言う点だ。だから『PHANTOM PAY』を口座に移動した本人は『パンドラバンク』の金が口座に移ったと思い込む。
 
勿論口座に移動した5兆8000億は数字だけの亡霊だから、使えば減るのは元々持っていた自分の資産だ。詰まり湯水の如く金を使えばあっという間に破産へと直行する」何と言う恐ろしいシステムだろう♭だが、そうなると1つ疑問が沸いてくる。そんな実体のない通貨に何故櫻井は『パンドラバンク』の莫大な資産を注ぎ込んだのか、智には随分奇異に思えた。

「『PHANTOM PAY』に換金しないと使えない資産なのに換金して口座を移すと消えるって…♭じゃあ『パンドラバンク』の隠し財産ってどうやって使えばいいんだ?♭」智の疑問は尤もである。岡田は頷き、智の心配を一笑に付して答えた。

「それは勿論『Black Box』の中で使う。先に言ったろ?『Black Box』はネット上の幽霊会社だって。実体はないがシステムはある。だから口座を移動したりせず『Black Box』を仲介して買い物をすればいい。

例えばイタリア辺りで島を買うとするだろう?すると『Black Box』を開き、ネット通販の要領でイタリアのシークレットバンクに貯蓄された『パンドラバンク』の『PHANTOM PAY』が支払われると言う訳だ。

まぁそうなるには色々複雑な『Black Box』の仕組みがあるんだが、それを説明していると何日も掛かりそうだから、そうなるものだと理解してくれ」途中で面倒臭くなったのか、最後はそんな適当な事を言って説明を終えた岡田は「それで?お前はどうするつもりなんだ大野?」と聞いた。

「それを相談したいんだ。さっき君も言った様に、翔さんは自分がチャイニーズマフィアに誘拐された事は秘密にしておきたいだろうと僕も思う。だから『黒神会』と決着をつけて、翔さんを助け出す間、君には翔さんが急遽海外出張に行った事にして貰いたいんだ」

智はパーティー会場のロッカーから、こっそりと持ち出した櫻井のビジネスバッグを、岡田に差し出し言った。「ここに翔さんのノートパソコンが入ってる。翔さんのいない間、君が翔さんの代理になって各方面に翔さんの誘拐を気付かれない様に取り計らってくれ」

岡田はビジネスバッグを受け取ると「分かった」と了解し、智にある条件を提示した。「社長の代理は俺が務めよう。だが、社長が出張に行ったと見せかけて社員達や取引先を誤魔化せるのはせいぜい10日が限度だ。それまでに片付けられるか?」

上海に赴き、『黒神会』と対決して櫻井を奪還するまでの期限が10日とは、いささか厳しい日程である。だが、岡田は智ならば10日でやれると見込んでいたのだ。それは少年時代に一緒に訓練所を過ごした戦友ならではの見解であった。

「現地の警察機関は俺に任せておいてくれ、上海警察の上層部に知り合いがいる。当局が介入しないよう手を打ってやるから思う存分暴れて来い大野。ただ問題は『黒神会』の上にいる『玄武会』だ。そっちはどう抑えるつもりだ?」

「ああ、それなら大丈夫だ。もう始まっている」「?」怪訝な顔をする岡田に、智は何処か余裕の表情で強く頷いた。

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[驚いたな。君がこちらに直接連絡をして来るなんて。それにしても恐ろしい程変わらないな、ダイアナ。君は不老不死の仙薬でも飲んだんじゃないのか?]上海郊外の朱家角(ジュージャージャオ)。運河に囲まれた歴史的な古い街並みの中に、蘇州風の大豪邸を模した様な立派な屋敷が建っていた。

その豪邸の主は李史進(リ・リーシー)中国の有名な物語『水滸伝』の英雄の1人、“史進” から名付けられたと言うこの人物は、中国黒社会フォーファーザーの1つ『玄武会』の幹部である。『玄武会』の次期頭目と覚えも高い実力者で、物語の “史進” にあやかり、上半身に九頭の龍の刺青を持っていた。

歳は未だ40代半ばと若い幹部だが、以前から『黒神会』のボス淋鷹信の忠誠心に深い疑念を抱いており、いつか寝首を掻かれるのではないかと危機感を持っている。もし外敵により『黒神会』や淋鷹信が一掃されれば恐らく諸手を挙げて喜んでくれるであろう。

ダイアナはそこにつけ込み、何かの時の為にと記憶していた李史進のプライベートアドレスを辿り、連絡をつけたのである。念の為弟の淋鷹虎とやり取りしていた物とは別のノートパソコンを入手し、祈る様な気持ちでアクセスすると、画面の向こうに李史進の髭の濃い、野性的な顔が現れた。[一体何があったんだ?]

ダイアナは淋鷹虎の正体が露見し、計画が失敗した事、そして巻き返しを図った弟に裏切られ、命を狙われた事を史進に告げた。[だけどそれも失敗したわ。弟の鷹虎はマスコミの前で正体をバラされ、来日していたお父様と逃亡した。

その時、身代金目的でパーティーに参加していた実業家を拉致したのよ。だけど彼は日本屈指の若手実業家でね、政財界にも顔が広い。その上彼のバックには凄腕の工作員育成組織がいる。

悔しいけどその組織の工作員には多分私の『ゴースト・シールズ』の子達が束になって掛かってもとても敵わない。そんな工作員達が彼の誘拐でもう動き始めているわ。多分『黒神会』はもう終わる。私は彼らと心中するつもりはないのよ]

李史進は黙ってダイアナの話を聞いていたが、思い当たる節があったのか、[その実業家はもしかして『櫻井グローバルCo.』の櫻井の事か?]と聞いた。[そうよ]ダイアナが答える。李史進は一言[愚かな…♭]と苦々しく吐き捨てると、意外な事を口にした。

[『櫻井グローバルCo.』は我々が運営の一端を担う『神獣電影公司』のスポンサーの1つだぞ。『神獣電影公司』が制作したアメリカとの合作映画が成功したのも『櫻井グローバルCo.』が橋渡しをしてくれたおかげだ。

若社長の櫻井はエンターテインメント業界に強く、アメリカとのショービジネスは彼の専門分野だ。その櫻井を『黒神会』が身代金目的に誘拐するとは言語道断。『黒神会』には落胆させられる事も多かったが、それでもボスが許していたのは『黒神会』は資金調達が上手かったからだ。

だが、失敗の穴埋めに櫻井を誘拐するなど、我が『玄武会』が恩を仇で返す恥知らずだと他のファーザー達に喧伝し、彼等の顔に泥を塗ったのと同様。今度ばかりはボスも決して許しはしないだろう…]

中国の映画業界とマフィアの繋がりは昔から良くあった。フォーファーザーが共同で『神獣電影公司』と言う映画会社の運営に協力していたのも裏社会では周知の事実である。だが、そのスポンサーの1つが『櫻井グローバルCo.』だとはダイアナ自身全く知らない事だった。恐らく『黒神会』も知らないのだろう。上手い流れだと思った。

[ダイアナ、良く知らせてくれた。君の忠誠に免じて君と君の『ゴースト・シールズ』の失態は見逃してやる事にしよう。だが、『黒神会』は駄目だ。君に取って淋鷹信は父親だし淋鷹虎は弟だが、心中したくないと言うならフォーファーザーへの贖罪の証として愚かな父親と弟を始末しろ。

君が『黒神会』の粛清に協力すれば今後一切『玄武会』は君や君の『ゴースト・シールズ』とは関わらないと約束しよう。もし武器が必要なら『玄武会』が準備してやる。

櫻井の組織の工作員達と手を組み、必ず櫻井を救い出して、フォーファーザーは決して恩知らずな卑怯者ではない事をアピールするんだ][ええ、分かったわ。後始末は頼めるかしら?][いいだろう。ボスには私から報告しておく]

パソコンの画面が消えた。恐らくもう二度と李史進に繋がる事は無いだろう。だが、これで『玄武会』と『黒神会』を切り離す事が出来る。『黒神会』はもうフォーファーザーの傘下では無くなったのだ。

ダイアナは李史進の連絡先をパソコンから完全に消去すると、智のスマホに電話を掛けた。「サトシ?こっちは終わったわ。『玄武会』は『黒神会』から完全に手を引いた。そっちはどうなの?」「ありがとうダイアナ。僕の方も大丈夫だ。だけど翔さんの不在を誤魔化せるのは10日が限度らしい」「あら?10日もあれば充分だわ。次は上海で会いましょう」

通話を終えたダイアナは店長室を出ると、開店の準備をしている『Ange Noail』の美女達に声を掛け、フロアに集合させた。「さぁみんな。『Ange Noail』最後の営業よ。お店が終われば私は上海に向かう。あなた達はその足でタイへ。『ラビアン島』の買収を完了させて開発の準備を進めて頂戴。いいわね?」

ブロンドのサンドラが口を開く。「私も上海へ行かせて下さい。ボスと共に戦います」続いて赤毛のジェニーも言った。「私もボスと一緒に戦うわ」次はモデル系美女のソフィアが声を上げる。「私も上海に行きます」だが、そんな彼女達の申し出にダイアナが首を縦に振る事は無かった。

「いいえ、これは私達家族とショウ・サクライの問題よ。あなた達を巻き込む訳にはいかないの。私は必ず生きて戻るからタイでリゾートでも楽しみながら私が合流するのを待っていて。10日の内には片をつけるわ。これは命令よ」

そしてダイアナは初めて彼女達に聖母の様な優しい笑顔を見せたのである。ダイアナの表情は長旅を終え、重い荷物を全部下ろしてやっと身軽になれた旅人の様に晴れ晴れとして穏やかだった。

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ダイアナと会話をしていた智を心配そうに見つめる岡田に、智は親指を立てて応え、「『玄武会』はダイアナが抑えてくれたよ。これで『黒神会』に味方する組織は無くなった。後は上海に乗り込んで『黒神会』の本部を根こそぎ叩き潰すだけだ」と、微笑した。

「そのダイアナと言う女は信用出来るのか?『黒神会』の身内だろう?」「少なくとも今の彼女ならね。確かに『黒神会』は彼女と深い繋がりがあるが、それはあくまでも血縁と言うだけさ。でも今のダイアナには叶えたい夢と、その夢を共に生きる、血縁以上に強く結ばれた娘達が居る。

それに幼い頃に生き別れた彼女の母親も生きていたんだ。私欲を満たし、名誉を回復する為だけに、自分と大切な娘達を殺そうとした父親や弟と、どっちが守るべき命なのか、彼女の中ではもう天秤に掛けるまでもないだろう。しかもダイアナは『Dead line』第1期生随一の凄腕だ。『黒神会』とも充分に戦える」

それを聞いて漸く納得したのか、岡田は早速パソコンに向かい、上海行きの便を検索した。こうして智は『黒神会』との最後の決着をつけるべく魔都上海へと向かうのであった。

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今回は割にサクサクと進んでおりますね~爆笑いよいよ舞台は上海へと進みますグッ中国舞台を日本ではなく海外に移したのは、アクション映画並に敵を沢山殺さなければならないからでございます銃ナイフ爆弾グラサン

あれ?智君は潤君と共に戦うんじゃなかったの?とお思いの皆様!安心して下さいOK勿論潤君も一緒ですよ~💜💙