これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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終章

伊達山逸直(だてやまいつなお)国防大臣の就任10周年記念パーティーは各界著名人を招き、実に華々しく開催されていた。

櫻井は元々、日本で最も若く有能な実業家としての顔があり、政界にも広く伝わっていたので、パーティーに招待される事に何の弊害もなかったが、一応表向きでは友坂郡司(ともさかぐんじ)からの紹介として、民間のボディーガードの手配、コンパニオンの手配などを一手に引き受け、自らもパーティーに参加して、ちゃっかりと各方面へのパイプを繋いでいる。

そして櫻井はダイアナ・クワンらクラブ『Ange Noail』の美女達を、コンパニオンとして会場に入れ、民間のボディーガードとして智やAi-B他、組織の工作員を数人チョイスしてパーティーに参加させていた。

潤は公安部の職員としてではなく、あえて広報部の職員としてパーティー会場に入り、囲み取材などのマスコミ対応など、広報活動に従事している。何故なら広報部は、パーティー会場に入れる報道関係者の選出なども任されているからだ。

無論潤が選出するのは『真相報道Weekly』の東山編集長とジャーナリストの二宮である。他にも数社のマスコミ関係者を選出した。いずれもちゃんとした取材をして、まともな記事を書けるジャーナリストばかりである。

『真相報道Weekly』の東山をパーティー会場で見た一部の著名人は、困惑の表情を浮かべていたが、事の顛末を真っ先に報道するのは、どの出版社よりも今回の事件を知り尽くしている『真相報道Weekly』だと潤と智の間ではとっくに決定していた。今会場の片隅では東山と智が久し振りの再会を心から喜び合っている所である。

だが、この会場で唯一、公安部のリーダーとしてSP業務に当たっている朔大勘だけは、苦虫を噛み潰したような顔つきでパーティーの成り行きを見守っていた。「松本。ちょっといいか?」朔は自分の立ち位置を離れ、会場の後方で取材陣のカメラ位置などを指示している潤に近づくと、会場の外へと呼び出し「どう言う事だ?♭」と聞いた。

「『真相報道Weekly』の記者は大丈夫なのか?♭よく思わない人間もいるようだが…♭」恐らく今日発売された、新刊の納涼企画を読んだのだろう。普通の読者には娯楽でも、この男には気が気でもないに違いない。

朔大勘は「あんな都市伝説みたいな妄想話を政治と絡められてはかなわんからな♭」などと皮肉り、暗に追い返せと言っているように見えた。「心配いりませんよ朔さん。あの編集長は元警視庁のエリートで厳格な人ですから。ああ言った企画物はあくまでも娯楽ですが、『真相報道Weekly』の記事に嘘や捏造はありません。そこの所はこちらでもちゃんと調査済みです」

「だが、櫻井も招待されているじゃないか♭あの男はとかく悪い噂の絶えない男だぞ♭それにあのコンパニオン達…♭あの女達は例の寝屋川委員長の狙撃事件と関係しているんじゃないのか?♭」

「ですが、伊達山大臣のお気に入りでもあります。今日は伊達山大臣の就任記念ですから、彼女達は外せませんよ。それこそ何かおかしな動きがあれば、朔さん達公安部が制圧すればいい。それに朔さんもご存知の様に、民間から雇い入れたボディーガードの智や、その仲間は凄腕ですからね。友坂議員の肝いりでもありますし、何の心配もありません」

一礼してすぐに会場に戻った潤は、心配そうに視線を向けていた智に、軽く手を上げてウインクすると、広報部としての職務に戻った。そこに二宮がやって来て「例のネタ。バッチリ仕込み済みだよ♪報道関係は任せろ♪」

と耳打ちしてとサッと離れ、東山の近くに待機した。その様子を見ていた東山が、ちょっと会釈をして小さく親指を立てる。噂には聞いていたが、成る程、見るからに頭の切れそうな男である。潤の想像以上にその風貌は若々しく魅力的で、こんな男が智と親しいかと思うとちょっとやきもきしてしまう。

絶対ぇ2人っきりで会ったりしたら駄目だからな♭智♭♭モヤッとして髪を逆立てる潤に、広報部の同僚が「松本どうした?♭朔さんに何か言われたのか?♭」と心配気に顔を覗き込んだ。

片や会場全体を見渡せる、壇上に近い場所で待機していたのは智とAi-Bだ。「ふふふっ♪おおちゃん駄目だよ♪いくら懐かしいからって東山さんと親しくし過ぎ♪MJなんだか負のオーラ出してるよ~♪」いつもの個性的なカウボーイ姿とは打って変わり、今日は黒のスーツとサングラスで決めに決めたAi-Bは、同じ黒スーツ姿で隣に立つ智を肘でつついて言った。

今日は議員からの紹介と言う形なので、コードネームのAi-Bではなく、本名の相葉雅紀としてパーティーに参加している。入場する時に公安部から身体検査をされるので、お得意の愛用ナイフが持ち込めず、どうやら手持ち無沙汰な様子だった。

「そんな事言ったって東山さんとは14年振りなんだぞ♭嬉しいのは当然じゃないか♭」とは言え、後ろ姿でもはっきりと分かる程モヤモヤオーラを放出している潤の背中には、何とも言えない愛しさを感じてしまう。

「全くもう♭毎日愛し合っているのに、わかり易くヤキモチなんか焼かないで欲しいよ♭」そんな事を言いながらも、顔を綻ばせる智に、相葉は「えっ?毎日ヤッてんの?♪お盛んだねぇ~♪」とニヤニヤした。

『Ange Noail』の面々は各々膝上まで深くスリットの入った色違いのロングドレスを身に纏い、招待客の間を行き来しては酒やオードブルを運んでいる。そのスラリとした美脚には薄手のストッキングのみを身につけ、ドレスは身体の線を際立たせるピッタリとしたデザインで、武器を隠し持っている気配もない。

もし『黒神会』の襲撃があればどう戦うのか心配になる程であるが、美女達の誰一人としてそんな緊張などおくびにも出さず、妖艶な微笑で招待客達を上手にあしらう手腕は見事だった。「ああ言うのは男には出来ないねぇ~おおちゃん♪よくあんなハイヒールで上手く歩けるよ♪俺だったらヨロヨロだ♪」

コンパニオンとしての役割をそつなくこなす美女達を見て、相葉がしきりと感心している。「僕はハイヒールでも歩けるぞ」さっきからやけに無駄口の多い相葉を窘める為、静かに声を掛けた智だったが、相葉に「おおちゃんは女装慣れしてるもんねっ♪」と身も蓋もない返り討ちに遭い、たちまち無言になった。

そんな中、招待客達が壇上に上がり、それぞれ伊達山国防大臣に10周年の祝辞を贈り始める。何かが動き始めるとすれば、関係者挨拶が始まり、招待客の視線が壇上に集中する時だ。智は会場の全ての入口を鋭く警戒しながら「始まったぞ…」と小さく呟いた。

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衝撃の瞬間はまさかの人物から唐突にもたらされた。それは日本平和党の長谷川恭一郎(はせがわきょういちろう)代理として友坂郡司が壇上に上がった時である。

友坂は何度か言葉を噛みながら、ここに来られなかった長谷川恭一郎の謝罪と、伊達山国防大臣に対する祝辞をくどくどしく述べていたが、会場にいた東山と二宮を発見すると、何を思い出したのか、急に『真相報道Weekly』の納涼企画について話し始めた。

「本日は『真相報道Weekly』さんが会場にいらっしゃいますが、今日発売された新しい号の納涼企画には正直驚かされました。誌面には都市伝説と書かれていましたが、あの40年前の事件についてはわたくしも思う所がございます。

きっと清廉潔白を信条とされていらっしゃる長谷川先生ならこう仰るでしょう。伊達山国防大臣のこの晴れがましき舞台に何故犯罪者が紛れ込んでいるのか…と。あなたの事ですよ、そこに居る公安部の室長さん」

友坂郡司は会場を見張っていた朔大勘に向かって人差し指を突き出し、いきなり犯罪者呼ばわりをして批判した。静かだった会場が大いにざわつき、皆の視線が一斉に朔大勘に集中する。

驚いたのは朔大勘だ。一体何のつもりだと友坂を怒鳴りつけ、「失礼にも程がありますよ!♭友坂議員!♭この晴がましい舞台を茶化しているのはあなたの方では無いですか?!♭先程の暴言をすぐに取り消して下さい!♭」と真っ向から否定した。

「いいや!♭ぼ、僕には分かっているんだ!♭あなたは『真相報道Weekly』に書かれていた40年前の事件の関係者じゃないか!♭生き残った子供だろう?!♭ぼ、僕はちゃんと調べたんだぞ!♭あの記事を読んで僕は確信した!♭あの犯人の男は無実の罪で死んだらしいから真犯人は他に居ると言う事だ!♭

1人だけ生き残った子供のあなたが最も怪しい!♭そこに何か人に知られてはいけない秘密があって、それが真犯人とあなたを結びつけているに違いないんだ!♭長谷川先生はその事を知ってあなたの雇った誰かに毒を盛られたんだろう?!♭長谷川先生の為にもこ、ここで白状しろ!♭」

「馬鹿な!♭探偵小説の読み過ぎだ!♭何の証拠があって…!♭♭」普通に聞くと明らかに朔大勘に対する言い掛かりである。友坂の支離滅裂な告発に、ザワつく会場では友坂が酔っ払っているんじゃないかと失笑する者も居たが、良く通る「証拠ならありますよ」と言う声に騒ぎは一瞬で治まった。

声の主は『真相報道Weekly』の編集長、東山である。朔大勘の顔色が変わった。「あの納涼企画は確かに都市伝説となっていますが、人形から出て来た手形とへその緒は本当にあったんです。現在我が編集部で厳重に保存していましてね。DNAも調べました。

その事は次の号で発表しようと思っていたんですよ。勿論スクープとして…。40年前、博多の資産家一家が殺害された。唯一生き残った当時2歳だった資産家の孫の名前は朔大勘。手形には“大勘”とその孫の名前が書いてありましてね。手形もへその緒もその生き残った孫の物に違いない。

人形が預けられていた神社の神主の話では、人形を預けたのは当時犯人として逮捕された梶原貞雄なる男だそうです。何故梶原は子供の手形やへその緒を人形に隠して神社に預けたのでしょう?取材を進めると梶原には離婚した妻がいた事が分かった。その女性には娘が居たそうです。恐らく人形はその娘に贈られた物でしょう。ところが…」

東山はそこで一旦言葉を切り、会場中を驚嘆させる様な事を言った。「離婚した梶原の妻は刑務所で梶原に面会した後、何故か幼い男の子を連れて失踪したそうです。妻の子供は娘だった筈なのに連れて逃げたのは男の子だ。これはどう言う事でしょう?不思議ではありませんか?

しかしこれだけははっきりしている。40年前の資産家一家強盗殺人事件に関係した人物の殆どが命を落としているか、行方不明になっているんです。人形の呪いと書いたのはその為ですよ。ですから私どもはその失踪した妻が連れていた男の子と言うのが大変気になっている訳です。

梶原貞雄が何故子供のへその緒と手形を隠したのか…。別れた妻の娘は何処に消えたのか?失踪直前に妻が連れていた男の子は果たして何者なのか?その答えはここに来るまさにその直前に分かりましたよ…」東山は青ざめる朔大勘に向かって鋭く切り込んだ。

「40年前に失踪した妻と男の子は生きていたんですよ、朔大勘さん。男の子は立派な男性へと成長していましてね。我が編集部に母子で訪ねてくれたんです。今手形とへその緒をその男性と照合して貰っていますよ。もし彼の指紋やDNAが、人形に隠されていた手形やへその緒と一致したら…。あなたは一体何者なのでしょうね…?是非ともお話を聞かせて頂きたい」

やってくれたぜバカボンめ…♪壇上で朔大勘を指さした姿勢のまま、固まっている友坂郡司を眺め、潤はしてやったりとほくそ笑んだ。パーティーが始まる前、民間のボディーガードの手配を済ませたと言う連絡を友坂に入れた時、『真相報道Weekly』の納涼企画の事を吹き込んだのは誰あろう潤である。

友坂が朔大勘を疑っていたので、目立ちたがりの友坂が長谷川先生の無念を晴らそうと、挨拶の時に何かやらかすんじゃないかと踏んで、そうなるように仕向けたのだ。しかし本当に亡霊が蘇ったとはな…。

東山の突きつけた真実に、朔大勘は呆然と立ち尽くし、やがてクックックッと不敵な笑い声を上げ始めた。「まさか40年も経ってから正体がバレるとはな…」公安部の捜査官達が険しい顔つきをして朔大勘を取り囲む。「室長。申し訳ありませんがご同行をお願いします」その時、ホテルの警報がけたたましく鳴り響いた。

その音に捜査官達が一瞬気を取られた瞬間。朔大勘は身を翻して駆け出し、捜査官達の中央に催涙弾を叩きつけたのだ。煙にやられ、視界を失った公安部の捜査官達がたちまち蹲る。即座に反応した智と相葉らが左右に散って窓を開け放ち、他の工作員達が、煙から最も遠い入口を全て解放して、右往左往する招待客達を的確に導いた。

「あいつが逃げたわ!!」声を上げたのはダイアナである。その声を合図に美女達は胸の谷間に挟めてあったゴーグルを素早く装着すると、催涙弾の煙の中を突っ切って駆け出した。「僕達も行くぞ!」智と相葉も美女達に続いて駆け出し、最後に潤が続く。

さすがだったのはジャーナリスト達だ。カメラを構える者、電話を掛ける者、こんな狂騒の最中にあっても、それぞれが自分の役割をきっちりと果たしていた。中でも東山と二宮は転倒したり、ぶつかったりする招待客達を懸命に手助けしながら、それと同時に取材も行い、あっぱれなジャーナリスト魂を見せつけている。

やがて視界が明瞭になり、パーティー会場に静寂が戻った時、ホテルの廊下やエレベーター乗り場には大勢の人が溢れていた。当然、招待客やマスコミの非難の矛先は朔大勘を室長に据えた公安委員長の寝屋川登見雄(ねやがわとみお)に集中する。

「寝屋川委員長!これはどう言う事ですか?!」「寝屋川委員長!これは重大な責任問題になりますよ!」「寝屋川委員長!あんな男が公安部の室長など有り得ない!」ホテルの廊下は騒然とし、真っ青になってワナワナと震えている寝屋川委員長を散々に責め立てた。

会場に入れなかった新聞社や出版社も集まり、何事かと一斉にカメラのシャッター音を響かせる。「い、いい加減にしろ!!♭私だって被害者なんだ!!♭1番悪いのはそいつだよ!!♭国防大臣の伊達山だ!!♭

伊達山は朔大勘と結託して殺し屋を使い、口封じに私を狙撃させたんだぞ!!♭長谷川君はそのやり取りを目撃して殺されかけたんだ!!♭私は騙されただけだ!!♭」寝屋川登見雄は完全にブチ切れ、我を忘れて喚き散らした。

SPに警護されながらエレベーターに乗り込み掛けた伊達山国防大臣が動きを止めて振り返り、ヒステリックに叫ぶ寝屋川を一喝する。

「ぶ、無礼だぞ!!♭寝屋川君!!♭」「う、うるさい!!♭死なば諸共だ!!♭伊達山!♭40年前の一家惨殺事件はそもそもお前の親父が博多の商店街開発事業で中国のマフィアと癒着して不正をしたのが始まりじゃないか!!♭」

「何ぃ?!♭巫山戯るな!!♭貴様の親父こそチャイニーズマフィアの幹部から金を受け取って犯人の梶原貞雄をでっち上げ、自殺に見せかけて殺害した悪徳警官じゃないか!!♭♭」伊達山国防大臣と寝屋川登見雄の言い争いは次第にエスカレートして行き、しまいには取っ組み合いの大喧嘩が始まった。

凄まじいフラッシュとシャッターの音、空気を揺るがす様な怒号。ホテルの廊下はもう収拾がつかなくなる程に荒れ狂い、最後にはホテル側が通報した地元の警察が総出になってこの大騒動を沈静化させたのだった。

だが、その場に居た誰一人としてパーティーに参加していた『櫻井グローバルCo.』の若社長が姿を消していた事に気付いた者はいなかったのである。

ダーツダーツダーツダーツダーツダーツダーツダーツダーツダーツダーツダーツダーツダーツ

いつの間にやら翔君が誘拐されておりますガーンガーンタラーさて、長くなりましたが、この第二章で描かれた日本乗っ取り計画に関わる一連の事件はその全容が露見した所でこれにて終了致しますグッウインク

続く第三章は事件の様相をガラリと変え、『黒神会』との決着と、それに関わる翔君奪回作戦を展開して行きたいと思っておりますニコニコそれでは皆様音符次回は第三章『魔都陥落』でお会い致しましょうバイバイ