これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ




























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きょとんとする店員に飲食代金を渡し、クリスチャンを引っ張りながら風の様な早さでショッピング・モールを飛び出したサトコは、大型駐車場までたどり着くと、ホッと胸を撫で下ろした。
「ああ驚いた♭救急車や警察が来ちゃうと説明するのが面倒臭いからね♭お母さんや娘さんも元気だったし、運転していたお爺さんも気絶していただけみたいだったからすぐに回復するよ。おっと…♭」囲まれた気配に気づき、両手を挙げたサトコは、周囲に素早く視線を巡らせて、冷静な声で牽制した。
「クリスチャン。君の仲間?悪いけど妙な事考えない方がいいよ。俺に何かあると仲間がすぐに動く事になっているからね。何年掛けて潜入してたのか知らないけど、メヘッド・サーリムの所にはもう戻れなくなる。てか、クリスチャン・ブレスはメヘッド・サーリムに消されるね。間違いなく…」
いつの間に現れたのか、サトコの周りでは英国情報部員だと思われる2、3人のエージェントが険しい表情を浮かべて立っている。「君は…♭男の子なのか…♭何者?♭♭」「…ご同業みたいなものかな…?でも、君達スパイと違い、俺が姿を消すと大変な騒動になるよ。ほら、あのビル…」
サトコが自分の背後にそびえ立つ高層ビルを親指で示すと、絶妙なタイミングで有名なエナジードリンクの広告が電光掲示板に流れ始める。
それはアクション映画仕立てのCMで、悪漢に捕らわれた女性を助けに行った『格闘天使サトシ・オーノ』がエナジードリンクを飲んで最強になり、見事なアクションで悪党を倒すと言うCMだった。
「まさか…♭♭」今のクリスチャンは先程までの英語混じりのおかしな日本語を喋っていない。どうやら本当の彼はもっとデキるエージェントの様だ。
クリスチャンは《止めておけ。どうやらこの人に手を出せばマズイのは我々の方だ》と英語で仲間に合図すると、警戒を解かせ、両手を広げて肩をすくめた。
「参ったね♭チャラい外国人を上手に装っていたつもりだったけど、本職の俳優さんには敵わないな♭すっかり可愛い女性だと思い込んでいた♭私もまだまだ修行が足りないね♭それじゃあ君のご主人も仲間なのかい?♭」
「そう。俺の名前は大野智。『JMI』のエージェントさ。本業はアクション俳優だけど、それを生かして仲間と共に警察とは別の特殊な機関で働いている。『JMI』知ってる?」サトコの正体をあっさりと白状した智は、ジャケットの前を開き、マジック・テープで留められた裏生地をバリっと剥がした。
剥がされた裏生地の中には5色に染められた桜の大紋のバッジが隠されている。クリスチャンは目を丸くして「驚いた…♭」と呟いた。「私もエージェントの端くれだから『JMI』の噂くらいは知っていたが…♭まさか本当に存在していたとはね♭」
クリスチャンは智を取り囲む仲間を解散させると、来た時と同じように助手席のドアを開けて、「さぁどうぞ。早く和解しないと君のパートナーに殺される」と微笑んだ。
「サンキュー♪」助手席に乗り込み可憐な笑顔を見せる智を、クリスチャンはまじまじと見つめて「本当に信じられない♭君が男の子とはね♭未だ随分若いだろう?」と聞いた。
「そうでもないよ。もう27だし」「嘘だろう?!♭私は28歳、1歳しか離れていないなんて!♭unbelievable!♭amazing!♭」どうやら驚愕が過ぎると再び英語混じりになるらしい。良く童顔だと言われる智だが、相手が外国人の場合、その驚きもひとしおの様である。
「ところでサト…サトシだったかな?君達の目的もメヘッド・サーリムなのかい?」「…と言うよりテロの防止。まさか本当に演奏会をするだなんて思っていないよね?
メヘッドからどんな命令が下されているのかは知らないけど、メヘッド・サーリムが仲間を集めて展示会を襲撃し、米軍の最新兵器を盗み出したのは『聖ヴィンセント学園』の子供達を皆殺しにして金塊を探す為だよ。
俺達の任務はテロリスト達から『聖ヴィンセント学園』の子供達を守る事。捕縛が原則だからぶちのめした後は警視庁から然るべき機関に引き渡されるだろうと思う。
もし英国情報部がメヘッド・サーリムやその仲間達の身柄が欲しいならそっちの局長が警視総監と相談して身柄を確保する事だね。『JMI』の存在は警視庁の上層部しか認知していないから。
勿論身柄の引き渡しが完了した後は警視庁も『JMI』も一切関知しないんで英国情報部が好きにしてくれて構わない。但し極秘裏に頼むよ」智の説明にクリスチャンは深く頷き、それならばとささやかな提案をした。
「OK。『JMI』がメヘッド・サーリムの捕縛に動いてくれるなら我々は派手に動き回らない様にしよう。MI6の目的はボスのメヘッド・サーリム他、ナスターシャ・ラトーヤ、ニック・ランバートら元情報部員幹部達の身柄の確保だからね。
残りの仲間は警視庁が各国の警察機関に引き渡してくれればいい。ただ、こっそりと協力だけはさせてくれないかな?
君達の実力を侮っている訳ではないが、サブメンバーのトンプソン・バレル。リチャード・ワン。ハンナ・シュルツ。ガイ・バンデッド。テラー・ベルモンド。アッサム・ラディアンの6人も、それぞれ傭兵だったり格闘家だったりと、戦闘のプロばかりだ。
それに後に合流する予定の20名もストリートギャングのメンバーや元犯罪者らの、人殺しを何とも思わない様な悪党共だからね。武器の調達とか、監視とか、我々のスキルが役に立てる事もある筈だ」
クリスチャンの申し出に少し考えた智は、「ん~、それじゃあねぇ。先ずは機械工学に詳しい人を紹介して♪仲間の1人が『聖ヴィンセント学園』に潜入中で、武器の作成が大変なんだよね♪」と、甘える様な上目遣いでおねだりした。
か、可愛い…♪男だと分かっているのに何故かときめくクリスチャンであった。
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「うおぉ…♭焦ったぜぇ~♭」ピンバッジに連動している小型カメラの映像をずっと監視していた潤は、暴走車と言う想定外のハプニングでサトコの正体が相手にバレたと感付いた途端、ノートパソコンを小脇に抱えて自動車に飛び乗った。
だが当初の推察通り、クリスチャン・ブレスが潜入捜査中の現役英国情報部員だと知った時点で心配ないと見切り、エンジンを止めて部屋に立ち戻ったのである。
「てか、流石は俺の可愛い智だぜ♪上手く機転を効かせてジェームズ・ボンドもどきを完璧に釣り上げやがった♪男ってバレても智のラブリーさは絶好調超に無敵だっつ~の♪」
まるで自分の手柄のように得意気に胸を張り、潤はサトコのピンバッジから得た情報をメンバー全員にメールで送信した。英国情報部が全面的に協力してくれるとなれば鬼に金棒である。
すぐに櫻井からメールが届き、そこには『今回だけは許す。でも今度また智君を囮に使ったりしたら殺すからな
』と言う大層物騒な文言が書かれていた。
「やべ♭チーフ激オコじゃね~か♭」とは言え、クリスチャン・ブレスを味方につけられたのは間違いなく作戦を立てた潤と、その作戦を実行した智の功績である。何にせよ、テロリストの襲撃日も襲撃場所も掴む事が出来た。
どうやらアイバチャン担当の武器の作成も英国情報部員のプロが手伝ってくれるらしい。潤は映画『007』シリーズの『Q』みたいなキャラクターを想像し、「どうせなら映画に登場する滅茶苦茶クールなアストンマーチンみたいなスポーツ・カーも作ってくれたらサイコーアがるんだけどな~♪」
などとご機嫌な事を呟きつつ、頑張った智の為に夕食を作ってやろうとキッチンで仕込みを始めた。やがて表に車の停車する音が聞こえて来る。「お帰り智♪お疲れ様♪」潤が玄関まで向かえに出て両手を広げると、智は元気な声で嬉しそうに「ただいま~!♪」と言ってサトコの扮装のまま、潤の胸の中に飛び込んで来た。
「じゅ~ん!♪俺頑張ったぞ!♪見てた?!♪」「見てるに決まってんじゃん♪一時はヒヤッとしちまったけど、暴走車から親子を助けて偉かったな♪今夜は智の大好きなスパイスたっぷりのチキンだぞ♪」「マジ?♪やったね♪」
ほんの数時間だけなのにまるで何十年も離ればなれになっていた恋人の様に、2人はギュ~っと抱き合っている。そこに少し遅れて顔を覗かせたのはクリスチャン・ブレスだった。
クリスチャンはゴホンゴホンと空咳をして、「あのぉ…♭仲がいいのは結構だが、少し今後の作戦を立てないか?♭」と遠慮がちに言った。
昨日は怒涛の様な嵐ごとでそっちを優先してしまい、お話の更新が遅くなってしまいましたね~
今年のハロウィンはもう終わってしまいましたが、このお話のハロウィンは未だこれからですよ~
皆様もある程度予想出来ていたかもですが、結局智君はサトコの姿でも素の智でもクリスチャン・ブレスを釣り上げる事が出来たと言うオチでございました<(_ _*)>
今後は潤君とクリスチャンの間(時々翔君?♭)で智君を巡っての小っちゃな小競り合いがあるとかないとかって流れになっていくと思います