これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

5

3年前、神奈川県の某所にある大病院『臨斉会病院』ではショッキングな医療過誤事件が起こっていた。被害者は財界随一とも言われる貿易会社『菅沼貿易』の会長。菅沼徳治郎(すがぬまとくじろう)(88歳)である。

それはステージ4の胃癌を患っていた菅沼徳治郎の、癌による膵臓への転移を見逃した担当医の医療ミスだと思われていた。『臨斉会病院』の若きホープと噂に高い、その外科医の名前は大野智(27歳)。

東大医学部を主席で卒業し、将来を嘱望されていた、とても優秀なエリート中のエリート外科医で、細身の小柄な体躯に白衣を纏うその姿は、まるで女医と見紛うばかりに気品のある可憐な美しさで、患者からは『白衣の天使』と親しみを込めて呼ばれていた。

臨斉会病院の院長、堂河原壮亮(どうがわらそうすけ)(53歳)は大野の医療ミスを認め、菅沼貿易の代理人である顧問弁護士の櫻井光顕(さくらいみつあき)(55歳)に示談を申し出た事によりこの医療過誤事件は訴訟に発展しないままに終了したが、大野には堂河原より懲戒解雇が言い渡され、大野医師は医学界から追放された。

だが、この医療過誤事件については裏がある。院長の堂河原壮亮は『菅沼貿易』の次男、菅沼修司(すがぬましゅうじ)(30歳)と癒着しており、菅沼修司と密接な繋がりのある薬品会社『養老薬品』により、海外から輸入された日本では無認可の特効薬を密かに治験して、菅沼修司や薬品会社から多額のマージンを受け取っていた疑いがあった。

大野医師は当時独自でその事を極秘裏に調査しており、それが発覚する事を恐れた堂河原壮亮と、菅沼修司が結託。年老いた父親の末期癌を初期のものと大野医師に誤診させるようわざと仕向けて、大野医師を臨斉会病院から追い出したのである。

だが、院長の治験については未だ確かな証拠が出た訳でもなく、いかに嵌められたとは言え、菅沼徳治郎会長の転移した癌を見逃してしまった事には変わりないと、大野医師はあえて言い訳せずに責任を取る形で医学界を去って行った。

だが、話はそこで終わった訳ではない。『菅沼貿易』では会長の死によって内部紛争の様な物が勃発し、かねてより会社の運営方針で対立していた長男の菅沼兼次(すがぬまかねつぐ)(32歳)と次男の修司との派閥争いが次第に表面化し始めていた。

『菅沼貿易』では顧客第一の穏健正統派である兼次派と、儲け主義で黒い噂の絶えない修司派とでその派閥は真っ二つに分断され、特に修司派の人間には『臨斉会病院』の堂河原壮亮を始め、

『養老薬品』『TO-Aカンパニー』等、裏の繋がりが深い面々が多く、そんな裏のルートを使い、修司は会長の死を足掛かりにして兄の兼次を追い落とし、自分が『菅沼貿易』の代表取締役に就任しようと目論んでいた。

そんな時、修司の耳に入って来たのは兄の兼次が『臨斉会病院』を追われた大野医師の行方を探し、コンタクトを取ろうとしていると言う噂である。

どうやら兼次派の顧問弁護士、櫻井光顕を通じて大野医師に件(くだん)の医療過誤事件についての詳細を聞き出そうとしているらしい。これはいよいよ兼次が本格的に自分の追放を考え始めていると危惧した菅沼修司は、兼次を出し抜き、早急に大野医師を自分の元に取り込む必要があった。

幸い修司派の面々は裏の世界に通じている者が多く、大野医師の所在は直ぐに見つかったのだ。修司は早速大野にコンタクトを取り、徳治郎の死に責任を感じているらしい大野の、医師としての良心につけこんだ。

修司はせいぜい大野の味方を装い、あたかも自分が顧問弁護士に訴訟を起こさないように働きかけたのだと、そう大野に思わせる様上手く仕向けて、会長の死でゴタついている『菅沼貿易』が落ち着くまでの3年間。仕事の手伝いをして欲しいと大野に持ち掛けたのである。

世界中と取り引きのある『菅沼貿易』では、なるだけ安くて良い商品を仕入れる為に、稀に発展途上国などに赴かなくてはならない時があり、そんな場所は往々にして医師が不足している。

スタッフが怪我や病気をした時などに、同行してくれる優秀な医師がいてくれると助かるので、大野先生に協力して頂き、3年間だけボランティアとして、我が社で働いてくれれば、その後の責任は一切問わないと、菅沼修司は巧みに大野を言いくるめたのだった。

だが、菅沼修司には医師としての大野を利用したい以外の、大野に対するもっと大きな理由があった。それは会長の菅沼徳治郎が『臨斉会病院』に入院した時期から始まっていたのである。

それは菅沼修司のバイセクシャルと言う性癖に拠るところが大きい。そう、修司は父親の担当医である大野を初めて見た時からその美貌を見初め、どうにかして自分の物に出来ないものかとあれこれと思案を巡らせていたのだ。

そこでかねてより繋がりのあった堂河原院長の不正を、発信元が分からない様に大野へと伝え、大野が院長に疑惑を抱くように画策したのである。

つまり堂河原院長が大野の告発を恐れ、修司に相談を持ち掛けて来る事も、その後の大野追放の罠も全てが菅沼修司の計画の内だったと言う訳だ。

本来はもっとゆっくりと段階を踏んで大野の信用を得、自分の物にする筈だったが、兄の兼次が大野の行方を探し始めた事により、修司は計画を大幅に早めなくてはならなくなったのである。


**


「…僕は何も知らなかった。堂河原院長の事は疑いを持っていたけど、まさか院長が修司と裏で繋がっていたなんて考えてもみなかった。だから始めに修司から協力を申し出られた時は何て親切な人なんだと感謝すら感じていたんだ。

マスコミの目もあり、僕に取っては煩わしい事ばかりが多くなるだろうから、暫くは身を隠した方がいいと、僕の為に修司が用意してくれたマンションはとてもいい部屋で、生活に必要な物は全て揃っていたし、僕は何も疑う事なく契約書にサインをした。

そりゃあ契約書の内容については少し理不尽な気もしたけれど、あくまでも道義的な物で、会社が落ち着くまでのたった3年間だと言う修司の言葉を僕は信用していた。

でも、今考えると本当に愚かだったと思う。色々ありすぎて僕も少し心が弱っていたから、修司の一見誠実そうに見えるスポーツマンっぽい外見と優しい言葉にあっさりと騙されてしまったんだ。

修司の用意してくれたマンションの部屋に住むようになってからは、僕が外出する事は許されず、部屋には必ず見張りが付いた。若い男の時もあったし、年配の男の時もあったけど、厳つくて少し怪しげな連中でね、何だか変だとは思ったんだ。

でも、外出出来ないのは僕の医療過誤事件についてマスコミが嗅ぎ回っているからだと修司には説明されていたし、見張りを付けるのは修司の兄の兼次さんが僕の行方を探す為に暴力団を雇ったからだとそんな風に脅されていたから無理矢理納得していた。

そんな日が1週間位続いただろうか?修司が部屋を訪ねて来てデリバリーのご馳走を振る舞ってくれたんだけど、食事を終えたら急に体がだるくなり、眠気が襲ってきたんだ。

僕はそのまま眠ってしまい、次に気づいた時は別の部屋に移動させられていた。そこは僕の暮らしていた部屋のあるマンションの地下室でね。修司は密かにその地下室を買い取り、内装をリノベーションしていた。

元々はシアタールームだとか、娯楽室に利用出来る様にと、防音設備が整えられていた地下室だったらしいけど、修司はそこを秘密の取り引き会場として改装を加えていたのさ。

僕は何かおぞましい悪夢でも見ているのかと思ったよ。実際眠りの最中みたいに全身は重く、まるで金縛りにでも遭ったみたいに、動かないのに感覚だけはいやに研ぎ澄まされて、ざわざわと全身の皮膚が粟立つ様な感じだった。

今思い出しても本当に酷い地下室だったよ。拘束具の取り付けられたベッドに、鎖や手錠や首輪や足枷。ロープに鞭に蝋燭。そして毒々しい色合いの様々な、男  性  器  の形をした卑猥な 性  具…。ありとあらゆるいかがわしい道具が、これ見よがしにその地下室には揃えられていたんだから…。

その時さ、僕が菅沼修司の本当の目的に気づいたのはね…。僕は衣服を何も身につけていなくて、両手首は革のベルトでベッドに拘束されていた。修司は言ったよ。『来月に大切な取り引きがあるから、それまでにお前の身体を男に慣れさせなくてはいけないんだ』とね…」

大野はそこで一旦言葉を止めて、息を呑む一同に、順番に視線を向けた。「…菅沼修司は恐らく食事の中に強力な媚薬の様な物を混ぜていたんだろうね…。その上で何かピンク色をしたジェルの様な物を僕の身体に塗ったんだ。

おかげで僕が苦痛を感じたのは初めのほんの一瞬だけ…。あんな事されたのは初めてだったけど、まるで自分の身体が自分の物ではなくなってしまった様な、そんな強烈な経験だった。

僕の意思なんて無関係に身体だけがひたすら絶頂している様な…そんな感じかな…?菅沼修司は1ヶ月後に控えた取り引きまでの間、月、水、金の週3回…。彼は『慣らし』だと呼んでいたけど、その『慣らし』を地下室で行った。

医師の仕事なんて殆ど無かったね。僕が利用されたのは大抵取り引きを成功させる為の道具としてだった。大体1年に5回位だったと思う。そして取り引きの1ヶ月前から週に3回のスパンで『慣らし』が始まるんだ。

それでも男だからきっと女性よりは楽な方だったと思う。だって取り引き相手が接待に男を欲しがるパターンってのはそう多くないだろうからね。

女性は現地で調達するんだと修司は嘯(うそぶ)いていたけど、多分違う。一度修司が『TO-Aカンパニー』と言う、何でも屋の赤松と言う男に電話で文句を言っていたのを聞いた事があるんだ。

『昨日の女は未成年だったぞ。大丈夫なのか?』とね…。悪魔だと思ったよ。僕はとんでもない地獄に引きずり込まれたんだとその時に実感したんだ。菅沼修司が心底恐ろしくなった…。

恐らく女性を世話していたのは赤松だと思う。『TO-Aカンパニー』がどう言った類いの仕事をやっていたのか詳細は知らないけど、多分堅気の仕事をやっている会社じゃないだろうね」

自嘲気味に微笑んだ大野は、手元のワインを飲み干し、唇をペロリと舐めると、首筋に手を当ててふぅ…と溜め息をついた。本人は何気ない仕草のつもりだろうが、話の内容とも相まって破壊的な色気を放出させている。

櫻井がおもむろに立ち上がり、大慌てでトイレへと駆け込んで行った。「櫻井君はどうしたんだろう?飲み過ぎたかな?」そんな呑気な事を言う大野に潤は少し安心する。

聞けば聞くほど酷い話で、菅沼修司には怒りしか沸かないが、大野に対する不快な気持ちは微塵も芽生えなかった。むしろ本当に強い人だと尊敬すら感じる。そして、どきどきするような興奮も…。

「…何故修司が僕なんかを接待役に選んだのかは未だに良く分からないけれど、男相手の接待役は多分僕だけだったんだろうね。この3年間で、色んな国に行かされ、色んな男を相手にさせられたよ。

そんなに乱暴な奴はいなかったし、特にアメリカやヨーロッパだと僕なんかだいぶフレッシュに見えるらしくてね。ハイスクールだとか、ジュニア・ハイだとかそんな風に言われて結構喜ばれるんだ。ただ……」

そして大野の話は菅沼修司の持つ闇の核心に迫って行くのであった。

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

久々に密度の濃いお話を書いている様な気が致しますわ~滝汗多分限定にしなくても大丈夫だとは思いますが、大野先生のお話はもう少し続けます(^_^)

先生のお話はなかなかに刺激的ではありますが、その詳細を描いていくと、本当に洒落にならない内容になりそうですのでアセアセ上澄みだけざっくりと書かせて頂き、あとは皆様のご想像にお任せ致しますグラサン