これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので、苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ
‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡
4
コンビニで買ったワインとチーズではさすがに足りないだろうと、一同はバーカウンターのある部屋に集まり、今回の一件についての話し合いを始めた。
ここには部屋の角にモノトーンのモザイクタイルで装飾された、L字型の対面式カウンターキッチンがしつらえてあり、大型の冷蔵庫や、ワインクーラー。
そして細工の美しいカットグラス類と、モルトウイスキーやブランデーの瓶が並ぶキャビネット等、すぐにでもパーティーが出来るのではないかと思う程の完璧な備えがあった。
床はオールフローリングでロボット掃除機が絶えず行き交い、大きめの窓はカーテンではなく黒いブラインドで覆われて、丁度いい明るさの間接照明が部屋全体を照らしている。
部屋の中央には寄せ木細工みたいな脚の太い木製の大きな正方形のテーブルに、薄茶の3人掛け用×2、1人掛け用×2の計4脚のどっしりとしたソファーが陣取っていて、まるで絵に描いた様な都会的な空間だった。
「お洒落な部屋だねぇ~松潤♪俺の警察寮とは大違い♪」相葉は頻りと感嘆の声を上げ、物珍しそうに部屋中を見回している。
その間も大野は、潤から課せられたペナルティのせいで、下着以外の物を下半身に纏う事を許されないままに、シャツ1枚の相変わらず無防備な格好で、グラスを用意したり、足りない分の酒やスモークサーモン、生ハム等の簡単なつまみを用意したりと、かいがいしくみんなの世話を焼いていた。
大野は大学時代の事を良く覚えていて、自分の1つ下の後輩である櫻井の事も見知っていた。どうやら大野同様、櫻井も櫻井で、かなり有名な学生だったらしく、何でも法学部では在学中に司法試験に合格した天才として教授達にも注目されていたそうだ。
「櫻井君は当時法学部で1番有名だったんじゃないのかな?僕が講堂とか食堂を利用する時に何故か良く居たんだよね?きっと時間の配分が僕と似ていたんだろうけど、女子学生にも人気でいつも囲まれていたにも関わらず、滅茶苦茶難しい顔をして六法全書ばかり読んでいた変わった学生だった」
大野は当時の事を大層懐かしそうに話していたが、恐らく時間配分が似ていたのではなく、櫻井の方が大野の時間配分に合わせて行動していたのだろう。櫻井のこれまでの態度を見ていると潤にはそう思わずにはいられなかった。
現に潤の隣に腰かけて、少し眠そうな顔で話す大野の、内腿の三角ゾーンから時々見える黒っぽい下着を、「いやいやそんな…♭」などと言いながらも、対面の櫻井は真っ赤な顔をして凝視していたりする。
ある意味潤にしてみれば、彼は少々面倒な存在ではあるのだが、菅沼一族の詳細を知るにはどうしても顧問弁護士の櫻井が不可欠なのだ。その為にも櫻井にはなるだけ大野先生に肩入れして貰った方がいい。大野の生足は言わば櫻井へのオプションみたいなものであった。
「それにしてもまさか松潤にこんな趣味があったなんてね。ナンバーワンホストは世を忍ぶ仮の姿って事?俺はてっきり松潤は超女好きだと思ってたんだけどね♪」相葉はアヒャヒャヒャと言う特徴のある笑い声を上げて、実に興味深そうに、潤と大野へ視線を向けた。
「そうなんだよねぇ♪どう言う訳だかこうなっちまってんのよ♪出会い方が特殊だったせいかも知れねぇけど、大野先生は何か特別っつ~か、俺に合ってる感じがすんの♪他の男じゃこんなにテンション上がんないんだけどね♪」
隣に腰掛ける大野の顔を覗き込み、その頬に軽くキスした潤は、「それよか櫻井さん。手配してくれたって言う派遣施設は菅沼関係じゃねぇだろうな?」と聞いた。
「派遣施設って?」少し恥ずかしそうに頬を押さえて小首を傾げ、大野は櫻井の方に視線を向けてふにゃりと微笑んだ。櫻井の顔が更に赤くなる。
「えぇ..と♭その点は心配ありません。オーナーの城島さんは大阪の大学病院で教授をされていたご経験もある身元の確かな方で、智さ…いや、大野先生の事をお話ししたら、是非とも登録して下さいと、とても乗り気になって下さいました。
やはり城島さんも臨斉会病院の堂河原院長の悪評は良くご存知でして、大野先生の医療過誤事件についてはかなり疑問に思われていたご様子でしたので、あの方ならきっと大野先生の味方になって下さるでしょう」
櫻井の説明にハッとして眼を見開いた大野は、隣の潤を眩しそうに見上げて、「潤…。城島さんってもしかしてフリーランスの…」と聞いた。どうやら大野も噂くらいは耳にした事があるらしい。
本来大野の様なエリート外科医にはあまり縁のない世界の話ではあるのだが、一度でも医療ミスの汚名を着せられた医師が正規のルートで医学界に戻るのは困難だろうと考えた潤が、櫻井に頼んでいたのがフリーランスの派遣医師制度であった。
ちゃんとしたバックボーンの派遣医師施設なら、制度がしっかりとしているので、医者としての優秀な腕とスキルがあれば、世界中で活動出来るのだ。
こう言った専門的な分野は、専門外の潤が探すよりも弁護士の櫻井の方がいい医師派遣施設を早く見つけてくれるだろうと今夜櫻井が店を訪ねて来た際に依頼しておいたのだった。
「そりゃいいや♪これで先生の医師としての未来は確保だな♪櫻井さんサンキュー♪」「どういたしまして♪」親指を立てて「上出来♪」とウインクする潤に、櫻井も片手を挙げて笑顔で返した。
「潤…櫻井君…」大野は両手で口元を覆い隠し、瞳を潤ませている。その反応に、潤は至極満足そうな顔をして、大野の髪をクシャクシャと撫でた。
「だから言ったろ?♪騙されたと思って俺と一緒に暮らしてみろって♪あんたの喜ぶ事、全部してやっから…♪」「潤…」「松潤カッコいいなぁ~♪俺でもキュンとするよ♪」相葉が陽気に笑い、櫻井はやや食い気味に「よ、喜ぶ事って何ですか?♭」と身を乗り出した。
「でも松潤。本当にいいの?俺達が今から考える事って、腹違いとは言え君のお兄さんにワッパ嵌めるって事になるかも知れないんだよ?」心配そうな相葉に、潤はいともあっさりと言い切った。
「兄貴っつったって、顔も知らねぇ相手だしな。俺のお袋は通りすがりに大怪我させられた様なもんで、父親ってったってくたばったジジイにはムカつくだけで、会いたいなんて一度たりとも思わなかったしさ。
そもそも先生を酷い目に遭わせたクズに情なんざ沸かねぇし、掛けてやる気もねぇよ。大体、菅沼修司を葬りたいと思ってんのは長男の兼次だからな。俺なんかよりあっちの方が修司との関係は深いにも関わらず、だろ?」潤の視線に櫻井も深く頷く。
「だから相葉さんに全部話したんだって。俺が菅沼修司に思うところがあんなら警察には喋んねぇよ。修司が海外マーケットを相手に後ろ暗い商売やってる疑惑があんなら、ソタイなんてガッツリ専門分野じゃん。そんな相手に言わば身内の恥を晒したりしねぇって」
潤のそんな頼もしい言葉に後押しされたのか、相葉は「分かったよ。代表取締役の菅沼兼次さんがそこまで決意しているのなら、『菅沼貿易』が被(こうむ)るリスクもある程度覚悟した上での事だろう。なら、ウチでもとことんやらせて貰う事にしよう」と力強く頷いた。
「じゃあ次は大野先生だね。松潤とは彼が未だ新人ホストだった頃から親しくさせて貰っていたけど、いい加減な事は言わない奴だから、彼がそうと決めた事なら間違いなく信用出来ると思うよ。それに弁護士の櫻井さんと言う頼もしい味方も出来た。
俺も彼らを信じて、やれるだけの事は必ずやって見せるから、先生も俺達を信じて知っている事は話してくれないか?多分言い難い事もあると思う。
でも、菅沼修司やあの男に連なる黒い裏側を俺ら警察の人間が把握しない限り、菅沼貿易に取っても、先生に取っても決していい結果にはならないよ。兄の菅沼兼次も先生と菅沼修司の事は知らなかったんだ。
なら、先生にしか分からない菅沼修司の黒い裏の顔が必ずある筈だ。どんな些細な事でもいい、例えば菅沼修司が極秘でやり取りしていた相手とか、危なげな取引相手とか、何かなかったかな?」
相葉の熱心な問い掛けに大野も強く心を動かされた。修司との3年間はあまり口にしたくない事ではあったが、昨夜会ったばかりの自分にこれほどまでに力を尽くしてくれる潤や櫻井、相葉の為にもここで口をつぐむ訳にはいかない。
「…分かった。僕が経験した菅沼修司との3年間の事を話すよ。潤には…嫌われるかも知れないけど…」大野は覚悟を決めた様に、静かな口調で菅沼修司に利用された3年間の契約期間の事を淡々と語り始めたのであった。
‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡
次回は大野先生の回想シーンとなります(^^)成瀬期のイメージで描く外科医時代も登場致しますよ~
少々過激なシーンも出て来るかも知れませんので、書きあがった結果次第では限定になるかもです(^o^;)
なるだけ重くなりすぎない様に書いて行くつもりではございますが、サトシックさんには少し辛い部分もあるかも知れません
ですが、このお話を進める上ではやはり軟禁時代の事は避けて通れない部分ですので、お許し頂ければと思っておりますm(__)m
因みにこのお話に出て来たフリーランスの派遣医師って言うのは『私、失敗しませんので』でお馴染みの女医さんが所属していた場所のもうちょっと大きいバージョンをご想像頂ければと思っています