これは潤智妄想物語です。腐要素有、潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。尚妄想なので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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某地下鉄と隣接した駅ビルの中に二宮行きつけの大衆居酒屋があった。夕食がてらここで一杯やってから地下鉄で帰路につくのが二宮の日常らしい。フランス帰りの割には随分と庶民的である。「言っとくけど割り勘だから」

いきなりセコい事を言った二宮は、食べる物も決まっているのか、ハンバーグ定食とビールを注文し、向かいに座る松本をムッツリと睨み付けた。

「ジェイ。ここん所良くランチの時に大野さんと会っているみたいだね。『デリシャス・キッチン』のマスターが教えてくれたよ。試作品の感想を聞いているんだって?」「別にいいじゃねぇか。意見を聞くのは自由だろ?まさかイベントの抜け駆けすんなとでも言いてぇ訳?」

マスターのお喋りにも驚きだが、何より二宮から試作品についてとやかく言われるのが松本には気に食わない。イベント試合については特に決まったルールなどないのだから放って置けよと言う心境だった。当然表情も苦々しいものに変わる。

「イベントの事なんてどーでもいい。俺が危惧してんのは大野さんの事だよ。こう言っちゃあ何だけど、試作品の感想を求めるのに大野さんってのは納得出来ないんでな。どうせ試作品の感想なんて単なる言い訳だろ?

ジェイ、お前は大野さんに何を求めている…?もしただの好奇心で大野さんに近づいたってんなら止めてくれ。あの人はなジェイ。お前みたいなモテ男がお手軽に遊んだり出来る相手じゃないんだ。

だいたい、何で大野さんなんだよ。あの人は男だし、本来お前が興味を持つ様な対象じゃないだろう?お前くらいの高レベルならいくらでも可愛い女の子と選び放題じゃないか」

二宮は刺のある声音で一気に捲し立て、ビールを流し込むと、左手で器用に箸を使って、付け合わせの煮物を食べた。皮肉屋で、時たま毒舌な事もある二宮だが、おおむね穏やかな性格の男なので、こんなにイラついているのは珍しい。何をそんなに心配しているのか、まるで智を悪い虫から庇ってでもいるような言い草である。

だが、二宮の言いたい事は何となく松本にも理解が出来た。要するに智の事を興味本位に弄んで欲しくないと言う事だろう。恐らく智が話してくれた、櫻井コーポレーションの御曹司との関係がギクシャクしているのを知っての苦言だったに違いない。

だが松本にしてみれば、実際は弄ぶどころか、自分の気持ちすらどうすればいいのやら、完全にもてあましている状態なのである。

「…あのさ、お前がどう感じてんのかは知らねぇけど、俺だって分からねぇんだよ…。確かに試作品の感想は口実だ。そりゃ認める。でもだから何?って聞かれると、良く分からねぇ。

良く分からねぇが、智の手を離しちゃいけない気がするんだ。俺の勝手な思い込みかも知れないけど、誰かが手を繋いでてやんねーと智がフワッと消えちまいそうでさ。

だからっつって俺に何が出来んのか全然見当もつかねぇし、たとえ智が消えたところで本来俺には痛くも痒くもねぇ話だろうが、どういう訳だか俺には全然そうは思えねぇ。何でこんな気持ちになんのか自分でも混乱してんだけど、何かさ、俺の作ったチョコレートの一粒があいつを笑顔に出来んならそれも有りなんじゃね?って…」

拗ねた様な困った様な複雑な表情を浮かべ、松本は今の正直な気持ちを二宮に話した。二宮は随分と智に思い入れがあるようなので誤解されないように伝えた方がいいと思ったからである。

そこに二宮が注文したハンバーグ定食が運ばれて来る。だがそれには手をつけず、二宮は松本の飲んでいるレモンサワーのグラスをじっと見つめて、やがて苦笑混じりのため息をついた。「なんだ?それ…」「だから分かんねぇんだっつーの♭」

レモンサワーを飲み干し、お代わりを注文した松本は、「それよかお前だよニノ。智に聞いたけど、お前が仕事紹介したんだって?櫻井何とかって御曹司」と聞いた。

プライバシーに関わる事なので多くは話さなかったが、松本のその一言で二宮にはすっかり飲み込めたらしい。ハンバーグを箸で割りかけたまま、小さく頷いた。

「翔さんね…。そう、俺があの人に大野さんを紹介した。実はなジェイ。俺は一度フランスで修行してた時に大野さんと会ってるんだよ。大野さんの親父さんが仕事の関係でパリにに短期出向していてね。

期間はほんの1ヶ月位だったんだけど、その時にたまたまセーヌ川の畔でスケッチしていた大野さんを見掛けたんだ。何せ言葉も良く分からない場所での修行だったもんだからこれでもキツイ時期とか結構あったりしてな、日本人が懐かしかったんだろうね。

お前も知っての通り、大野さんって何か不思議な人だろ?あの人と接していると、ささくれだった気持ちが柔らかくなるって言うかさ、たった1ヶ月だったけど仕事の合間なんかに大野さんと会話したり、大野さんの描いた絵を見せて貰ったりしていると、片意地はってしゃかりきになってた自分の心がすぅ~っと軽くなった感じがしてな。

店長の引退を知って何か手伝えないかと日本に帰って来て、偶然にも大野さんの職場がこの『Bitter sweet』の近くにあるって分かって…。パリで見せて貰った絵は本当にすげー上手かったし、修行中に励まして貰ったお礼も兼ねて、翔さんを紹介したんだ。

翔さんは俺の高校時代の先輩でさ、俺が日本に帰国したって聞いて色々世話を焼いてくれた恩人なんだよ。翔さんは櫻井コーポレーションが運営するデパートのリニューアルに伴い、新しい包装紙のデザインをしてくれる専門の会社を急遽探していてな、それで大野さんの働くデザイン会社を紹介した訳。

大野さんと翔さん、これで2人共に恩返し出来たって俺も満足してたんだけど、まさかねぇ、翔さんと大野さんがあんな事になっちゃうなんて俺も責任感じてんだよ」

二宮の話で松本にもそれぞれの経緯(いきさつ)があらかた理解出来た。ここからは予想だが、櫻井コーポレーションの御曹司と仕事で接している内に何か誤解が生じたのであろう。

二宮も言った様に、智には他人のピリつく心を瞬時に包み込んで癒してくれる、まるでマイナスイオンが全身から放出されているような、そんな柔軟な雰囲気がある。男だとか、女だとか、そんな性別の壁なんて智と居れば何ら関係なく、無条件で惹かれてしまうような不思議な吸引力が備わっているのだ。

加えて智自身は優しくされると直ぐに相手の懐に入り、親しくなりたがる傾向があるので、色々とおかしな勘違いが生じやすいのではないだろうか。

智が先だったのか、御曹司が先だったのか、どちらが先に惚れたのかは判然としないが、いずれにせよ、好きは好きでも恋愛感情を伴う好きと、友情から生まれる好きとは種類が違うと言う事だ。

アメリカへの出向が決まったと言うなら恐らく御曹司の方が智を振ったのだ。いや振ったと言うより御曹司の『好き』は智の感じていた『好き』ではなかったと言う事だろう。

松本は黙々とハンバーグ定食を食べる二宮を眺めやりながら、そろそろと腰を上げた。「一応誤解も解けたみてぇだから帰るわ。ニノには色々と教えて貰ってすっきりしたし、今日は奢ってやるよ」伝票を持って立ち去ろうとする松本に二宮が声を掛ける。

「待ちなよジェイ。明日定休日だろ?本でも読んでゆっくり休め。ちなみに俺のお薦めは『不思議な動物ワールド』って月刊誌だ。『Dr 相葉ちゃんの動物ハテナ』って連載記事が面白いよ。買ってみな」二宮は片手を上げて「ごちそーさん」とニンマリした。

勘定を済ませ、居酒屋を出た松本は大きく深呼吸をしてからダウンコートのジッパーを上げた。仕事帰りのサラリーマンやOLが、窓口に向かったり、飲み屋街に向かったりと、駅ビルの中でせわしなく行き来している。

そんな日常の風景をのんびりと感じつつ、松本は駅ビルを出て、大通りに立ち並ぶ高層ビルの明かりを見上げた。時刻は未だ未だ宵の口だ。二宮お薦めの動物雑誌でも買ってみようかと本屋に向かい始めた時、通りの向こうから見覚えのある男が歩いて来た。

松本はハッとしてさりげなく街灯の影に身を隠し、すれ違いざまにしっかりと男の顔を確認した。仕立てのいい洋服に、あの育ちの良さそうなイケメン振り…間違いない、櫻井コーポレーションの御曹司だ。

しかも御曹司の隣には見慣れない若い男が連れ添っている。少し不良っぽいが、綺麗な顔立ちをした、智とは全然タイプの違う男だった。あんの野郎…♭松本は無性に腹立たしくなり、御曹司の後をこっそりと尾け始めた。

智の好きと違ったからあいつを振ったんじゃねぇのかよ?♭智の事泣かしといて、てめぇはもう次の若いのに乗り換えか?♭ふざけやがって…♭暗い怒りが松本の胸の中に沸々と沸き上がっていた。

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なかなかスリリングな展開になって参りましたニヤリ潤君激オコですパンチ!果たして翔くんは無事なのでしょうか?