今回の音楽コーナーは、プチ教則的なものを記してみようと思います。少し教えていた時期があるので、当時のPDF譜面とMIDI打ち込みの音声ファイルを紹介します。アメブロでは<embed>タグが使用不可なので、PDFをJPEGに、MIDIをMP3に変換して添付しておきます。

 

ここで取り上げる【ブルース】は、ジャズのブルースではなく、1920年代の黒人カントリーブルース~現代のロックに受け継がれている方のブルースになります。

 

<出典: ac-illust.com ランブリングマン様>

 

ブルースの技法と言っても100年の歴史があるため、延々語っているとアメブロの文字数制限「htmlタグ付きの状態で半角英数字60,000字」をすぐに超えてしまいます。このブログは「バイクジャンル」に属しており、見て下さる皆様にも心苦しい。そこで一番おいしいところ、入りやすいところとしてターンアラウンドにスポットを当てることにしました。

 

おいしいところ…「焼肉ならハラミが」という横道太郎は置いといて、ブルースで言うところのターンアラウンドとは、12小節中の11小節目と12小節目になります。歌の1番と2番を繋ぐ部分、1番を締める部分で、ブルースのコード進行の中では最も動きがある部分になります。

 

文字で書くのも限界があるので早速聴いてみましょう。皆さんきっと「ああ、あれか」と思うことでしょう。

 


Chapter1:【ミシシッピ・デルタ・ブルース】スタイル

 

キング・オブ・デルタ・ブルース・シンガーと称されるロバート・ジョンソンのスタイルになります。時は1920~30年代のアメリカ合衆国ミシシッピ州。南北戦争が終わり、奴隷制が廃止され、法制上は白人も黒人も"平等"となったが、実態はそうでなく、不当な扱いは以前にも増して深刻になっていた、そんな時代です。決して"平等"にならなかったのね。しっかりした形で存在していた”不平等”が、形の見えない”不平等"、つまり抑圧として人々の心の中に残った。

 

南北戦争以前を舞台に描かれているマーク・トウェインの「トムソーヤの冒険」を紐解くと、黒人のジムが幸せそうに描かれているんですね。その時代の方がよっぽど幸せだったんじゃないか、私にはそう見えます。

 

1920~30年代のミシシッピは最も抑圧がきつかった地域で、ブルース・ミュージシャンが奏でる音にもそれが顕れているように思います。直線的で、シャッフルのリズムひとつとっても「デッデ、デッデ」であり、「デーデ、デーデ」ではない。

 

 

 


Chapter2:【ジョージア・カロライナ】スタイル

 

同じ南部でも東側のジョージア州、カロライナ州になると「デーデ、デーデ」かつ横へのメロディーの広がりを見せるので、抑圧感が薄れ、リラックスした雰囲気になります。譜面の1小節目(Verseで言うと11小節目)にご注目下さい。リズムもさることながら、3声もしくは4声の和音で肉付けし、オールドジャズのブルース風味としました。米国では1920年代にラジオ放送が始まったということですが、この地域のブルースメンは白人の邸宅にお呼ばれし、こうした文化に触れる機会があったのでしょうかね?

 

 

 


Chapter3:【いざシカゴへ】スタイル

 

Chapter1のミシシッピ・ブルースメンは、1940~50年代にかけてミシシッピ川を北上していきます。綿花畑プランテーションでの重労働と生活難から逃れ、都会での一攫千金を夢見たのです。ミシシッピ川に抱かれシカゴへ向かう旅。それまではギター1本での弾き語りが主だったブルースは、シカゴに近づくにつれ、ギター2本、ピアノとのデュオ、バンド、と形を変えていきます。譜面1小節目では、ギター1本で多くを担当する必要がなくなったということを踏まえて、シングルトーンのフレーズにしました。

 

 

 


Chapter4:【コンテンポラリーな】スタイル

 

1960年代に入るとフォークおよびロック全盛の時代に突入しますが、同時にブルースリバイバルのブームが巻き起こり、古いブルースメンに再度スポットライトが当てられます。ミュージックシーンが多様化する中、アコースティックギターの可能性を追求する白人ミュージシャンも現れます。ここではより洗練されたスタイルで作ってみました。

 

 

 


Chapter5:まとめ

 

Chapter1~4までの譜面を1つに纏めてみました。

 

 

 

ご訪問された中で、ギターで試してみようという方がいらっしゃるかもしれないので、動画も貼っておきます。譜面を見るには、PCで全画面表示にしてご視聴下さい。

 

(容量:約2MB)

 


【あとがき】

 

皆様どうでしたか?おいしいところと感じられたなら幸いです。

「ターンアラウンド」は英語だと「Turnaround」と書きますが、「転回」「くるりと回って」「ふり返って」という意味合いで、聴いていても転回していく感じがしたのではないでしょうか?

 

ちなみにタイトルの「Turnaround Shoot at the 7th Avenue」は、訳すと「7番街で(バスケの)ターンアラウンドシュート」となります。「7th Avenue」とした理由は、譜面からもわかる通り7thコードを使っていることと、もうひとつ、このブログの音楽コーナーをいつも見てくれているななちん様の「7」を掛けてみました。旅から戻って来られるのが待ち遠しい。

 

 

…ななちんを転回させてどうするんだびっくり

 

<著作権表記等>

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     ・「葉月りん」様

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