皆さんお久しぶりです。変わらず元気にされてますか?
中高生のお子さんが使っていたのか、買ってしばらくはサウンドホールから女の子の香水のにおいがしたものです。
私の方は先日、ギターを買いましてね。
ヤフオクでの衝動買いでした。
今日は備忘録半ば、つれづれなるままに、このギターについて記してみようかと思ってます。
落札したのは、モーリスのW-40、ドレッドノート型アコースティックギターになります。
実を言うとこのギター、既に持ってるので二台目でな…困ったものですねえ。
きっかけは、最近家のW-40をちょくちょく触ってまして。
これ良いギターだなあ、弾いてて気持ち良いなあ、と今更ながら惚れて現を抜かしとってな。
「どんな音」を文章で表現できるような文才はありませんので、ちょっぴり人に擬えると…
タイトでしっかり者。ギターがそうである以上、弾き手の力が知らぬ間に抜けて良い音を奏でてくれるし、それだったらおれ、もう堅っ苦しいことなどなーんにも考えず、安心して身を任せよう。
(と、全くギターの「どんな音」の説明になってませんが、ここだけの話、内緒ですよ)
二台目のW-40ゲットは、酒を呑んでポチッとしたのではなく、こうした現を抜かしてという経緯がひとつあって。
そしてヤフオクで出品中のW-40の中に、私の持っているW-40とは別の木材、それもブラジリアンローズウッド(ハカランダ)という
稀少かつ素晴らしく音が良いとされる超高級木材を使っていると思われるものがあり、安く入手できそうだったからなのです。
さて、駄文を長々と書き連ねているのも心苦しいので、ここで落札したW-40の写真を載せます。
(各画像クリックで拡大できるよ)
目を引くのはやはりサイド(2行目左)、バック(1行目右)の美しい木目です。またアバロン(メキシコ貝)のインレイが、指板(2行目中)・トップ板周り(1行目左・中)で、緑の虹色にキラキラ光ってます。
このギターとはいかなるものか?私なりに調査した結果を表に纏めてみたのでご覧下さい。モーリスの過去製品の仕様を掲載しているページも色々見たのですが、どうもこの度入手したギターはどの年のカタログ仕様にも適合しない。つまりは当時は同じ型番の中でも色んな材で作ったギターがあったということですね。よってヘッドのロゴ、サウンドホール内ラベルの形、木目を見た感じからの推察です。
メーカー/型番 |
MORRIS/W-40 |
年式 |
1976年 |
製造 |
TERADA GAKKI MFG.CO.,NAGOYA |
トップ |
スプルース合板 |
サイド |
マカッサル |
バック |
マカッサル/楓(メイプル)/マカッサルの3piece合板 |
ネック |
マホガニー |
指板 |
ローズウッド |
その他 |
ヘッド横ロゴ、1フレットからヘキサゴンインレイ |
なんと1976年製造というと、今から42年前になりますね。まさにジャパニーズ・ヴィンテージ!スーパーカブみたいなものですが、W-40はとっくの昔に廃盤になってます。残念ながらハカランダのサイド/バックではありませんでしたが、マカッサルというのはマッカーサー・エボニー=縞黒檀のことと思われます(※注:もしかするとマカッサルですからインドネシア原産のローズウッドかもしれず、ちと自信なし。現在モーリスに問い合わせ中です)。しかし縞黒檀だって、今やとんでもない高級材で入手困難でしょうから、この当時は豪華だったんですね。モーリスの型番は「W-40」なら4万円、「W-50」なら5万円したという事ですが、当時の物価からすると、今なら倍近い値段にあたるのか。
と、褒めておいて…実際に手にとった感想。
「いやに軽いな」
「昔どこぞの民宿に置いてあったようなギターじゃな」
ジャパニーズ・ヴィンテージと言うと格好良いが、どう見てもミント(新品同様)には見えず、あちこち傷だらけ。またポリッシュで拭いたら布が茶色に汚れてなあ。焼けて変色してるところもあり、塗装大丈夫か?と心配に。なんのことはない、中古てことです。
懸念箇所はまだあります。バック(裏板)を押してみるとギコギコ!!こりゃあブレイシング(骨組み)が一部剥がれかかってるんじゃないのかあ?
そして最もドキッとしたのが、ここ
。
ネックの付け根、ヒールのところに楕円状の筋が!もしかしてネック折れの修繕跡!?
しかしギターのネックなんてどうやって折るの?以前のオーナーはなんじゃ、物凄い荒れたドラ息子だったのか?
幸いネックにはガタ付きはなし。
弦高は、昔のアコースティックギターは高かったので、それからすると低いほうか。6弦12フレットで2.7mm~2.8mm程度。
まあ問題なしかな、気持ち低くしたいが、もし低くするならサドルではなくナット側かな。
ネックの反りはほんの気持ち順反り程度で、全然許容範囲内。ネックの割れが気になるのでトラスロッド調整はしたくないところ、良かった。
それから、もひとつ気になる点。5フレットの指板のインレイの端に違和感。接着剤がだめになって一部剥がれかかってます
。
いつかアロンアルファで直すとするかな。
気を取り直して弾いてみることに。
前のオーナーが、気をきかして新品のブロンズ弦を張ってくれたようですが、おれは80/20ブロンズ弦よりもフォスファーブロンズ弦が好きなんだけどなあ。
1コードだけ弾いてすぐに思ったこと。
「セピアクルーの9800円のギターみたい?
」
セピアクルー社を悪く言う訳ではありませんが、かけてるコストと品質は、9800円だと流石に音に顕著に表れます。実はなぜか持ってるが、上に記した家のW-40の音と全く正反対でなあ。箱が鳴ってて、ギターの弦が鳴ってて、アコースティックギターの音ではあるんじゃが、モコモコ、ジャリジャリ、はっきりしない音で、指の角度変えたり、弾弦する位置変えたりするんだけども、なにやってもだめなの。流石におれ、あれは無理だと悟るしかなかったギターなんじゃな。
「あのセピアクルーに似てる??」
あのセピアクルー同様、ボディーが軽くてペラペラだし、弾いてみると弦のテンション(張り)が緩過ぎる。そして5・4・3弦あたりの中音域の音が出過ぎる。うーん・・・どうやって弾こう??あれこれやってみることしばし。頑張れ1976年のW-40!北の湖と輪島じゃ!頑張れおれ!
頑張った結果がどうだったか?
そう、こいつは先代のW-40とは違って、大変だったんじゃ。なにがあったか知らないが。先代とは逆に、おれがしっかり者でいてやんないとな。とは言っても、ギターは、音楽は、頑張っては駄目なんじゃ。先代は小鳥たちが羽根を休める大木のように、黙ってても自然におれの力を抜かして、無意識のうちにほっこり弾かせてくれるけれども、こいつは大木じゃない。
だから、おれが意識して力を抜くんだ。
力を抜くんだ。力をもっと・・・
おれは時たま風にそよぐ小枝。このチビ鳥ちゃんは留まってくれるかな?
そしたら!力を抜いた途端、こいつは、1976年のW-40は歌い出した。
小さい声だけれども朗らかに。
サニー・サイド・オブ・ザ・ストリートから少し脇道にそれたところにある、やはり日当たりの良いカフェから聴こえてくる声のように。
昭和の旅館の音が、ローファイなアンプから出てくるES-175の音、1960年代のジャズギターの甘いトーンと重なって聴こえた。
味ってやつだな。
「おれ、こいつは愛せるな
」
先代のW-40が逞しい女性とすれば、このつい先日初めましてをしたW-40は、なんですかねえ?
考えつかないやワッハッハ。
次回は先代もご紹介しようかな。使ってる木も年式も違うし、音も違う、面白くてねえ
。