ひとつ。 | Be who you are.
はじめに、ひとつがあった
ひとつは自分を見たいと思った
ひとつはふたつになった、嬉しかった。
ひとつはもっと知りたいと思い、
ひとつまたひとつとさらに別れていった
やがて数えきれないほどになった頃
ひとつは自分を見失っていた。
かわりにやってきたのは「恐れ」だった
こわい、悲しい、苦しい、嫌だ。
それはあっという間に広がり
「怒り」にもなり
すべてを飲み込んでいった
深く深い海のように
渦を巻くように
下へ下へと吸い込まれていった

そこで見つけたのは
「快」と「楽」だった

ただ、気持ちがよかった
果てしもなく溺れていった。
それからどれほどの時が経ったのだろう
やがて「氣づく」者が現れた
その者はもがいた挙句、道を示した。
海に雫がひとつ落ち
波紋のように広がりまた戻り
次第にあの頃の感覚が蘇る
とても温かく
光のように明るく眩しかった
僕は夢を見ていたのかもしれない。
目が醒めたのだろうか
わからない。
わからない、わからないけれど
真実が見えた氣がした
掴もうと手を伸ばしたあの頃が遠い
握りしめる必要などないほどに
とてもとても大切なものだった。
それはすでに
あの頃からずっと、
ここに、在ったものだったから。