心のバリアフリーナビゲーター 魂の語り部 山出 光文(やまで みつふみ)です。
一人で練習できるのだろうか? そんな不安を抱きながら昼休みに音楽室に向かう。
音楽室のドアを明けると顧問が待っていてくれた。
慌ててケースからユーホニュームとマッピを取り出し、マッピをユーホニュームにつける。
以外に早く準備ができた。「音出しを始めるぞ」と顧問の掛け声とともに楽器に息を吹き込む。
スムーズに音が出る。心の中でOK、OKとつぶやく。しかし音を長く吹く事ができない。
肺と口でなんとか息を吹き込む。苦しい。
「複式呼吸で吹け」と顧問。複式呼吸とは腹筋を使って息を送り出す呼吸のこと。
私は生まれつき腹筋が普通の人と比べてほとんどない。そのため、お腹から空気を送り出せない。
腹筋が効かないと次に肺に頼るしかない。
肺に空気がないと楽器に息を送り込むが音色が細くなり、
最後は息苦しくなり顔が真っ赤になっていく。息苦しくなる寸前で「止め」の合図。
助かったとホッとする。マッピを口から外すとゴホゴホと咳き込んだ。のどが痛い。
少しし休んでまた楽器を吹く。今度は息が耐えられなくなり喉がすぐに痛み出した。
途中で咳を我慢できずにマッピを口から外してしまった。
顧問の表情が曇る。
「今日はここまで」と声がかかる。急いで楽器を片付け教室へ向かう。
複式呼吸か? 腹筋がないことを意識もしたことがなかった。
日常生活では何ら不自由を感じたことはなかった。呼吸をする、
こんな当たり前のところまで自分の障害が影響しているのかとショックを受けた。