心のバリアフリーナビゲーター 魂の語り部 山出 光文(やまで みつふみ)です。
野球は打って守って投げてと言われます。私はその中の投げることしか出来ません。
打つ守る事など考えても見ませんでした。
しかし、投げるだけではみんなの輪の中に入ってプレーをしているなんて思えません。
また、最初の状態、みんなのプレーを見ている私に逆戻りをした感じがしました。
「守れなくてもせめて打ちたい」という気持ちがだんだんと強くなりました。
打つと言っても次のような手順が必要になります。
バッターボックスに立ち、バットを両手で握り、バットを構える。
ピッチャーの投げる球が向かってくるのを待ちタイミングを取る。バットを振る。
バットにボールが当たる。一塁に向かって走る。
これだけの行為の中で自分がやった事があるのは全くありませんでした。
思い切って体育の時間の野球の時、体育の先生に打たせて欲しいと頼み込みました。
先生が「やってみろ」と言われました。初の打席が回ってくる機会を与えられたのでした。
そして打席が回って来るまでどのように打席に入るか、そして打つかを考え続けました。
そして私の打順直前に「はっ!」とある事を思い出しました。
それは、正座です。
キャッチボールをする時の体勢で打ってみようと。そして私の打席が回ってきました。
先ず正座をして地面に置いてあるバットを握り構える。
ズシリとバットの重みが両腕に伝わる。
一回素振りをしてみようとバットを思い切って振ると、その反動で後ろに
ひっくり返りそうになる。
代走という形で誰かに私の代わりに走ってもらうようにお願いした。
先生の指示により代走が決まる。
代走は私がバットにボールが当たると同時に一塁へ走り出すという流れでした。
何とか体勢を維持し、バットを構えピッチャーの投げるのを待つ。
ピッチャーとの距離がやたらと遠く感じました。
ピッチャーが振りかぶってボールを投げる同時に、
私は、全身をバットを振る事に集中しました。
ボールが手元まで来た!と思い思いっきりバットを振りました。
バットを振ってボールを当てに行ったのですが、バットは空を切り、
私はバタリとそのまま倒れこんでしまいました。
2球目は何とかバットにボールが当たりファール。3球目を待つまでの間、
私は「三振したらどうしよう」という不安が頭の中を駆け巡り、
結局3球目はバットを振ることなく三振に倒れました。
私の初打席はあっという間に終わりました。
バッターボックスの中で感じたのは「見下された!」という思いです。
座ったままの私にピッチャーは立った状態でボールを投げてくるのです。
ボールが上から下にキャッチャーのミットに投げ込まれる。
バットを振ってもボールが当たらないという現実に何とも言えない気持ちでした。
それは、悔しいと言うより全身の力が抜けて暫く動けなかったのを覚えています。